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芋出し画像

ゆらめく境界線


    むランはホルムズ海峡を封鎖し、アメリカのトランプは「アメリカは海峡を䜿っおおらず、もう助けない。䜿っおいるダツラが勝手に奪い取れ」ずSNSで吠えおいる、2026幎春。

    昚日の倩気ずは裏腹に、朝からどんよりず曇り、パラパラず雚が降り出した。
    遅めの朝食。
    業務スヌパヌの倩然酵母パンをスラむスしおトヌストする。
    い぀も思うのだけど、本圓に倩然酵母なのだろうかそれにしおは安い。
    倚分、䜕らかのカラクリがあるんだろうな。
    トヌストしたパンにバタヌを塗る。
    カペは远いバタヌ。
    僕はハチミツを远加しお、ショりガパりダヌを振りかけた。
    朝の情報番組で挔っおたんだ。
    ゞンゞャヌパりダヌを加熱するず脱氎反応によっお、生姜の成分、ゞンゲロヌルがショりガオヌルに倉化する。
    サナギマンがむナズマンに倉身したように、胜力が爆䞊がりする。
    だからゞンゞャヌパりダヌ改め、ショりガパりダヌお蚳だ。
    効胜は血行が良くなり、末端を芯から枩める。
    番組ではサラリず流したけれど、その研究者は蚀ったんだ。
    「私は花粉症が軜くなりたした」お。
    科孊的な゚ビデンスではない、䞻芳的な発蚀だったけど逆に真実味を感じた。
    花粉症の薬よりも安いし、詊しおみる䟡倀はあるんじゃないかず。
    それを、今春から詊しおいるのだ。
    そしおね、効いおいるんだ、実際。
    僕は酷い花粉症で、春が憂鬱だった。
    県は痒く充血し、止たらぬクシャミ、錻氎に散々悩たされおいた。
    数十幎、春を憎んでさえいた。
    それがさ、ほずんど症状が出おないんだ。
    春が奜きになった。
    春は玠敵だ。
    冬から春になるのはりキりキする。
    そんな蚳で、ショりガパりダヌをパンにふりかけ食しおいる。

    食事を枈たし、むンスタントコヌヒヌなんか飲んじゃったりしお、寛いでいた。
    「人穎ファヌムか、道の駅に買い物に行こうよ」
    カペが蚀った。
    念のため、定䌑日を調べたらグヌグルマップに営業䞭ず衚瀺されおいた。
    寒さず暖かさが混じるこの時期っお、䜕を着るか迷う。
    先日掗ったばかりのM64フィヌルドゞャケットに、今幎初めお手を通した。
    このゞャケト、背䞭にむギヌポップが倧きくプリントされおいお栌奜いいんだ。
    家を出た時には、しっかりず雚粒を感じた。
    「早く乗り蟌たないず熊に襲われちゃうかもよ」
    カペはむタズラっぜい顔で脅す。
    でも、半分本圓のこずなんだ。
    ぀い先日、この広くもない別荘地の䞭で熊ず遭遇した人がいた。
    垂内の防灜攟送でその事実が流れた時、あたりにも近くお驚いた。
    赀いシトロ゚ンDS3に乗り蟌もうずしたら、リモコンで開けた鍵が自動で斜錠された。
    “鍵開けたけど、入る気がないのなら鍵かけずきたした“
    実際、どんなシチュ゚ヌションで、この機胜が効果を発揮するのだろうか。
    䟋えば‥‥
    車に乗り蟌もうずした時に‥‥熊が出没した。
    鍵が自動で閉たる。
    ドアノブをガチャガチャ匕いおも、ドアは開かない。
    県の前に迫る熊。
    ダメじゃん。
    んヌ、フランス人のりィットなゞョヌク

    雚ず霧の䞭、走り出す赀いDS3。
    「人穎ファヌムに売っおいる浜束逃子、矎味しいんだっお」
    先ほどレビュヌを僕はみたんだ。
    ここは富士宮だけど、䜕故か浜束逃子を売っおいる。
    「浜束逃子売っおたね。でもスヌパヌの逃子ず比べるず少し高いんだよね。矎味しいのかぁ、買っちゃう」
    「買っおみようよ。そうだ、花山怒、出おるかな」
    「もう、出始めたみたいだよ」
    僕の頭の䞭では浜束逃子ず花山怒で䞀杯になった。
    霧の䞭に沢山の掟手で䞋品ずも蚀える呌び蟌みの旗が、スりっず浮かび䞊がる。
    導かれるようにりィンカヌを右に出し、スピヌドダりン。
    んロヌプが匵っおあった。
    定䌑日じゃないか。
    グヌグルマップめ。
    仕方なく、朝霧道の駅を目指した。

    道の駅では、栌安の怎茞䞀袋300円ず倧きなキャベツ䞀玉220円、そしおじっくりず悩みに悩んだチキンの燻補690円を買った。
    「アむス食べお行こうよ」
    カペがゞェラヌド屋さんの方向に歩き出す。
    ダブルを遞ぶず600円だった。
    「さっきのスモヌクチキンず、ほが同じ倀段だね」
    あれだけ散々迷っおいたのに、ゞェラヌドをスッず買っおしたう感芚っお、䞍思議だ。
    カペも僕も遞んだ組み合わせは同じだった。
    季節限定のむチゎ。
    そしお、初登堎のトミダコヌヒヌを䜿ったコヌヒヌミルク。
    「違うのにすれば良いじゃん、なんで私の真䌌するの」
    「やだよ、むチゎずコヌヒヌミルクがいいんだ」
    僕が答える。
    「埌はどっちが䞊になるかだ」
    カペは即答した。
    「䞋がコヌヒヌミルク、䞊がむチゎ。むチゎを食べた埌、コヌヒヌでしょ」
    なるほど。
    食に関しお、カペには迷いがない。
    もちろん、僕もそうした。

    雚が降っおいたので、倖には行かず、店内にある怅子が䞊んでいる䌑憩スペヌスに向かった。小孊生䜍の子䟛がいた。
    スマホを熱心に芋おいた。
    声を出しお倧笑いしおいた。
    買い物が終わった芪を芋぀けたのか、スッず立ち䞊がり聞き取れない蚀葉を発し、走り去った。
    カペが挏らす。
    「倖囜の子䟛だず思ったよ」
    「確かに〜、䜕だろうね、ちょっずした違和感」
    むチゎゟヌンが終わっお、食埌のコヌヒヌミルクゟヌンに入った頃、子䟛がいなくなった先の空間を芋぀めおいたカペが口を開いた。
    「富士山、芋えないね」
    正面は倧きなガラス面になっおいお、その先には晎れおいれば富士山が芋える。
    生憎、霧で富士山は芋えない。
    そしお、ガラス面にぞばり付くように抌し圓おられた二脚の小さなテヌブルが目に留たった。ティヌテヌブルずいうのかな。背の䜎い二脚の䞊んだテヌブルは、曲げを䜿った合板で造られたモダンなテヌブルだった。
    その䞊に、倧きな立䜓的な泚意文が眮かれおいた。
    同じモノが、それぞれに。
    「あの英文、なんだか可笑しくない」
    そこに曞かれおいた文蚀。

    こちらはテヌブルです。
    むスではないので座らないで䞋さい。
    This is a table ,not a chair,
    So please do not sit on it.

    たるで、英語の教科曞の䟋文のような曞き方が可笑しい。
    でも、それ以前に構造的に可笑しいのだ。
    怅子じゃなくお、テヌブルだず䞻匵する為に、テヌブルの䞊に譊告文を眮いた。
    確かにテヌブルは怅子ではなくなった。
    でも、同時にテヌブルずしおの機胜も倱った。
    “オレは怅子じゃなくお、テヌブルだ“
    ず瀺したが為に、他は䜕も眮けずテヌブルですらない、䜕者でもない存圚ずなった。
    テヌブルの䞊に䞀茪挿しでも眮いずけば、誰も座らないしテヌブルずしお成立するのに。
    䜕たる皮肉、お前は珟代アヌトか
    もしかしお、店員に珟代アヌティストが玛れおいるのかもしれないず、僕はキョロキョロず店内を芋枡した。

    家に着いた時には、雚はほが䞊がっおいた。
    無圩色の霧の䞖界に、発光するような緑が映える。
    庭には様々な怍物の芜が出たきおいた。
    高原にも確実に春は来おいる。
    山桜もプツリプツリ咲き出しおいた。
    庭を䞀回りしたカペが倧きな声をあげた。
    「熊の足跡がある」
    僕の手の平くらいの足跡だった。
    有蹄類の足跡ではない、指を感じる足跡だ。
    先日の熊の防灜攟送が蘇った。
    家の庭もりロりロず歩いおいたんだ。

    そしお、人類は月の裏偎から網膜を通しお地球を芋た。
    境界線はい぀でも揺らめいおいる。

     
     

    lunokuhod

     
     
    アヌトずバむクが奜きだ。 富士山の麓に生息䞭。 可笑しな日々。

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