
還暦祝いは終わらない8
〜言っちゃった〜
還暦祝いの翌日。
本命のプレゼントを注文していたお店から、
一通のメールが届いた。
「発送しました。」
やった!
ようやく発送された。
……とはいえ、先日の台風の影響で配送は遅れている。
届くまでは、もう少しかかりそうだ。
その日の夜。
彼と電話で話していた。
還暦祝いのこと。
最近アップしたnoteのこと。
そんな他愛もない話で盛り上がっていた。
そして私は、何気なく言った。
「あっ!そうそう。」
「フィギュアが発送されたって……」
……。
一瞬、静かになった。
彼が聞き返す。
「フィギュア?」
その瞬間だった。
「あーーーっ!!」
「言っちゃった!!」
「あーーー!最悪!」
「あれだけ内緒にしてたのに!」
私は一人で大騒ぎである。
すると彼は笑いながら言った。
「最悪じゃないよ。」
「まだフィギュア見てないし。」
なんて優しい人なんだろう。
私は思わず笑ってしまった。
「こういうことやっちゃうんだよなぁ、 私。」
ここまで必死に隠してきたのに、
最後の最後で自分の口からネタバレするとは。
まったく予想していなかった。
もっとも、
彼はまだ「フィギュア」という言葉を
聞いただけである。
車のフィギュアかもしれない。
怪獣のフィギュアかもしれない。
まさか、自分がスーツ姿でマイクを持ち、
赤いハートの台座に立っているフィギュアだとは
思っていない……はず。
たぶん。
いや、そう思いたい。
予定どおりに進んだ日は一日もない。
でも、
予定外の出来事ほど、
あとで笑い話になる。
そう考えると、
今回のネタバレも、
未来の思い出になるのかもしれない。
……とはいえ。
次こそは無事にプレゼントを渡したい。
そう願いながら私は電話を切った。
この時の私は、
その数日後、
お寿司がおしくらまんじゅうになることなど、
まだ知る由もなかった。
つづく
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