
あんみつ屋さんと散歩
近所の公園を1人で散歩をするのが好きだ。
近くの山を眺めて、ザクザクと無心で進むと
余分な物が取れた感覚になる。
そして、途中に素敵な休憩スポットがあるとさらに素晴らしい。
私がいつも歩く公園近くに、あんみつ屋が出来た。
古い日本家屋で週半分だけやっているらしい。
いつか行ってみたいなと思いながら月日が流れて、
やっとタイミングが巡ってきた。
その日は5月のとても暑い日で、散歩開始早々に羽織ってきたシャツがペタリと張り付くほど汗をかいた。
着てこなければ良かったと呟くも、脱ぐ訳にもいかず、音楽のボリュームを上げて先へ進む。
ふと公園の先を眺めると、あんみつ屋へ続く道が目に入る。
こんなに暑い日に、ヒヤリと甘いアイスクリームが乗ったあんみつを口いっぱいに頬張ったらどんなに美味しいだろう。
公園をぐるりと回って、少し坂を登り山を歩けばもっともっと汗をかく。
それはきっと、いや、絶対に美味しいに違いない。
確信を持った私は、先程の後悔をあんみつを楽しむ材料に変えて最終目標をお店に照準を合わせて勢いよく歩く。
少し登る坂道が、いつもより余裕に感じた。
まんまと汗をかき、あんみつ屋の扉をあける。
どうやら早い時間に着いたらしく、私以外にお客様はいなかった。
小さな庭を眺める席があったので、座らせてもらった。
年季の入った柔らかい質感の木のテーブルでメニューを眺める。
基本のあんみつに、季節のレモンあんみつ。
アイスも塩バニラ、いちご、抹茶に黒胡麻と種類が多く悩ましい。
悩みに悩んでベーシックなあんみつに塩バニラを注文。

たっぷりと丸い器に、塩バニラアイスクリーム、粒あんに彩の良い果物。
キラキラとした寒天にツヤツヤな赤豆。
もちもちの白玉も可愛いらしい。
目にも楽しく涼やかなそれに、たらりと黒蜜を垂らす。
疲れた身体に沁みる塩気と餡子の優しい甘さ。
寒天と果物が爽やかでスプーンを止める間もなく食べてしまった。
セットできた熱い緑茶で口を休め、庭を眺めて一息つく。
普段はコンビニのアイスコーヒーか水筒で終わる散歩が、今日は格別なものとなった。
後から来店された常連らしきご婦人が、季節のあんみつに黒胡麻アイスクリームを注文していたのを聞いたので、次回は習ってみようと思う。
常連さんのチョイスは間違いないのだ。
お店を出て、リセットされた身体は軽く、心もなんだか軽かった。
たまにの選択にあんみつ屋のある生活、とても良いのかもしれない。