
完食する人
老人ホームで働いていると、いろいろな人がいる。
食事が来るのを楽しみに待つ人。
嫌いなものだけ上手に残す人。
食べながら眠ってしまう人。
その中に、必ず完食する人がいる。
どんな献立の日も残さない。
味噌汁も、おかずも、最後の一口まできれいに食べる。
私はその人を見るたびに思う。
この人は若い頃もきっと元気だったんだろうな、と。
もちろん本当のことは知らない。
ただ、食べるということは生きるということに少し似ている気がする。
残さず食べる人を見ると、
まだまだ大丈夫そうだなと思う。
今日も食器が戻ってきた。
お椀の底まできれいだった。
私は少しうれしくなって、
明日の味噌汁の具を考えた。