
第11回 全員ヒロインの山を登る――
道を切り拓いた美しき看板娘、その愛とプロフェッショナリズム(大谷映美里論)
自認、猫。
「みりにゃ」の愛称で広く、深く愛されている彼女――大谷映美里。
=LOVE(イコラブ)における女子力の結晶であり、頼れるお姉さんポジション担当。
今や数々のバラエティ番組やラジオ出演を通じて「イコラブの入り口」として君臨し、男女問わず圧倒的な支持を集める彼女は、自身のアパレルブランドや美容ブランドをも展開するプロデューサーとしての顔も持つ。
近年では、公式YouTubeチャンネル『みりにゃと申します』で見せる、飾らない素に近い彼女の姿が大きな人気を博している。しかし、そんな彼女の歩みも決して順風満帆なものではなく、現在地へ至るまでには、人知れぬ深い苦悩と葛藤の時代があった。
加入当初から誰もが認める整った顔立ちを見せ、メンバー間でも「一番可愛い」との声が多かった大谷。
だが、結成初期のプロモーション活動でメディア出演を重ねた際、思うようにトークができず、ひとりカメラの裏で苦悩する姿が記録されている。
実は彼女には、幼少期からのコンプレックスゆえに「上手く話せない、上手く笑えない、自分を表現できない」という内面的な壁があったのだ。
圧倒的なビジュアルゆえに周囲からの期待も大きく、それがプレッシャーとなって、本来の良さを引き出せずにいたのである。
しかし、彼女はそこで立ち止まるような女性ではなかった。
誰よりも悩み、誰よりも泥臭く努力を重ねて自らの道を切り拓き、自分自身が、そしてメンバーたちが輝ける場所を自力で作り出したのだ。
今や数々のテレビやラジオで確固たる存在感を示し、鮮やかに爪痕を残してはイコラブのファンを増やし続けている彼女の姿は、努力が実を結んだ何よりの証明である。
大谷映美里の最大の強みは、とにかくファンを魅了する「チャンネル(引き出し)」が全方位に、無数に存在することだ。
女性ファンに対しては、卓越したメイクやコスメの知識、洗練されたファッションセンスで常にトレンドを先導するカリスマ。
一方で男性ファンに対しては、YouTubeでの人気スタッフ「小山さん」との微笑ましいやり取りで見せる素の愛らしさや、あの華奢で小さな体からは到底想像もつかない「ニンニクマシマシラーメン」や「深夜のドカ食い」という豪快なギャップで胃袋ごと心を掴んで離さない。
まさに、彼女歌唱パートの歌詞にある「あざといとかとっくに越えた甘いその声」というフレーズの通り、彼女の魅力は「あざとい」などという一言のジャンルには到底収まりきらない。そこには、全人類を狂わせる圧倒的な可愛さと可憐さ、そして気高き美しさが同居している。
しかし、私が何より感動を覚えるのは、それら全ての魅力が、彼女の徹底的な「見せ方・見られ方」の研究に裏打ちされた表現方法だということだ。
実は、大谷は極めてダンススキルが高い。普段のふわふわとしたキャラクターからは想像もつかないほどにキレがあり、軸の通った体幹によってそのパフォーマンスは常に安定している。
なかでも、ライブ中に彼女が魅せる「スカートの浮かせ方」の技術には脱帽する。
ふわっとした衣装を纏ってターンをする一瞬、彼女はほんのわずかに「かかと」を上げるのだ。
それによってスカートの中に空気が含まれて美しく膨らみ、遠心力と相まって、衣装が持つ美しさの可能性を最大限にまで引き上げる。
「可愛い」をどこまでも追求し、自分がどう映るかを極限まで熟知している彼女だからこそできる、ミリ単位のプロフェッショナルな立ち振る舞いなのだ。
マイペースな猫のようで、自己プロデュースが天才的に上手いお姉さん。一見するとクールで他人にあまり関心がないようにも映るかもしれないが、決してそんなことはない。
むしろ、自分がフロントに立ち、誰よりも苦悩を味わってきたからこそ、彼女のメンバーへのケアやフォローの精神は誰よりも行き届いている。
テレビ番組『アナザースカイ』に出演した際、彼女が語った熱い想いと、その瞳から溢れ出た涙を私は忘れることができない。
彼女は、グループのメインを担うことが多い佐々木舞香と野口衣織の2人に対して、涙を流した。
センターに立つことの辛さも、それを乗り越えた喜びも、誰よりも理解できているからこそ、「2人を支えたい」と強く、震える声でコメントしたのだ。
誰か一人のメンバーに重圧を背負わせるのではない。
イコラブみんなで支え合い、全員で一緒に歩んでいくという、彼女の年長組としての一大いなる覚悟が、その涙から痛いほど伝わってきた。
数々の苦悩を潜り抜け、多チャンネルな武器で暗闇から光を見出してきた彼女だからこそ、メンバーからもオタクからもこれほどまでに頼られ、深く愛されているのである。
完璧な自己プロデュースの裏で、深夜まで黙々と動画を編集し、SNSに上げる写真を何百枚と撮り狂っては試行錯誤を繰り返す。
見られ方を徹底的に研究し尽くした彼女は、今日もステージの上で、誰よりも一段と綺麗な光を放っている。
名曲『探せ ダイヤモンドリリー』でのガチ恋口上。
大谷映美里から放たれる、
「言いたいことがあるんでしょ?」
という最高の煽りをきっかけに、歴史的な聖地・国立競技場の舞台でも、私たちオタクは枯れることのない特大の愛を彼女たちへと届け続ける。
次回は、いよいよイコラブの絶対的リーダー、山本杏奈について。
プロデューサーの指原莉乃をして「アイドル界で一番いい子」とまで言わしめた、あの小さな体で巨大なイコラブちゃんを支え続ける、彼女の優しき原動力を全力で語りたい。
(次号へ続く)