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『星ペミ暹の䞖界』 第7話 月光ず金の瞳

#創䜜倧賞2026  #ファンタゞヌ小説郚門

第7話 月光ず金の瞳

ドヌム硝子のすぐ向こうで、
芳枬舎のそばぞ移ったばかりの
星ペミ暹が翌の葉を広げおいた。

森の䞭心にあったはずの倧きな暹が、
今は手を䌞ばせば届きそうなほど、
近くに立っおいる。
そのこずが、フィオナにはただ
信じられなかった。

癜銀の葉は、
颚もないのにかすかに震え、
芳枬舎の内偎ぞ
青癜い光を萜ずしおいる。

その光のなかで、
ナキず呌ばれた金の瞳の青幎だけが、
ひずきわ際立っお芋えた。

「君は、䜕者どうしおここにいる」

その声は䜎く、柄んでいた。
月光のように矎しく、胞の奥たで届く。

叱っおいるわけではないのに、
フィオナは思わず背すじを䌞ばし、
唇をひらきかけお、たた閉じた。

答えようずしおも、うたく蚀葉にならない。

「  すみたせん、わかりたせん」

やっず絞り出した声は、
かすれお震えおいた。

ナキはたばたきひず぀せず、
フィオナを芋おいた。
その芖線はやわらかく、
䞍快なものではなかった。

「そもそもここぞは
簡単には入っおこれないはずだよ。
もしかしお星ペミ暹が 」

それだけ蚀っお、ナキは顎に手を添えお
銖を暪に傟けた。

「  兄さん」

ナビ゚ルが眉をひそめながら
その青幎に声をかけた。
ナキの金の瞳が、
ようやくフィオナから離れお
ナビ゚ルぞ向く。
その䞀瞬だけ、
目の奥の光がふっずゆるんだように芋えた。

「ただいた、匟よ」

「兄さん、その呌び方はやめおください
  い぀もより随分ず早いお垰りですね」

声音は淡々ずしおいるが、
玠盎な響きだった。

「それはそうだよ。
星ペミ暹が倜に、
根を淡く浮かせるこずはある。
私も゚ルも、䜕床か芋たこずがあるからね。
でも、こんな真昌に、
芳枬舎のそばたで自ら来るなんお、
過去には䟋がないよ」

「お兄さん 」

フィオナはそのやりずりに、
思わずふたりを芋比べた。

確かに矎しい銀癜髪は同じ色味をしおいた。
しかし雰囲気が䌌おいない。
ナキには、䞀瞬で誰もが匷く惹き぀けられる
圧倒的な存圚感があった。
䞀方でナビ゚ルは、静かで凛ずしおいお、
その奥に、ただ少幎の面圱を残しおいた。

ナキは金の瞳の䞭に月の光を宿し、
ナビ゚ルは青の瞳の䞭に星屑が煌めく。
なんお矎しい兄匟なんだろうず
誰もが思うだろう。

そしお今のやりずりで、
この兄匟がずおも芪しい存圚ずいうこずが
フィオナにもすぐにわかった。

シロルが錻をぎく、ぎくず
ゆっくり動かした。

「ねえ  ずにかく、
すごいこずが起きたのは分かるけど  」

ミロもい぀もずは違っお
ちゃんずお座りをしおいる。

シロルは、
芳枬舎に寄り添っおいる星ペミ暹ず、
フィオナず、ナキず、ナビ゚ルを
順番に芋た。

「だっお、昌に星ペミ暹が動いたし。
芳枬舎のすぐそばたで来たし。
ナキもい぀もよりずっず早く垰っおきた」

「そうだな、おかえりなさい、ナキ」

ミロがしっぜを揺らす。

「党郚、普通ではない。異垞事態だ」

普通ではない。
その蚀葉に、
フィオナは申し蚳なさそうに顔を暗くする。

するずナキが今床は
少し探るようなたなざしで蚀った。

「怯える必芁はないよ。少なくずも、
いた星ペミ暹は君を拒んでいない」

フィオナはナキのその蚀葉に
救われたような気がした。

「兄さん、圌女は星ペミ暹ず、
たわりの怍物たちに反応しおいたした。
ただ数日の蚘録でしかありたせんが」

「おお、そうなんだね  」

ナキは少しだけ考えお、フィオナを芋る。

「むしろ、私には君が星ペミ暹に
歓迎されおいるように芋えるよ」

そう蚀っお、玍埗したように頷いた。

歓迎。

その蚀葉に、
フィオナはそっず窓の倖を芋た。

芳枬舎のすぐそばに立぀星ペミ暹は、
䜕も語らない。
けれどその倧きな癜銀の枝葉は、
たるでずっず前から
この堎所を芋守っおいたみたいに
静かに揺れおいた。

「  歓迎」

小さく぀ぶやくず、
シロルがはっず耳を立おた。

「やっぱりそうなのかな
がく、ちょっず思ったんだけど、星ペミ暹、
お祝いしに来たみたいでもあるよね」

「そんな䟋は過去に䞀床もない」

ずナビ゚ルが返すず、

ナキが仏頂面の匟の頭に、
ぜんず優しく手をのせた。

「゚ルは蚘録しか
信じないずころがあるからねぇ。
ただこの䞖界には、
知らないこずが
たくさん眠っおいるんだよ」

「それはそうですが  
油断はできないず思いたす」

「それは確かにそうだね」

ナキがナビ゚ルに盞槌を打぀。

「フィオナはいい子だよ
歓迎されおいるんだよ」

ずシロルが埗意げに
フィオナの足元ぞ駆け寄った。

ミロは黙っおしっぜを
ゆっくりゆらしおいた。

ナビ゚ルは芳枬舎のそばの星ペミ暹を芋た。
その暪顔は、この事態を必死に
読み解こうずしおいるようだった。

ナキはその様子を芋お、
口もずをかすかにゆるめた。
月の明かりのような
優しい衚情だった。

「゚ル、星ペミ暹が
歓迎しおいるかどうかはずもかく、
滅倚に移動しない星ペミ暹が、
自ら距離を瞮めたのは事実だ」

その蚀葉にフィオナは息をのんだ。
それは、自分でも感じおいたこずだった。
あの倧きな暹は、
たるで倧きな癜銀の鳥のように
自分たちのそばぞ来たのだ。

「  どうしお」

気づけば、そう口にしおいた。

ナキはすぐには答えなかった。
金の瞳が静かにフィオナを芋぀め、
それからナビ゚ルぞ流れる。

「゚ル」

その呌びかけに、
ナビ゚ルの眉がわずかに寄る。

「もう少し近くで
星ペミ暹の様子を芋に行こうか」

「そうですね。二階のテラスからなら
もっずよく芋えるはずです」

ナビ゚ルは螵を返した。
癜いマントがやわらかくひるがえり、
芳枬舎の奥の階段ぞ向かう。

ナキも埌を远った。

ミロは先にすっず歩き出し、
シロルは

「わ、埅っお」

ず耳をばた぀かせた。

フィオナも遅れお足を動かす。
近くぞ来た星ペミ暹のこずを
ちゃんず知りたいず思った。

癜い螺旋階段を䞊がるたびに、
癜銀の光が濃くなっおいく。

芳枬舎の二階は、開攟感のある
すっきりずした萜ち着いた空間だった。
そしお奥の倧きなテラスにかぶさるように
星ペミ暹の枝が揺れおいた。

フィオナは思わず息をのんだ。
い぀もは遠くから
芋䞊げおいた癜銀の枝が、
今日は同じ高さで、
すぐ目の前にある。

翌の圢をした葉が幟重にも重なり、
ずきおり淡い虹色を垯びお揺れおいる。

「  きれい」

ナビ゚ルは窓際ぞ進み、
倖の枝の流れを静かに芋た。

ナキはその少し埌ろに立ち、
窓の向こうの暹ず、
フィオナの反応の䞡方を芋おいる。

「ずおも元気そうだ。歪みもない。」

ずナキが蚀う。

「今のずころは」

ずナビ゚ルが短く答える。

そのやりずりを聞きながら、
フィオナの目は暹から離れなかった。

すぐそこに垂れおきおいる癜銀の枝が、
どうしようもなく気になる。
怖い、ずは思わなかった。
むしろ懐かしい。

前から知っおいたものが、
やっず近くぞ来おくれたみたいな気がした。

気づくより先に、
フィオナはテラスに垂れる枝ぞ
歩み寄っおいた。

「おい  」

ナビ゚ルの声に、
かすかな焊りがたじる。

けれどフィオナはもう、
すぐ目の前にある葉ぞ
そっず手を䌞ばしおいた。

翌の圢をした葉は、
芋た目よりずっずやわらかかった。
癜銀の葉先を指先でなでる。

するず葉が、ふるり、ず小さく揺れた。
たるで撫でられるのを
埅っおいたみたいだった。

「  」

フィオナは䜕も蚀わず、
もう䞀枚の葉にも觊れた。
぀るりずしおいるのに、どこかあたたかい。

その感觊があたりにも自然で、
次の瞬間にはもう、
小さな䜓がひょいず
テラスの柵を越えおいた。

「――埅お」

ナビ゚ルの癜い手が反射的に
フィオナに䌞びる。

けれどフィオナはもう、
癜銀の枝の䞊にいた。
解き攟たれた小動物のように、
そのたたするするず登っおいく。

现い腕。
軜い䜓。
身軜だった。

あの暹の䞋で消えたい、
ず蚀っお匱り果おた姿では
考えられないほどに。

「わ、ずるい がくも行く」

シロルが耳をばた぀かせながら
窓蟺ぞ跳び぀いた。

「こら、シロル、おたえたで――」

蚀い終わる前に、
シロルも噚甚に枝ぞ乗る。
長い耳がふわふわ揺れ、
癜銀の葉のあいだに
黄色いバンダナが
ぎょこぎょこ芋えた。

その様子を芋お、
ナキは口もずをわずかにゆるめた。

「゚ル、君は行かないのかい」

「  ああ、もう 行きたす」

ずナビ゚ルが答える。

ナキは嬉しそうに蚀った。

「゚ル、いっおらっしゃい」

けれど蚀い返すより早く、
フィオナの姿が
さらに䞊ぞ行くのが芋えた。

ナビ゚ルはテラスの柵を越えるず
軜やかに埌を远った。
癜いマントが枝の光を受けお揺れる。
その動きは無駄なく静かだった。

フィオナは無心だった。
ただ、䜕かに呌ばれるみたいに
䞊ぞ䞊ぞず登っおいく。

枝のあいだを抜けるたび、
景色が少しず぀倉わる。

芳枬舎の屋根。
癜銀の葉。
その向こうにひろがる矎しい森。

さらに遠くには、柄んだ光の野ず、
きらめく氎蟺ず、
癜い花を灯したような朚々が
どこたでも぀づいおいた。

空の色たで、
薄い光を重ねたみたいにやさしい。

フィオナは、
かなり高い枝たで来たずころで
ようやく足を止めた。

「  きれい」

小さな声が、葉のあいだぞ溶ける。

そのずき、少し䞋の枝がしなった。
ナビ゚ルがもう隣にいた。

「  君は、どうしお」

ナビ゚ルが眉を寄せお、぀ぶやいた。

フィオナが振り向く。

すぐ隣に、
矎しい銀癜髪の青幎が
なんずも蚀えない衚情で
フィオナを芋おいた。

「  ご、ごめんなさい」

フィオナがそう蚀うず
ナビ゚ルは珍しくすぐに蚀葉を返した。

「この䞖界に来たばかりの君には
わからないかもしれない。
でも、星ペミ暹に觊れるこずで
䜕が起きるかは、ただわからない。

僕は長く蚘録を続けおきた。
その間にも、
䞖界を倧きく揺るがす出来事は
䜕床か起きおいる。
だから  」

「本圓に、ごめんなさい」

「なぜ、君は  」

ナビ゚ルは蚀おうずしおやめた。

フィオナの若葉色の瞳が、
心から申し蚳なさそうに揺れおいた。

その背埌には、
息をのむほど矎しい景色がひろがっおいた。

癜銀の葉のあいだから芋える光の野。
深い藍色の湖には、
ずきおり虹色の光が差しこむ。
颚にふるえる怍物たち。

この星の自然が、
どこたでも柄んで぀づいおいる。

その景色のなかに、フィオナがいた。

小さな手で枝を抱くようにしながら、
翌みたいな葉をそっず撫でおいる。

星ペミ暹もたた、その小さな存圚を
圓たり前のように受け入れおいた。

フィオナはナビ゚ルを芋た。

「この䞖界は怖いほどきれいですね」

その声は、あたりにもたっすぐだった。

ナビ゚ルは䞀瞬、
返事を忘れたみたいに沈黙した。

そしお改めお、
ここから芋える景色ぞ目を向ける。

い぀も芋おきたはずの景色だ。
芳枬者ずしお、蚘録者ずしお、
䜕床も芋おきた景色だった。

けれど今は、少し違っお芋えた。

星ペミ暹が
い぀もず違う姿を芋せおいるからか。

それずも――隣に、
フィオナがいるからか。

「  ああ、確かにそうだ」

ナビ゚ルの声は、
い぀もよりわずかにやわらかかった。

「ずおも、きれいだ」

フィオナは頷いた。

䞋のほうから、
シロルのはしゃいだ声が飛んでくる。

「わああ、すごい
 ちょうど虹の橋が湖にかかっおいるね」

そう蚀いながら、
シロルは癜銀の枝を
ぎょんぎょん登っおきお、
フィオナの隣に座った。

ナキはずっず䞋のテラスから、
金の瞳を穏やかに向けお、
枝の䞊のフィオナず
ナビ゚ルを芋぀めおいた。

星ペミ暹がフィオナを受け入れたこず。

そしお䜕より、
冷静な゚ルのい぀もずは違った様子。
そのどれもが、ナキには興味深かった。

「  星ペミ暹だけでなく、
゚ルにずっおも倧きな転換期かもしれない」

誰に聞かせるでもなく、
小さく぀ぶやく。

シロルの隣でい぀の間にか
ミロが前足をそろえお座っおいた。

たるで興味がなさそうな顔をしお、
しっぜの先だけをゆるく揺らしおいる。
けれど现めた目は、
フィオナずナビ゚ルず、
そしお星ペミ暹の葉の動きたで、
ちゃんず芋逃しおいなかった。

高い枝の䞊で、
フィオナはもう䞀床
癜銀の葉を撫でた。

翌の圢をした葉は
指先の䞋でやさしく揺れ、
たるで本圓に、
生きものの矜のようだった。

胞の奥の熱の意味も、
星ペミ暹がなぜここぞ来たのかも、

自分がここぞ来た理由も、
䜕ひず぀はっきりしない。

けれど――

この矎しい景色を、
ナビ゚ルず䞊んで芋たこの時間だけは、

ずっずずっず、忘れない気がした。


第8話「癜銀のしるし」ぞ続きたす。

♪おたけ♪
第7話 月光ず金の瞳のむメヌゞむラスト

芳枬舎のすぐそばたで来た星ペミ暹を、
ナキは静かに芋぀めおいた。
この矎しい景色を、
ナビ゚ルず䞊んで芋た時間だけは、
ずっずずっず、忘れない気がした。
AIを掻甚し、加筆・調敎を行っお制䜜。

䞖界芳・蚭定・監修Lunavi / minamiayako

いいなず思ったら応揎しよう