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ポワと、あわいのまち 第27話「ルチェ」

    とどけたことばは、
    とどけたあとも、じぶんのことば。
    かえってきたことばは、たからもの。

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    ポワは、Picstaの前に、いた。

    入口の周りをぐるぐる、ぐるぐる回るポワ。

    なかなか、入れない。

    「……おくっちゃった、から」

    でも。

    「……またみにきます、って、かいたもん」

    ポワは、ポシェットの紐をギュッと握り、
    じぶんで、じぶんに、うなずいて、
    まっすぐ前を見て、中に入った。

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    風船が、ずっと上の方まで、いつもの通り、ゆっくり漂っている。

    ふと。

    入口の近く、小窓があることに気づく。

    小窓は、ぽぅーっと、光がやわらかく点滅している。

    小窓の中、紙飛行機が見える。

    「……窓、気づかなかった」

    「……かみひこうき?」

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    案内人が、ひょいと、顔を出した。

    「おー、また来たねー」

    「あ、あれ?おてがみ、届くとあそこの窓が光るよー」

    「昨日には来てたよー。キミが帰ったあと、すぐー」

    「……え?すぐ?」

    ポワは、聞き返した。

    案内人は、小窓に近づく。

    「ほら、ここー。トキを教えてくれるー」

    紙飛行機の羽に、数字が書いてある。

    案内人は、もう、つぎの風船のほうを見ている。

    キーガも、なにも言わない。

    でも、今は、それどころじゃなかった。

    紙飛行機が、待っている。

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    ポワは、そっと、紙飛行機に触れる。

    紙飛行機が、ふわりと、ひらいた。

    ポワのおてがみの、すぐ下。

    あたらしいおてがみが、ならんでいた。

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    こんにちは!

    目に、とびこんできた。

    うれしかった!

    「!」ばかりが、目に入る。

    むねが、ぴょんぴょんはねて、
    ことばが、ならばない。

    でも、それだけで、じゅうぶんだった。

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    ポワは、おてがみを、むねに、ぎゅっとだきしめた。

    「……よんで、くれた」

    「……うれしかった、って、かいてある」

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    もういちど、よもうとして。

    ポワの目が、とまった。

    おてがみの、いちばんさいご。

    るちぇより

    「……る、ちぇ?」

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    じぶんのおてがみが、すぐ上に見える。

    るーすさんへ

    るーすさん。

    るちぇより。

    「……あ」

    体が、すうっと、つめたくなった。

    「……まちがえてた」

    「……おなまえ、まちがえてた」

    「……ごめんなさい、しなきゃ」

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    ポワは、もういちど、さいしょから、よんだ。

    こんどは、ゆっくり。

    ひとつずつ。

    ちゃんと。

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    こんにちは!
    お手紙、ありがとう!
    水たまりのお空、私、大好きなんだ。
    だから。
    すごくうれしかった!😊
    るーすって読まれること、よくあるよ!
    るちぇ、って読むの。
    また、見にきてね!

    るちぇより

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    「……あ」

    あった。

    まんなかに、ちゃんと、かいてあった。

    「……おこって、ない」

    「……さきに、かいてくれてた」

    力が、ふわっと、ぬけた。

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    「……る、ちぇ」

    ポワは、口の中で、ちいさく言ってみた。

    「るちぇ。るちぇさん」

    なんども、言った。

    「……こんどこそ」

    「……ちゃんと、おぼえた」

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    もういちど、おてがみを見る。

    また、見にきてね!

    「……また、って、かいてある」

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    「……ぼくも、また、って、かいた」

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    ポワは、キーガを見た。

    「……キーガ」

    「うん」

    「……おへんじの、おへんじって、かいても、いいのかな」

    「書きたい?」

    「……うん」

    「……かきたい」

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    「……こんどは、るちぇさん、って、かく」

    キーガのしっぽが、やわらかく揺れた。

    (つづく)

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