
VOICARION10周年記念公演「女王がいた客室」を観てきた話
日比谷。
なんだかおしゃれな街で、私はソワソワしつつも、どこか落ち着いた気分になる場所。
鹿鳴館の跡地もあるので、今もどこか浪漫な香りを感じるのかもしれません。
そんな街にあるシアタークリエで、朗読劇を観てきました。
それはまるで、歌ってないはずなのにオペラのような光景でした。
サーーーーーッと広がるスモーク。
あの霧で、私たちは夢の世界に誘われるのでしょう。
馬車の音が響いたかと思えば、目の前には雨に濡れたパリ。
そして「夢が叶うホテル」がそこに。
すごくロマンティックなテーマで、すごく幻想的な景色なのに、目の前で繰り広げられるスペクタクルなギャグに、私のお腹はクルクルと捩れました。
やはり、「面白さ」には緩急が必要なのでしょうか。
ギュッと締められたかとおもったらパッと緩む……その雰囲気の弾力で、気がついたらケラケラと笑っていた記憶があります。
生演奏とSE、お芝居のシームレスさも大好きなポイントで、音が「いつの間にかそこにいる」感覚が気持ちよいのです。
「いつの間にか音がそこにある」という感覚は、日常生活と同じだと思います。
私たちは、たくさんの音に囲まれて生きている。
多分、寝ている時も、「無音だ」と思っている時でさえも、たくさんの音が私たちの周りには生きているのでしょう。
そんな音の日常が、あの非日常のなかにしっかりと息づいていたのがとても印象的でした!
「きっとこの人にはこう聞こえるんだろうな」というロシア語のリズムも最高で。
思わず笑ってしまうし、笑ってしまうシーンだけれど「変なリズムで外国語を喋ってしまうことってきっと誰にでもあるよなぁ……」と、なぜかしみじみとした気持ちになったものです。
何を隠そう、私はシンガポールで生まれたくせに、英語の勉強をサボりにサボったおかげで、ノリと勢いの英語しか話せません。
きっと、ネイティブの方からしたら、それはそれは面白いリズムで聞こえていることでしょう。
そんな「音の妙」に溢れていたこの作品。
もちろん、視覚的にも素敵で。
お衣装がホテルマンたちと貴族そのもの。
布の質が良いことが、距離があってもわかりました。
私の心に特にぶち刺さり申したシーンが、屋上の夜景のシーン。
登場人物達が心を露わにするシーンなのですが、あの瞬間、パリの夜景が目の前に広がって、少し高いところに吹く…冷たいけど親しみのある風が頬に触れたような気すらしました。
私はパリには一回しか……
しかも、とても安いホテルにしか泊まったことはないのですが、その時に小さな窓から見たパリの夜景が、黄金の星座のように見えたことを、あのシーンの瞬間に思い出したのです。
このお話の舞台は、今から100年ちょっと前。
ずっと昔のように感じます。
だけど、パリはその時の街並みが守られている……
今もパリに行ったら、アレックスやエレオノーラが見た景色とリンクする視界を得られるのかな…いう期待が、胸をよぎりました。
こんな没入と思い出が蘇るのも、すっかりこの作品に心を掴まれたからでしょう。
以前に、私はVOICARIONの他の作品である「孔明最後の一夜」という作品も観劇させていただいたことがあるのですが、とにかく「バランスが良い」という印象が強く残っています。
視覚的な演出や衣装
音楽、SE
お芝居、表情
そして脚本
全ての力が最大出力だからのバランスの良さがあり、総合芸術を生み出しているのではなかろうかと、私は素人ながら思うのです。
そして、印象的なのが「夢」
「孔明最後の一夜」でも、「女王のいた客室」でも、私の中で強く残っている言葉が「夢」です。
「夢」は、過去の良かった時のことを思い起こさせてくれて、未来への希望をくれて、現在をより良くしたいと願う人間の希望の一つ。
それが、各登場人物の鏡のように、ふわふわとくゆらされている——そんなふうに私は思ったのです。
「夢」は枷にもなるし、人を未来へ後押しもしてくれる。
それはきっと、その人次第なのかもしれない……そんなことを思い出させてもらいました。
そんなVOICARIONは現在10周年記念公演中!
このあとも「龍馬のくつ」「GHOST CLUB」「拾弐人目の服部半蔵」「スプーンの盾」の公演が続きます!
史実も知りたくなる総合芸術、ぜひ一度生で体験してみてください!!