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力み癖をほどく、小さな幸せを見つめて、不安はい削ぎ落とす

    力み癖をほどく 幸せだけを見つめていく

    満月を境に月が少しずつ欠けていくように、私も今、いらないものを少しずつ削ぎ落としていきたいと思っています。

    まず始めたのは、毎日のように届くメールです。以前は必要だったメルマガも、今はほとんど読んでいない。それでも「いつか読むかも」「せっかくのご縁だから」と残していました。でも、必要のない情報まで抱えていると、メールボックスだけでなく頭の中までいっぱいになります。そこで、今の私に必要のないものは「今までありがとう」と配信停止にしました。

    出版してから、私を取り巻く環境もずいぶん変わりました。70歳になったというのに、私はむしろ「もっと勉強しなきゃ」と思うようになっています。本を読んで、知らないことを知って、新しい人と出会って、まだ見たことのない世界を見てみたい。

    もちろん、同じ70歳でも「もう十分頑張った。これからは新しいことを追いかけず、穏やかな毎日を過ごしたい」という人もいるでしょう。どちらが正しいわけでもありません。ただ、進みたい方向が違えば、必要とする情報も、時間の使い方も、人間関係も変わっていく。それはとても自然なことなのだと思えるようになりました。

    以前の私は、大切だと思っていた人が離れていくと、「どうして?」「私が何かした?」と、過去の出来事を何度も頭の中で再生していました。損得で近づいたり離れたりする人まで気になって、いつの間にかその人のことで頭の中がいっぱいになる。

    これも「力み癖」だったんですね。

    人間関係まで握りしめて、「なくしてはいけない」と力んでいた。でも今は、離れていく人を追いかけることより、今そばにいてくれる人や、これから出会う人を大切にしたいと思っています。

    そして、削ぎ落としたい一番大きなものは「不安」です。

    出版した本は売れるだろうか。これから仕事はどうなるだろう。あの人は私をどう思っているだろう。もっと頑張らなければいけないんじゃないか。

    考え始めれば、不安の材料なんていくらでも見つかります。そして不安を見つめ続けるほど、肩に力が入り、呼吸が浅くなり、頭の中もくるくるし始める。まだ起きてもいない未来のために、今日の自分が力んでしまうのです。

    だったら私は、これから反対をやってみたい。

    不安を探すのではなく、幸せを探す。

    大きな幸運だけではありません。朝、元気に目が覚めた。おいしくご飯を食べられた。誰かが笑ってくれた。忘れ物がちゃんと戻ってきた。思いがけない人が新しいご縁をつないでくれた。

    毎日の中には、小さな幸せがちゃんとあります。

    幸せが少ないのではなく、不安や心配や人の評価で頭の中がいっぱいになって、見えなくなっていただけなのかもしれません。

    だから、力み癖をほどく。

    余計な情報を削ぎ落とす。終わった人間関係への執着を削ぎ落とす。まだ起きていない未来への不安を削ぎ落とす。そして空いたところに何かを詰め込むのではなく、そこに最初からあった幸せを見つめていく。

    70歳になって、私はまだ先へ進みたい。でも、力んで先へ進むのはもうやめたいと思っています。

    もっと、もっと、と足していくのではなく、いらないものを削ぎ落としながら進む。

    そして毎日の中にある幸せを、ひとつずつ見つけていく。

    幸せになるために力むのではなく、力み癖をほどいたら、そこにあった幸せが見えてきた。

    これからの私は、そんな幸せを見つめながら進んでいきたいと思います。

     
     
     
    一級建築士×ストレッチトレーナー。 無意識の「力み癖」をほどき、人が本来の力を発揮できる心と体を研究。30秒の脱力から、集中・判断・コミュニケーション、そして人が動く組織づくりへ。企業研修・講演。著書『おヘソに戻る。 一級建築士が見つけた重心の科学』

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