
スッタニパータ 第一 蛇の章【1、蛇】【2,ダニヤ】-20
『阿蘇の牛飼い・ダニヤさんの余裕』
南阿蘇の青々とした広大な草原。気持ちのいい風が吹き抜ける牧草地で、赤牛たちがのんびりと牧草をはんでいる。
軽トラの荷台に腰掛け、冷たいお茶を飲みながらその光景を眺めていたダニヤさんは、空を仰いでフッと笑った。
「ブユもアブも全然おらんし、牛どもは阿蘇の草ば腹いっぱい食べて満足そうに歩いとる。屋根付きのデカい牛舎もあるけん、急に雨が降ってきたかて、こん子たちはびくともせんよ。」
遠くの空には、ちょっと怪しい黒い雨雲が立ち込め始めている。だが、日頃から万全の手入れと準備をしているダニヤさんの心は、少しも揺るがない。
「天の神様、降らせたかったら、いくらでも雨ば降らせてよかよ!」