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キッチンは、冷蔵庫という自由装置を備えた、脳のジムである

    このエッセイは、冷蔵庫から始まる。

    調味料の話をしていたはずなのに、じゃがいもで世界史へ飛び、
    やがて74.6gの白米を量り、最後は台所と思考の話にたどり着く。

    どうしてそうなったのかは、私にもよく分からない。


    AIに、褒められた。
    たぶん。

    冷蔵庫の扉の写真を送ったら、
    「その異常さは記事になりますね」と返ってきた。

    異常。 (笑)

    たしかに普通、
    ひとり暮らしの女性の冷蔵庫は、
    こんなにぎっしり詰まってはいないだろう。
    でも怒る気にも否定する気にもなれなくて
    むしろ、すこし誇らしかった。

    そうか、異常か。
    でもこれは、私の自由の在庫なのだ。

    ひとりだから
    何を作ってもいい。
    ひとりだから
    好きなものだけ並べていい。
    食べたいものを
    食べたいように作る。

    その自由さを確保するための調味料が
    扉いっぱいに並んでいる。

    そんな私の冷蔵庫の話を、少しだけ聞いてほしい。


    じゃがいもは人類を救ったのか?

    新じゃがが出回る季節になった。

    その新じゃがの中でも、
    ピンポン玉大のばかりが入ったのを見つけたら迷わず買う。
    皮ごとじっくりとバター焼きにして塩で食べようか、
    甘じょっぱく煮ようか、
    美味しそうな絵が頭の中に浮かぶ。

    でも、今日はこれを、
    昨夜の残りの豚肉と一緒に炒め煮にすることにした。

    クミンとカルダモンを多めにして、
    新じゃがの独特な香りと、スパイスを合わせてみよう。

    料理しながら、ふと思った。

    じゃがいもって、
    もともとアンデス高地原産の作物だ。
    ひんやりとした空気の薄い土地でも育つ。
    北ヨーロッパでは長いこと主食にもなってきた。
    要するに、涼しい場所の子なのだ。

    なのに、なぜあの暑いインドで
    カレーにいれたり、サモサを作ったり、
    当たり前のようにじゃがいもを使うのだろう。

    涼しい土地の作物が、暑い国の食卓を支えている。
    ああ、きっと
    イギリスの植民地時代に端を発するのでは?

    食べながらでも、即、調べるのが私だ。

    すると、やはり。

    18世紀後半、イギリス植民地時代のこと。
    初代ベンガル総督だったウォーレン・ヘイスティングスらが、
    じゃがいもを本格的な商品作物として広めようと栽培を奨励したのだという。

    イギリス人にとって馴染み深い主食だった、という事情もある。
    けれどそれ以上に大きかったのは、
    飢饉対策としての役割だったそうだ。

    当時のインドでは、飢饉がたびたび人々を襲っていた。
    やせた土地でも育ち、しかも実が地中にあるじゃがいもは災害に強い。
    嵐が来ても地面の下までは奪われにくい。
    非常時の食べものとして、これほど頼もしいものはなかったのだ。

    それでも、まだ謎は残る。
    栽培するにしても、暑さの問題はどうやって解決したのだろう。
    そこにあったのは、暑い国ならではの知恵だった。

    はじめは、シムラのような涼しい避暑地やヒマラヤの山麓で栽培が始まった。高地は涼しい。じゃがいもにはちょうどいい。

    そしてやがて、
    北インドの大平原でも作られるようになる。
    ただし季節をずらして、或いは酷暑を避け、比較的涼しくなる乾季
    ——10月から3月ごろの「冬」のシーズンにいっせいに育てるのだ。
    暑い国のつかの間の涼しさを狙う。

    その工夫のおかげで、インドでも大量生産ができるようになった。
    今やインドは、中国に次ぐ世界第2位の
    じゃがいも生産国だという。

    現地では「アールー(Aloo)」と呼ばれ、
    カレーはもちろん、私が大好きなサモサにも欠かせない、すっかり国民的な食材になっている。涼しい土地の子はいつのまにか、暑い国の台所にしっかり根を下ろしていた。

    ——そういえば、
    同じじゃがいもが、
    北ヨーロッパのアイルランドでは、
    まったく別の形で歴史を変えてしまった、という有名な話を思い出した。
    あの『タイタニック』にも、のちにつながってくる話だ。

    17世紀の後半、
    アイルランドにじゃがいもが根づいたときも、それはまさに救世主だった。
    アイルランドの土は岩が多く痩せている。寒くて雨が多い。
    パンを作る小麦栽培には向かない土地だ。

    でもじゃがいもは、そんな悪条件でもたくましく育った。
    狭い畑でもよく採れる。おまけに栄養も豊富で、じゃがいもと牛乳さえあれば人が生きるのにほぼ事足りた。貧しい農民の暮らしは目に見えてよくなり、人口は一気に倍にふくらんだという。

    国を救った芋だった。
    ——その、はずだったのだ。

    そこへ、
    芋を腐らせる疫病がやってくる。
    1845年。
    畑のじゃがいもが黒く崩れていった。
    翌年も。
    その翌年も。

    主食を丸ごと失ったアイルランドでは、
    わずか数年で百万人以上が命を落としたといわれている。

    そして、生き延びるために、さらに百万人以上が海を渡った。
    新天地、アメリカへ。

    その流れは、一度きりでは終わらなかった。
    飢饉に始まったアイルランドからの移民は、その後何十年も続いていく。
    ——その移民の子孫のなかに、のちのケネディ大統領がいる。

    それから半世紀以上のちに北極の海に沈んだあのタイタニック号の三等船室にも、新しい暮らしを夢見たアイルランドの人たちが大勢乗っていたという。映画のなかで、いちばん陽気に踊っていた人たちだ。
    私にとってあれは、
    若い男女の悲しくも美しい愛の映画ではなくて、階級差別という理不尽さへの怒りと悲しみに満ちた映画だったけれど。

    今でも、アイルランド本国よりもアメリカで暮らすアイルランド系の人のほうがずっと多いのだそうだ。

    同じ、土の中のひとつの塊が、
    地球上の別々の場所で歴史を大きく変えた。

    そんなことを思いながら、もう一口。
    目の前の、新じゃがと豚肉のひと皿。

    ここから
    アンデスの高地まで、
    インドの乾季まで、
    アイルランドの黒い畑まで、
    細い糸がつながっている。

    なんでもないランチのつもりだったのに。
    私の頭は世界の歴史を巡っていた。

    ——とはいえ、難しいことはさておき。

    新じゃがは、やっぱりおいしい。
    季節は一年に一度しか巡ってこない。
    今のうちにもう少し味わっておこうと思う。

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    ChatGPTにて生成

     🍳 本日のレシピ:
     新じゃがと豚肉のスパイシー炒め
    材料(2人分)

    • 新じゃが … 小ぶりなもの 6〜8個(約400g)

    • 豚こま切れ肉(または豚バラ薄切り) … 150g

    • 玉ねぎ1/4個:細切り

    • にんにく … 1かけ(みじん切り)

    • 生姜 … 1かけ(みじん切り)

    • クミンシード … 小さじ1(なければクミンパウダーでも)

    • コリアンダーパウダー … 小さじ1/2

    • フレーク状のカレールー…大さじ2

    • 奊 … 適量

    • 沚 … 大さじ1

    作り方

    新じゃがはよく洗い、皮つきのまま
    大きめならば、耐熱皿に入れてふんわりラップをし、
    電子レンジ(600W)で4〜5分、
    竹串がすっと通るまで加熱しておく。

    フライパンに油とクミンシードを入れ、弱火にかける。
    クミンのまわりに小さな泡が立ち、香りが立ってきたら、
    にんにくと生姜と玉ねぎを加えてさっと炒める。
    豚肉とじゃがいもを入れて中火に。
    色が変わったら、ひたひたに水を加える。
    コリアンダーパウダーとフレーク状のカレールーを入れる。
    スパイスが焦げないように、
    カレーというよりルーになるまで煮ていく。
    塩で味をととのえる。


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    筆者が撮影した写真をChatGPTでイラストに生成

    AIに異常だと褒められた私の冷蔵庫

    クミンシードやコリアンダーが常駐している冷蔵庫はあまりないかもしれないが、
    私の冷蔵庫の扉は、調味料で埋まっている。
    西洋料理のスパイス類、白と黒の胡麻、粒胡椒、ここまでは普通だろう。

    辛味の仲間も、なかなかにぎやかだ。
    七味唐辛子、一味唐辛子、山椒、韓国の糸唐辛子、豆板醤、花椒、 ハリッサ、コーレグース、レモスコ、 タバスコとグリーンタバスコ、チリライム、粒マスタード。

    ちょっとした調味料売り場である。

    そして冷蔵庫には
    湿気が大敵な塩。
    ヒマラヤのピンクソルト、アルプスの岩塩、 燻胡というスモーク風味の塩コショウ、 白エビの塩、真鯛の塩、わさび塩。

    夏の暑さを避けたい味噌類
    信州味噌、九州の麦味噌、愛知県の赤味噌、京都の白味噌、酢味噌、コチュジャン、サムジャン、甜麺醤、塩こうじ。

    国が違えば出汁だって違ってくる
    和食用の出汁パック、野菜出汁のパック、韓国のダシダ、韓国の貝出汁のパウダー、コンソメ、鶏がらスープの素、味覇(ウェイパー)

    酢だっていろいろあるのである。
    普通の酢、りんご酢、ワインビネガー、 鹿児島の黒酢、江戸前の赤酢、中国の黒酢、 自分で漬けた梅干しの梅酢。

    実はさらに乾物も、冷蔵庫に常駐している。
    芽ヒジキ、切り干し大根、煮干し、干しシイタケ、干し貝柱、干しエビ、麩、こうや豆腐、チアシード、キヌア、おぼろ昆布や海苔。

    そのすべてに理由があって、そこにある。
    この料理にはこれがいい。
    あれにはあれが合う。
    求める味に、代わりはきかない
    だから、増える。

    自分でも買うし、いただきものも多い。
    料理好きと知られていると、
    「これ、使ってみて」と渡されることもある。
    ありがたくいただく。
    そして、また増える。

    でも、私にとってこれらは、
    「異常な」在庫ではないのだ。

    今日は和食にするか、
    それとも韓国料理にするか。
    少しだけエスニックに寄せることもできる。
    「こういうものも作れる」
    「こういう味にもできる」

    その自由度は、調味料の数に比例して、
    冷蔵庫の中に積み上がっている。

    それは、
    その日に食べたい物を作るという
    私の食の自由さを確保するための
    大事な在庫である。


    何を食べても、ごはんは、ごはん

    私は料理が好きだ。
    好き、というより、ほとんど趣味である。

    季節と自分の体調と、栄養バランスを考えて作る。

    和食はもちろん、中華料理、韓国料理、
    エスニック、イタリアン、
    ドイツ料理、スウェーデン料理、
    パンも焼く。
    以前はうどんもフェトチーネも打った。

    豆腐も大豆から作ってみたけれど、
    これは断念した。
    副産物のおからの始末がどうにもならなかったから。

    食べたい料理は、だいたい何でも作る。
    ——今日食べたいものを、今日作る。
    だって私は、自分の味で食べたい人だから。

    今夜の夕食は、
    冷蔵庫にあるものだけで、作った。

    春には何度も作るグリーンピースご飯。
    豆は別に塩茹でしておいて、炊きあがってから混ぜる。
    ご飯を炊くときに、
    よく洗った鞘も一緒に入れるのが、私流。
    豆の味が濃くなる。

    そして、
    身が厚くて脂が程よく乗っている、対馬近海で獲れた旬(とき)あじの開きを焼く。
    その横で、
    丸のままでごま油を塗ったピーマンと椎茸も、焼く。
    焼けたピーマンには、燻胡という、スモーク風味の塩コショウを、ばらばらと。しいたけにはポン酢をたらりと。
    初物のトマトを切って。

    あとは
    大根の皮のぬか漬け。
    それに、いつものキムチ。
    塩分量を考えて、今夜は汁ものはなし。

    切っただけ、焼いただけ、
    ただそれだけである。

    せめてもっと映える食器にしておけばよかったと思うくらいの、普通の夕食である。
    ——けれど、今日の私には、これがいちばんいい。
    いや、大満足である。

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    筆者撮影

    白地に青い線の入った小鉢に入っているのは、大根の皮のぬか漬けである。
    大根を使う時に、皮は少し厚めに剥いておいてぬか床に突っ込んでおく。
    程よく漬かったら、幅一センチほどに刻む。すりごまと、鰹節、ほんの少しの醤油で和える。
    こういうものが、実は、しみじみと美味しい。

    このお気に入りの小鉢はすり鉢になっていて、ごまをすって、そのまま和えて、食卓に出せる。
    作った人の美意識が、感じられる、実用の器である。

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    筆者撮影

    今夜は、静かなごはん。
    体調がいいときに、食べたくなるのは、
    こういう、静かなごはんである。

    少し元気がないときは、
    スパイスが効いた、にぎやかなごはん。

    くたくたのときは、回復食にする。
    消化に負担のかかるものよりも、
    からだが楽に受け取れるものを選ぶ。

    人のからだは、
    消化することにも、
    エネルギーを使っているという。

    だから、
    弱っているときに
    消化にたくさんの力を使ってしまうと、
    回復に回る分のエネルギーが
    減ってしまうらしい。

    何を食べても、ごはんは、ごはん。
    でも、
    だから、
    そのときの自分に合わせて
    食べるものを選ぶ。

    いや、
    からだ自身が優先順位をつけているらしく、
    「これが食べたい」と言ってくる。

    そしてそれは、
    だいたいちゃんと合っている。

    常備菜を作る。
    味噌も仕込む。
    梅酒もとっておきの材料でつける。
    そして
    旬の素材を食べる。

    そうやって、ずっと手を動かしてきた。
    食べたい自由は、手放さない。

    いまさら変える気もないし、
    面倒だとも思わない。

    これが、世の食いしん坊の日常風景である。
    ……たぶん。


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    筆者撮影

    南部鉄器で焼いたパンケーキ

    おだやかな日曜の朝。
    南部鉄器のミニパンで、パンケーキを焼く。

    専用の蓋がないので、
    くしゃっとさせたアルミ箔で
    ドーム型の蓋を作る。
    応急処置みたいな見た目だけれど、
    これがちゃんと仕事をする。

    一番小さな火加減で、片面3分ずつ。
    ふくふくと、3倍に膨らんでいく。

    焼けたら、いったん取り出す。
    空いた鉄器にメープルシロップを注いで、
    ふつふつしてきたところに、バターをひとかけ。
    溶けたらパンケーキを戻す。
    香ばしさと、バターの風味が鼻をくすぐる。

    ダーラナホースが並んだ木製の鍋敷きの上に、鉄器のまま乗せて食卓へ。
    最後のひと口まで温かく食べられる。

    この南部鉄器のミニパンは、
    直径15センチで、パンケーキにちょうど良いサイズである。
    何の料理にでも使いやすい。
    そして、そこには
    「実用の美」がある。

    このミニパンと出会ったのは、
    1990年代、
    そう、もう30年以上も前のことだ。

    東京の地下鉄 外苑前駅のあたりに、
    「全国伝統的工芸品センター」というところがあった。
    日本各地の工芸品が並ぶ、しんと静かな空間にふらっと足を踏み入れた。
    夏で、外が暑かったからかもしれない。

    そこで、
    直径15センチほどのミニパンに、
    目が釘付けになった。

    持ち手の付け根が、
    まるで指でキュッとつまんだような造形になっている。
    鉄なのに、やわらかい。
    誰かの手のあたたかさが、そのまま残っているようだった。

    5千円。蓋つきだと7千円。

    直径15センチの、どう使うかも未知数の鉄のフライパンだ。
    30代前半の私には、
    ちょっとした、清水の舞台から飛び降りる的な価格だった。
    それでもその、キュッの部分から目が離せなくて、
    売り場をうろうろした挙句にひとつだけ、蓋なしで、連れて帰った。

    30年以上前に買ったけれど、本当に使いこなせるようになったのは、
    実はここ数年だ。
    「小さくて、美しくて、よく働く道具」

    そんな道具の素晴らしさを良くわかっていなかったのに、
    えいっ、と買った当時の自分の審美眼を褒めてやりたいくらいだ。

    「いつか、蓋も買い足そう」
    その「いつか」は、なかなか訪れないまま、月日が流れていった。

    30年も使ってきたというのに、
    作家さんの名前を知らなかった。
    ふと思い立って、AIに写真を送ってみた。
    対話を重ねていくうちに、
    一人の作家さんの名前と作品が浮かびあがった。

    岩手県の鋳物作家
    小笠原陸兆氏が遺した名作「ミニパン」

    まさに、これだった。

    持ち手の、指でつまんだようなキュッ。
    毎日のように使っているというのに、
    写真を見ただけで胸がときめいた。

    長年の想いがするりとほどけて、
    そのままの勢いで30年越しの蓋を注文した。

    熱対流が起きるから旨味が一切逃げないというこの蓋があれば、
    ふっくらジューシーなハンバーグとか
    アクアパッツァとか、
    或いは
    ふかふか、りんごのタルトタタン風とか。

    妄想が止まらない。

    そして、数日後、蓋が届いた。

    30年越し、時代は平成から令和に移った。
    規格が変わっていたとしても仕方ない。
    そうならば返品させてもらうしかないかも、と思いながら
    ミニパンにかぶせてみた。

    蓋は、
    まるでそこが定位置であるかのように、
    使い込んだミニパンの上に、すっと収まった。
    「新入りですけど、何か?」とでも言いたげに。

    🍳 本日のレシピ:
    南部鉄器で焼く、極厚ヨーグルトパンケーキ

    ホットケーキミックスを使えば、失敗はない。
    そこに、抜群の保温性を持つ南部鉄器と、
    少しのヨーグルトと、アルミ箔のドーム。
    この組み合わせが、
    いつものパンケーキを「特別な一皿」に変える。南部鉄器のミニパン15cmを使用した、厚焼き1枚分の分量です。

    ■ 材料

    • ホットケーキミックス:100g

    • 卵:1個

    • プレーンヨーグルト:50g

    • 牛乳:30ml〜(生地が「ポタッ」と重めに落ちるくらいに調整)

    • 仕上げ用のバターとメープルシロップ:お好きなだけ

    ■ 作り方
    1. 生地を混ぜる
    ボウルに卵、ヨーグルト、牛乳を入れて、よく混ぜる。
    ホットケーキミックスをふるって加えて、さっくりと混ぜる。
    (捏ねないのが、ふっくら高く焼くコツ)

    2. 鉄器の予熱
    ミニパンを中火でしっかり温めて、油を薄く引く。
    一度、濡れ布巾の上に置いて温度をならしたら、ごく弱火に。

    3. アルミドームで蒸し焼き
    生地を流し入れて、手づくりの「アルミ箔ドーム」を被せる。
    弱火で3〜4分。ドームの中で熱が対流し、
    ヨーグルトの力で生地がぐんぐん立ち上がっていく。

    4. 仕上げ
    アルミ箔ドームを熱さに気をつけて、ちょっと持ち上げてみましょう。
    表面に小さな気泡が出てきたら、裏返してもう一度ドームを被せる。
    さらに3分ほど焼く。
    竹串を刺して、何もついてこなければ完成。

    5. メープルシロップとバター
    焼けたパンケーキをいったん取り出して、
    空いた鉄器にメープルシロップを注ぐ。
    ふつふつしてきたら、バターをひとかけ。
    溶けたら、パンケーキを戻す。
    さらに、追いメープルシロップ。7

    これで、香ばしさとコクをまとった
    パンケーキの出来上がり。


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    本物の写真をChatGPTでイラストに生成

    約30枚、ちょうどいい

    成城石井で、いつもの餃子の皮を買った。
    大き目サイズで厚みがあって、 焼くと皮がパリッとする。
    何より、 350g(約30枚) という表示が、
    私にはど真ん中なのだ。
    売場にあるのを見るたびに、ニヤっとする。

    きっちりしているようで、
    きっちりしすぎていない。
    重さは、正確に350g。
    けれど枚数は、約30枚。
    皮の厚みにも違いはあるだろうし、
    大きさだって、多少の個体差はあるはずだ。
    だから無理に言い切らない。
    その誠実さ。或いはコピーの力。
    この会社の社長さんに逢ってみたくなる。

    私はこの皮で
    韓国式餃子のマンドゥを作る。
    いっぺんに包んで冷凍しておけば、
    焼いてもいい。 茹でてもいい。 揚げてもいい。
    そういう自由が、冷凍庫に入っている。
    考えただけで、顔が緩む。


    画像
    ChatGPTで生成

    白米74.6g

    キッチンのデジタルスケールが示した数字は、「74.6g」だった。

    一合にも満たない、なんとも中途半端な白米の残り。
    これ単体では一食分にも足りない。
    けれど、3日後には生協に注文してある白米が届く。

    そうなると、
    白米以外を何か足して、、、
    炊き込みご飯にするか。

    最初に頭をよぎったのは、野菜庫の奥で眠っていたもち米。
    が、ラベルを二度見して手を止めた。
    なんと2022年産。
    古古古古米。。。
    さすがにこれはベランダに置いて、
    ご近所のスズメたちに提供しよう。
    最近、都会では雀の数が激減しているというし、それをすだれ越しに眺めるわが家の猫のレクリエーションにもなることだし。

    代打としては、、、だ。
    そうだ、「ジャスミンライス」がある!
    独特のポップコーンのような香ばしい香りを放つエスニック系にぴったりのお米。

    そうと決まれば、
    我が家の冷凍庫の精鋭たちが次々と名乗りを上げる。
    冷凍庫からはアサリのむき身、玉ねぎのみじん切り、そしてキノコ類、パクチー。野菜室からは彩りのニンジン。

    エスニックライスにするのなら、
    味付けの王道は、ナンプラー、
    というところだけど、
    今回は、
    長崎・五島列島産の魚醤
    「五島の醤(ごとうのひしお)」をチョイス。

    五島の海の幸と
    島椿から取れたつばき酵母で作られているという、この醤は、
    ナンプラーよりずっと、柔らかくも深い風味を持っている。
    いわゆる魚醤の生臭さは全くない。

    アサリの放つ海の旨味を邪魔せずに、これ以上ないほどに深めてくれるはず。

    そうだ、今日はアサリの量が少し足りないから、韓国の「貝だしの素」もパラパラと入れよう。

    釜の中の味を見てみた。
    何かが足りない。
    出汁の旨味とジャスミンライスの香りを、
    中央でピシッと結びつける、もう「ひと味」が欲しい。

    冷蔵庫の扉に並ぶスパイスの瓶を眺めていたら閃いた。
    「ハリッサを少し入れるのはどうだろう?」

    ハリッサは、地中海や北アフリカで愛される唐辛子、クミン、コリアンダー、にんにくのペースト。

    これが大正解だった。
    五島の醤が持つ日本の海の旨味を
    地中海のスパイスがピリッと締める。

    炊飯器のパエリアモードでスイッチオン。
    しばらくすると、部屋中に異国の風が吹き抜けた。
    ジャスミンライスのポップコーンのような香りに、ハリッサのエキゾチックなスパイス、そしてアサリの潮の香りが重なり合う。
    炊きあがりに、冷凍庫で凍らせておいたパクチーをプラスして少し待てば、エスニックライスの完成だ。

    白米74.6gという、頼りない端数から始まった料理。
    それは、
    日本の離島と、
    タイの香りと、
    地中海の太陽が、
    我が家の炊飯器の中で奇跡的に融合して、
    世界に一つだけの多国籍ピラフになった。

    考えてみたら、私にとっての料理とは、
    毎回が即興の
    楽しくて仕方がない実験、なのらしい。

    こんな不思議な料理を生み出すのが
    私の「冷蔵庫という自由装置」だ。


    🍳 本日のレシピ

    【材料】(約2合分)

    • お米ベース:

    私は残っていた白米 74.6gにジャスミンライス を足したけれど、
    ジャスミンライスだけでも、もちろん美味しい、

    • 旨味の具材(冷凍):

    冷凍のアサリのむき身(1合にひとつかみ位)、
    玉ねぎみじん切り(大さじ3〜4)、
    お好みのキノコ(適量)
    ニンジン(少々、みじん切)

    • 調味料:

    ・五島の醤(ひしお)(またはナンプラー):大さじ1~2
    ・ハリッサ:小さじ1〜2(ピリ辛にするならば多めに)
    ・酒:大さじ1
    ・韓国の貝だしの素:小さじ1(あれば)
    ・塩:ひとつまみ或いは適量
    ・ごま油、またはバター:小さじ1
    ・仕上げのパクチー(お好みの量)

    【作り方】

    お米の準備:
    (白米と)ジャスミンライスを合わせてサッと洗い、しっかりと水気を切る
    (ジャスミンライスを使用する場合、浸水は不要)

    スープを合わせる:
    炊飯釜にお米を入れて、まずは調味料から加えていく。
    酒、五島の醤、鶏ガラスープの素、韓国の貝だしの素、塩、そしてハリッサを加える。
    水加減の調整は: 具材から出る水分を考えて少な目に調整する。
    ハリッサがダマにならないよう、ここでしっかり水に溶かし込む。

    具材をのせて炊飯:
    水加減が決まったら、米の上に玉ねぎ、キノコ、ニンジン、冷凍アサリを凍ったまま上に乗せる。
    仕上げにごま油(またはバター)を回しかけ、普通炊飯またはピラフモードでスイッチを入れる。

    【仕上げ】

    炊飯が完了し、「ピーッ」と音が鳴ったら、すぐに蓋を開けて、パクチーを上にドサッと広げる。
    (私はパクチーだけでサラダにしたい派なのですが、嫌いな方は省いてください。)
    再び蓋を閉め、炊飯器の余熱で10分位蒸らす
    (これでパクチーの色が飛ばず、香りがお米に美しく移ります)。

    蒸らし終わったら、底から空気を含ませるようにさっくりと全体を混ぜ合わせ、
    器に盛り付けて完成。


    おまけレシピ

    ジャスミンライスの軽やかさとアサリの出汁のおかげで、驚くほど「さっぱり、上品」に仕上がります。
    スパイスやエスニックを食べ慣れている方だと、「これ一品だと、ちょっとお肉っ気が欲しくなるな」「もうワンパンチ、ガツンとしたコクが欲しい!」と感じるかもしれません。

    そんなとき、横に添えるおかずとして猛烈におすすめしたいのが、シンガポールやマレーシアの焼き鳥「サテ」です。

    本来は串焼きですが、お家でフライパンでパパッと作るならこれで十分!

    • サテ風・鶏肉の濃厚ピーナッツ炒め

      1. 鶏もも肉(または胸肉)を一口大に切り、カレー粉、ニンニク、生姜、醤油、砂糖を揉み込んでフライパンで香ばしく焼きます。

      2. 仕上げに「ピーナッツバター(無糖がベスト、加糖なら砂糖を調整)」を大さじ1〜2、醤油、少しのハチミツ、そしてピラフで使ったハリッサを少々加えて、お肉にとろりと絡めます。

    アサリとハリッサの効いたさっぱりピラフに、この甘辛くて濃厚なサテ風チキンを乗せて、崩しながら一緒に食べてみてください。
    ピラフの爽やかさとピーナッツソースのコクが完全に調和して、スプーンが止まらなくなる驚きのアジアン・プレートが完成しますよ!


    キッチンは脳のジムだ。

    「聡明な女は料理がうまい」。
    大好きなエッセイスト、霧島洋子さんの本のタイトルである。
    1970年代に活躍した日本を代表するエッセイストのひとりだ。
    もちろん、これは料理の本ではない。

    1976年の本なので、
    「聡明な女」という言葉にひっかかる人もいるかもしれないけれど
    そこはまあ、時代性ということで。
    私がここで言いたいのは、性別の話ではないので。

    私は思う。
    料理って、かなり頭を使う。

    毎日、パルシステムのアプリのお届け物リスト (つまりはわが家の食品リスト) を見て、何を作るかを考える。
    栄養バランスのこともちゃんと気にする。
    今日は寒いのか、暑いのか。
    自分は疲れているのか、元気なのか。
    昨日は何を食べたか、それも、なんとなく頭の片隅にある。

    さて、メニューは決まった。
    何から手をつけるか。
    何を先に切って、何を先に火にかけるか。
    同時にできるものは何か。

    冷たいものは冷たいまま、
    温かいものは温かいうちに。

    器も、なんとなく選ぶ。

    余ったものは、
    次に使いやすい形で冷蔵庫に戻す。

    こうして書いてみると、これはまるで
    プロジェクト管理であり、
    デザイン思考であり、
    ロジカルシンキングでもある。

    つまり料理とは、
    「その場にある条件の中でなんとかいい感じにする作業」なのだと思う。
    しかもこれ、
    やっていると分かるのだけれど、
    自分の状態が、よく見える。

    今日は、
    スパイスの効いたものが食べたいのか。
    それとも、
    だしの効いたやわらかい味が欲しいのか。

    からだは、正直である。
    その日の自分の身体と心の状態は、
    案外、食べたいもので分かる。

    その感覚に従って
    食べるものを選ぶ。
    小さいことのようでいて、
    これが、案外大事だったりする。

    脳の話を少しだけすると、
    料理中は、かなりいろいろな場所が動いているらしい。

    段取りを考えるのは前頭前野、
    味の記憶は海馬、
    包丁を使うのは運動野、
    香りを感じるのは嗅覚野。
    そして、
    出来上がった瞬間の「おいしい」は、報酬系が働く。

    だから、料理とは
    「家事」というより、
    ちょっとした総合競技に近い。

    やり方が人によって違うのも、当然である。
    料理の仕方は、そのまま、その人の思考の癖そのものだからだ。

    段取りが得意な人もいれば、
    レシピを比較する人もいる。
    その場の思いつきで作る人もいれば、
    きっちり時間を逆算する人もいる。

    だから思う。
    この本が言っている「聡明さ」とは、
    状況に合わせて、
    その都度、いい感じに調整できる力のことではないかと。
    その力は、台所で、いちばんよく見える。

    限られた材料で、なんとかすること。
    自分や誰かの状態を読むこと。
    それに合わせて手を動かすこと。

    だから私は、こう言いたい。
    キッチンは、かなり本気な、脳のジムである。


    写真・画像:筆者(AI画像生成を含む)

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