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絵画教室

    「ねえ、お昼ご飯どうしよっか。作るのめんどくさいなぁ」

    「じゃ、マックは?アヤも喜ぶだろ」

    俺と嫁はダイニングでコーヒーを飲みながら、昼飯の相談をしていた。よくある、いつもの休日。リビングで絵を描いていた娘のアヤが、パタパタと走ってやってくる。

    「ママ。みて!これ、アヤがかいたの」

    嫁はアヤの絵を覗き込むと、高い声で褒める。

    「うわあ、上手!おめめがキラキラで、リボンとドレスがおそろいのピンクで、お日様も元気いっぱい!この女の子かわいいねえ!」

    嫁の言葉を聞き終わったアヤは、なぜかテンションが低い。

    「ん…」

    そのまま、微妙な顔でリビングに戻っていってしまった。
    嫁は俺と目を合わせ、首を傾げて笑った。



    絵か。俺も子供の頃、絵画教室行ったな。

    あれは確か、小学校一年生の夏休み。近所の小さいビルの2階にあった絵画教室、1階が公文の教室で。姉ちゃんたちも通ってたよな。

    斜向かいのやんちゃなあいつ…そうだ、コウタと一緒に、夏休みだけの体験授業に行ったんだ。

    教室に入ったら冷房が効いてて、優しそうなおばちゃん先生がいて。俺たちは空いてる席に並んで座って。画用紙と絵の具渡されて、「好きなもの描いていいよ」って言われたんだ。

    俺はひまわりの花を描いたっけ。庭にひまわりが咲いてて毎日見てたから、種のとこが気になったんだよな。コウタは恐竜、たしかステゴサウルスを描いたんだ。

    描き終わったら並んで先生に絵を見せに行って。俺は「お花きれいね」、コウタは「怪獣強そうね」って言われた。

    教室が終わって、俺たちは描いた絵を持たされた。丸めた画用紙を持って並んで歩いてたら、コウタがぽつんと言ったんだよな。

    「なんか、つまんなかったね」

    俺は、なんて答えたんだっけ。覚えてないけど、コウタのあの顔は覚えてる。



    「ねえ、パパ!パパもみて!」

    アヤの声で我に返る。アヤは俺の前に自分の絵を広げていた。

    「ほら、みて、パパはどう思う?」

    俺はアヤの絵をじっくり見て、正直な感想をひねり出す。

    「うーん……、うまい。パパよりずっと」

    アヤは「ええー?」と声を上げて笑う。「なにそれ、パパ。てきとう?」

    嫁も笑っている。俺も自分で笑ってしまう。

    「はは、確かに。意味わかんねーな」

    時計を見上げると、もう昼だ。

    「アヤ、マック行くか?」と声をかけると、アヤは「うん!」と嬉しそうに飛び跳ねた。




     
     
     
    世界の解像度が、少し高すぎるようです。心のざわつきを小説という形に整えて、そっと置いておきます。

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