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32歳。デフレ時代の女。

    私は今月32歳になる。

    失われた30年育ち。
    インフレをほとんど知らない世代である。

    私が生きてきた世界では、
    「今すぐ買う」より、
    「もう少し待つ」が正解だった。

    待てば値下げ。
    待てばセール。
    待てば型落ち。

    焦る理由など特になかった。

    ところが最近、
    「物価上昇率2%を目指します」
    という話を耳にする。

    年2%。

    数字だけ見ると大したことがない。
    しかし複利で考えると約35年で倍。

    私が当たり前だと思っていた世界は、
    どうやらこの先も当たり前ではないらしい。


    もっとも、
    我が家にはすでに高インフレ銘柄が存在する。


    ①パンパースである。

    約3年愛用しているが、
    あれの上昇率は2%どころではない気がする。

    そんなこんなで
    現在、
    我が家では、
    パンパースストックによる
    「クローゼットまるごとパンパース事件」
    が発生している。

    開けば一面パンパース。
    パンパースの館。

    申し訳程度に、
    トイレットペーパーとティッシュが顔をのぞかせる。

    私は自分に言い聞かせる。
    これは無駄な買い溜めではない。

    インフレ対策であり、
    災害対策であり、
    そして限りなく投資に近い何かである。



    もう一つ。
    我が家には別のインフレ銘柄が存在する。


    ②息子の食費である。

    好きな食べ物を聞くと、
    「ごーましおごはん」
    と答える。

    実に堅実。
    可愛らしい。
    質素倹約の精神すら感じられる。

    しかし実態は違う。

    寿司。
    牛肉。
    ピザ。
    そして牛肉。

    牛肉は大事なことなので二回登場した。

    どう考えても高単価志向である。
    なぜこんなことで猫を被った?

    ごま塩ご飯を名乗りながら、
    投資先は完全にグルメ株。

    与えるものをミスった可能性は多分にある。


    私はデフレ時代の女だが、
    息子はどうやら、
    インフレ時代の男らしい。

    しかも今後は、
    質ではなく量でのインフレが始まる予定である。

    なお、昨年の米騒動以降、
    米価は我が家の体感ではほぼ倍になった。

    しかし米大好き娘の出現により、
    そんなことを気にしている暇はない。

    米はいつの間にか消えるアイテム第2位。

    第1位は牛乳である。

    そんなことはどうでもいい。

    私は今、
    次の牛乳を買うタイミングについて考えている。

     
     
    この家には妙な住人がいて、私はその観察員です。 3歳息子と1歳娘が醸す謎の生態系を観察中。 日々発生する小事件を収蔵しています。 今日も観察対象に振り回されています。

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