
母、旅に出る。 第16話
〜映えより荷物感〜
くろにょんソフトを食べ終え、次に始まったのはー
写真撮影会である。
黒部ダムをバックに、まずは普通にパチリ。
すると彼が言った。
「ちょっと歩いて振り返って」
出た。
旅先で急に始まる
“自然体風ショット”の要求である。
私は言われるがまま歩き始める。
リュックを背負い、
お土産で膨らんだエコバッグを肩にかけ、
完全に“旅慣れた人”というより、
“黒部ダムを見る前に
想像以上にお土産を買い占めた人”
として振り返る。

たぶん彼のイメージとは違っていたと思う。
今朝はダウンコートでパンパンだったのに
いつの間にかお土産にすり替わっているエコバッグはやっぱりパンパンである。
見映えよりむしろ物欲。
でも、いいのだ。
お土産は大事だから。
旅写真なんて、仕上がりより
楽しそうに写っていれば優勝。
しかし、後から見返した時、
結構、ブサイクな写真多い。
50代には加工アプリでなきゃ人に
見せられたもんじゃない。
まあ、加工アプリで撮ってる自体が
既に映えようとしている。
そこはどうしようもないから、許してほしい。
しかし、私は思う。
50代になると、
“映え”より“現実”の比率が高くなる。
いや——
正確には、映えようとしても
エコバッグでリアル感が勝ってしまう。
そんな買い物帰りの感じで
今夜泊まるホテルに向けて出発する。
つづく