
秋は、どんな香りにしようかな。
今日のお題は、
「季節の音、季節の匂い」。
季節の匂い、と聞くと、
金木犀や雨上がりの土の匂いなんかを思い浮かべる方が多いのかな。
でも、私はちょっと違います。
実は私、香司でもあるんです。
お香を調合します。
春なら、華やかな花を思わせる香り。
ミモザのエッセンシャルオイルをほんの少し使うこともあります。
夏なら、爽やかで軽やかな香り。
秋になると、少し土や草を思わせるような、素朴な藿香を入れてみたり、
時にはストレートに金木犀。
金木犀も、香原料だけでなくエッセンシャルオイルを少し加えることがあります。
冬なら、雪の日に火鉢を囲んでいるような、ぽってりとした温もりのある香り。
そして今なら、
「夏の名残」
なんていう香りもいいなぁ~。
お香を作る時には、20種類ほどある香原料の中から、その時に作りたい香りを思い浮かべながら選んでいきます。
沈香や白檀は1杯、1.5杯と使うこともあれば、
龍脳や丁子、桂皮のようなスパイシーな香りは、ほんの少し。
0.1杯。
たったそれだけでも、ちゃんと存在を主張します。
入れすぎると、
「あなた、出過ぎです❗」
ってホイッスル鳴らしたくなる😅
香りって、本当に面白いんですよね。
そして、私にとってお香作りには、音もあります。
文香や匂い袋を作る時には、香原料を入れてシェイカーで、
シャカシャカ、シャカシャカ。
この乾いた音が、なんとも心地いい。
練香、印香、線香、塗香を作る時には、すり鉢で丁寧に擦っていきます。
サラサラ……ゴリゴリ……
静かな部屋に、その音だけが響く。
シンギングボウルの音を聴いている時みたいに、
だんだん自分の気持ちまで整ってくるんです。
私には、この時間がとても好ましい😊
そして、仕上げの少し前になると、
ここからは私にしかできないことをします。
五行で香りを整える。
香りにも五行があるんです。
その方の命式を見ながら、足りないものを補ったり、
多すぎるものを少し抑えたり。
木なら酸味。
火なら苦味。
土なら甘味。
金なら辛味。
水の「鹹味」は香りでは表現しにくいので、
金の辛味なども使いながらバランスを見ます。
もちろん、ただ五行を当てはめるのではなく、
その方それぞれの命式を見て、その人に合う香りに整えていきます。
同じ「いい香り」でも、
その人に心地いい香りは少しずつ違う。
そこが面白いところです。
そうやって作るのは、
匂い袋や文香、身を守るための塗香、お部屋で楽しむ練香や印香、そして仏様に差し上げる線香。
自分で調合した香りは、やっぱり格別です。
でもね。
お香だって、誰にとっても心地いいわけではありません。
「お香、臭いから嫌い」
という方だっています😅
だからこそ、香りは押しつけない。
自分が好きだからといって、周り中をその香りにしてしまうのではなく、
「あれ?なんかいい香りがする」
そのくらいが、一番品がいい使い方なんじゃないかなと思うんです。
私は着物の師範でもあるので、着物を着る機会も多いのですが、
そんな時には袖に小さな匂い袋をそっと忍ばせることがあります。
「誰が袖」
昔の人は、姿が見えなくても、衣に残った香りで
「あの方の香り……」
と、その人を想ったのだとか。
なんとも粋ですよねぇ🥰
手紙に香りを移したり、
衣服に香を焚きしめたり、
自分だけの香りを作ったり。
昔の人は、香りでずいぶん遊んでいたんですよね。
そして香りって不思議です。
ほんの一瞬で、昔の記憶へ連れていってくれることがある。
香りで時間を旅する。
そんな楽しみ方を、ずっと昔の人たちも知っていたのかもしれません。
さてさて。
これから少しずつ夜が長くなってきます。
今年の秋は、どんな香りを作ろうかなぁ~。
ほっこりする優しい香りを焚いて、
温かいお茶を一杯。
窓の外から聞こえてくる、
鈴虫やコオロギの声をBGMに。
あ、お茶にもまた、いい香りがあるんですよね😆
香りを楽しんで、音を楽しんで。
秋の夜長を、のんびり過ごす。
そんな時間も、なかなか風流でいいんじゃないでしょうか。