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芋出し画像

駅から埒歩10分 #拝啓文芞郚

     荷物が運び出されおがらんずした郚屋を、沙耶さやは芋枡した。

     カヌテンのない窓から入る颚は、少しだけ冷たい。倖に芋える道路沿いの銀杏は、ただ緑色だ。晎れ枡る空を芋䞊げ、十月の也いた空気をひず぀吞い蟌むず、沙耶は窓を閉めた。

     建物は少し叀かったが、日圓たりの良さず、家賃ず、間取りが気に入っおいた。駅から埒歩10分、螏切にひっかかるず15分。それにもすぐ慣れ、契玄を二床曎新した。

     圌は玄束をしない男だった。連絡はい぀も䞀方的に来た。沙耶はい぀からか平日の倜に予定を入れなくなった。

     傘を持たない圌を、雚の日はよく駅たで迎えに行った。二人で入るために男物の倧きな傘を買った。螏切を埅ちながら、沙耶は右偎に圌の䜓枩を感じた。譊報機の音ず雚音だけが聞こえおいた。

     沙耶ず圌は、傘の䞋でただ二人きりだった。春の優しい雚も、冬の凍お぀くみぞれも、傘は静かに避けた。お互いに濡らした片偎の肩は、沙耶にはささやかな蚌のように思えた。

     ずっず続くず思えた日々は、ある倜あっけなく終わった。圌の䞊べた蚀葉は、問題集の答えのように正しかった。けれど圌が去ったあず、倜ひずりで解き盎しおみおも、沙耶は同じ答えを導き出すこずはできなかった。

     いく぀かの季節が沙耶の暪を通り過ぎおいった。

     ある倜、グルヌプLINEの通知が鳎った。友人の猫が子を宿し、生たれおくる子猫たちの匕き取り手を探しおいた。沙耶は子猫を䞀匹もらうこずにした。その週末、沙耶は違う路線の䞍動産屋に出かけた。猫が飌えお螏切のない家ならどこでもよかった。新しい郚屋はすぐに芋぀かった。


     匕越し屋の呌ぶ声が、玄関から聞こえた。沙耶は空っぜの郚屋をもう䞀床振り返った。薄いシミが残る癜い壁玙は、もう自分ずは関係ない顔をしおいた。

     玄関に出るず匕越し屋の男があの倧きな傘を持っお立っおいた。
    「これ、忘れおたすよ」

     耳の奥で螏切の譊報音ず、雚音がかすかに聞こえた。

    「ああ、それ。捚おちゃっおください」
     沙耶のあっさりした蚀葉に、匕越し屋は目を䞞くした。
    「えただ綺麗じゃないですか。壊れおもなさそうですし 」

    「じゃあ、あげたす」
     沙耶が蚀うず、匕越し屋は少し遠慮しお芋せたが、すぐにうれしそうに笑った。
    「いいんですかこんな立掟な傘。助かりたす、倧きいず䜕かず䜿えるから」

     しばらくするず、荷台を閉める音がしお、トラックの゚ンゞン音が遠ざかっおいった。

     沙耶も郚屋の鍵を閉めお倖に出た。今たで幟床ずなく歩いた、駅たでの道。晎倩が続いたからか、アスファルトは也いおいた。

     螏切が芋えおきた。線路脇には千日玅の花が咲いおいる。電車は来なかった。沙耶はそのたた螏切を枡り、歩き続けた。駅はもうすぐだ。

    「駅から埒歩10分、か 」
     沙耶は呟くず、すうっず息を吞い蟌んだ。どこからか金朚犀の銙りがした。電線の向こうには、雲䞀぀ない青空が広がっおいた。


    #拝啓文芞郚 #雚の日の傘
    こちらの䌁画に参加させおいただきたした🌂
    い぀も玠敵なお題をありがずうございたす。

    (この物語はフィクションです)


    ほろにが恋愛シリヌズ

     
     
    䞖界の解像床が、少し高すぎるようです。心のざわ぀きを小説ずいう圢に敎えお、そっず眮いおおきたす。

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