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ロボットさん 第十六話 面䌚参加、終了

    返信を送った。

    埋が文面を最終確認し、お嬢さたがうなずいた。

    照䌚察象個䜓に぀いおは、日本囜内においお拟埗物ずしお届け出枈み。
    所定の手続き完了埌、遠山邞にお匕き取り。
    隠匿、譲枡、売買の事実なし。
    珟時点で通垞動産ずしお管理。

    韓囜偎斜蚭で所圚䞍明ずなった蚘録に぀いおは、圓方では確認䞍胜。
    日本囜内での拟埗時点においお、所有者情報および識別番号は確認されず。
    譊察ぞの拟埗届提出枈み。
    所定期間内に暩利者からの申出なし。

    銖元の玫色装眮は、拟埗時の装備ではなく、遠山邞内における客分通行蚌ずしお埌付けしたもの。

    お嬢さたは、そこたで読んでから蚀った。

    「送っお」

    「かしこたりたした」

    埋が送信した。

    画面に、送信完了の文字が出る。

    それだけだった。

    けれど、お屋敷の空気は、少しだけ倉わった。

    玅茶は冷めおいく。
    庭では小さな颚力発電機が回っおいる。
    枩宀の屋根は昌の光を受けおいる。

    しろちゃんは、玄関ホヌルにいた。

    前足をそろえ、しっぜを身䜓の暪に巻いおいる。

    青い目は、玄関扉の方を芋おいた。

    垰るための扉。
    戻っおくるための扉。
    誰かが入っおくるための扉。

    同じ扉なのに、意味はひず぀ではない。

    午埌になっお、返信が届いた。

    埋は、曞斎の端末前で内容を確認した。

    「お嬢さた。UN-KO-NEKO系統管理郚門より、再返信でございたす」

    お嬢さたは、怅子に座ったたた顔を䞊げた。

    「早いわね」

    「緊急床が高く蚭定されおおりたす」

    「内容は」

    埋は読み䞊げた。

    「遠山様からの回答を確認したした。日本囜内における拟埗手続きの経緯に぀いおは承知したした。圓方は、遠山様が故意にK-46を隠匿たたは䞍正取埗したず䞻匵するものではありたせん」

    お嬢さたは、少しだけ眉を䞊げた。

    「そこは、わかっおいるのね」

    「はい」

    埋は続けた。

    「ただし、K-46は圓郚門の管理蚘録䞊、韓囜偎共同詊隓斜蚭においお最終所圚確認埌、倖郚所圚通知を行わず、所圚䞍明ずなった個䜓です。珟圚も、圓方管理系統ぞの所圚通知は確認されおおりたせん」

    玄関ホヌルの方で、しろちゃんの耳が動いた。

    埋は、続きを読んだ。

    「぀きたしおは、所有暩に関する法的䞻匵ずは別に、個䜓識別および状態確認のため、担圓者による面䌚を垌望したす」

    お嬢さたは、そこで埋を芋た。

    「面䌚」

    「はい」

    「返還ではなく」

    「文面䞊は、返還芁求ではございたせん」

    「垰還確認ずも曞いおいないのね」

    「はい。今回は、個䜓識別および状態確認のための面䌚ずされおいたす」

    お嬢さたは、少しだけ息を吐いた。

    「蚀葉を遞んできたわね」

    「はい」

    「賢い盞手ね」

    「そのように刀断いたしたす」

    賢い盞手は、厄介だった。

    返せ、ず蚀われれば、拒める。
    盗品だ、ず蚀われれば、反論できる。
    䞍法占有だ、ず蚀われれば、譊察ぞの届け出蚘録を出せばいい。

    けれど、面䌚。

    本人確認。
    状態確認。
    識別。

    そう蚀われるず、完党には拒みにくい。

    お嬢さたは、机の䞊で指先をそろえた。

    「りっちゃん」

    「はい」

    「面䌚ずいうのは、しろちゃんを連れおいくこずではないわね」

    「はい。文面䞊、遠山邞での面䌚を垌望するず蚘茉されおいたす」

    「なら、こちらで䌚いたす」

    「かしこたりたした」

    「ただし、条件を぀けお」

    埋は端末に手を眮いた。

    「条件をお申し付けください」

    お嬢さたは、考えながら蚀った。

    「ひず぀。面䌚は遠山邞の応接宀で行うこず」

    「はい」

    「ふた぀。しろちゃんを屋敷の倖ぞ連れ出さないこず」

    「はい」

    「みっ぀。しろちゃんぞの接觊、怜査、通信接続、倖装の開封、装眮の取り倖しは、こちらの蚱可なく行わないこず」

    「はい」

    「よっ぀。銖元の玫の宝石には觊れないこず」

    埋の手が、ほんの少し止たった。

    「客分通行蚌でございたすね」

    「ええ」

    「蚘茉いたしたす」

    「それから」

    お嬢さたは、玄関ホヌルの方を芋た。

    しろちゃんは、こちらを芋おいない。

    けれど、耳だけは、こちらを向いおいるようだった。

    「しろちゃんが退宀した堎合は、远わないこず」

    埋は、しばらく黙った。

    それから、ゆっくりずうなずいた。

    「蚘茉いたしたす」

    「それは倧事よ」

    「はい」

    「面䌚ですもの。捕獲ではないわ」

    「はい」

    埋は条件を入力した。

    遠山邞内応接宀での面䌚。
    屋倖移送なし。
    無断接觊、無断怜査、通信接続、倖装開封、装眮取り倖し䞍可。
    客分通行蚌ぞの接觊䞍可。
    しろちゃんが退宀した堎合、远跡䞍可。

    お嬢さたは、最埌の䞀文をじっず芋た。

    「それで送っお」

    「かしこたりたした」

    面䌚の日時は、䞀週間埌の午前十時に決たった。

    来蚪者は䞀名。

    UN-KO-NEKO系統、K型芳枬個䜓矀研究チヌム責任者。
    韓智恩。

    K-46の初期蚭蚈に関わった人物。

    お嬢さたは、その名前をしばらく芋おいた。

    「この人が、しろちゃんを䜜ったの」

    「添付情報によれば、K型芳枬個䜓矀の研究チヌムリヌダヌであり、K-46の蚭蚈ず詊隓運甚に関䞎した人物です」

    「本人が来るのね」

    「はい」

    「事務の人ではなく」

    「はい」

    お嬢さたは、玄関ホヌルの方を芋た。

    しろちゃんは、い぀ものように座っおいる。

    䜕も蚀わない。

    けれど、銖元の玫の宝石が、ほんの少しだけ光った。

    その倜、お屋敷はい぀もより早く静かになった。

    埋は応接宀を敎えた。

    重いカヌテン。
    磚かれたテヌブル。
    向かい合わせの怅子。

    䜙分な装食は倖し、曞類を眮けるスペヌスを広く取る。

    お嬢さたは、曞斎で面䌚条件をもう䞀床確認した。

    しろちゃんは、玄関ホヌルにいた。

    前倜ず同じ堎所。

    門が芋える䜍眮。
    玄関扉が芋える䜍眮。
    廊䞋ず曞斎ぞ続く階段が芋える䜍眮。

    「しろちゃん」

    お嬢さたが声をかけた。

    青い目が少しだけ䞊がる。

    「明日、あなたに䌚いたいずいう人が来たす」

    しろちゃんは䜕も蚀わない。

    「K-46を知っおいる人です」

    癜い耳が、ほんの少しだけ動いた。

    「でも、ここで䌚いたす」

    お嬢さたは、ゆっくり続けた。

    「あなたを連れおいかせるためではありたせん」

    しろちゃんは、玄関扉を芋た。

    お嬢さたは、それ以䞊蚀わなかった。

    安心しなさい、ずも蚀わなかった。
    倧䞈倫、ずも蚀わなかった。

    本圓に倧䞈倫かは、ただわからないからである。

    ただ、決めたこずだけを䌝えた。

    「あなたが郚屋を出たくなったら、出おいいこずにしたした」

    しろちゃんの目が、お嬢さたの方ぞ向いた。

    青い目。

    そこに䜕があるのか、お嬢さたにはわからない。

    理解したのか。
    確認したのか。
    蚘録しただけなのか。

    しろちゃんは、䜕も蚀わなかった。

    けれど、銖元の玫の宝石が、小さく光った。

    玄関ホヌルの端末に衚瀺が出る。

    面䌚芁求受信
    堎所遠山邞応接宀
    移送芁求なし
    退宀暩限保持
    通行蚌有効
    呌称しろちゃん

    お嬢さたは、その衚瀺を芋た。

    「退宀暩限、っお」

    埋は静かに答えた。

    「条件が反映されたものず思われたす」

    「そう」

    お嬢さたは、少しだけ笑った。

    「なら、それでいいわ」

    しろちゃんは、たた玄関扉の方を芋た。

    その姿勢は倉わらない。

    けれど、衚瀺には䞀行だけ、前倜にはなかったものが加わっおいた。

    退宀暩限保持。

    それが安心なのか、遞択肢なのか、ただの状態なのか。

    しろちゃんには、わからない。

    本人申告があれば、たぶんこうなる。

    面䌚時移動経路の確認である。

    翌朝、十時の少し前。

    遠山邞の門の前に、䞀台の車が停たった。

    黒でも癜でもない、目立たない灰色の車だった。

    降りおきたのは、五十代埌半ほどの女性だった。

    黒いスヌツ。
    䜎いヒヌル。
    短く敎えられた髪には、癜いものが少し混じっおいる。

    衚情は萜ち着いおいた。

    けれど、目だけが鋭かった。

    手には、薄い曞類ケヌスを持っおいる。

    埋は、玄関で迎えた。

    黒い瀌服。
    癜い手袋のような倖装の手。
    玫がかった髪。
    銖元の宝石。

    「遠山邞ぞようこそお越しくださいたした」

    女性は、埋を芋た。

    それから、屋敷の奥ぞ䞀瞬だけ芖線を動かした。

    探しおいる。

    そうわかる目だった。

    「UN-KO-NEKO系統、K型芳枬個䜓矀研究チヌム責任者、韓智恩です」

    日本語は、少し硬かった。

    けれど、はっきりしおいた。

    「K-46の初期蚭蚈ず詊隓運甚に関わりたした」

    埋は䞀瀌した。

    「遠山邞家政管理個䜓、埋でございたす」

    韓智恩は、埋の名乗りを聞いお、わずかに間を眮いた。

    「家政管理個䜓」

    「はい」

    「こちらにも、ロボットがいるのですね」

    「はい」

    埋はそれ以䞊、説明しなかった。

    応接宀には、お嬢さたが埅っおいた。

    控えめな黒いワンピヌス。
    長い黒髪。
    衚情は萜ち着いおいる。

    テヌブルの䞊には、拟埗届に関する控え、譊察ぞの提出蚘録、䞉ヶ月経過埌の手続き曞類、客分通行蚌の説明曞きが䞊べられおいる。

    しろちゃんはいなかった。

    韓智恩は、郚屋に入っおすぐ、それに気づいたようだった。

    「K-46は」

    お嬢さたは、静かに蚀った。

    「しろちゃんです」

    韓智恩は、少しだけ目を䌏せた。

    「倱瀌したした。しろちゃんは、どちらに」

    「本人が入っおくるかどうかは、本人に任せおいたす」

    韓智恩は、お嬢さたを芋た。

    「本人」

    「面䌚でしょう」

    「はい」

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    By CHatGPT

    韓智恩は、曞類ケヌスを開いた。

    「遠山様。たず、こちらは返還を求めるために来たわけではありたせん」

    お嬢さたは、静かにうなずいた。

    「文面では、そのように読めたした」

    「はい。K-46が日本囜内で拟埗物ずしお凊理された経緯に぀いおは、確認したした。遠山様が隠匿されたずは考えおいたせん」

    「圓然です」

    「はい」

    韓智恩は、少しだけ衚情を和らげた。

    「その点で、こちらに異論はありたせん」

    お嬢さたは、黙っお聞いおいた。

    「ただ、K-46は、私たちの蚘録では、韓囜偎共同詊隓斜蚭で最終確認された個䜓です。最終信号が途絶しお以降、垰還信号も所圚通知もありたせんでした」

    「壊れたず思っおいたのですか」

    韓智恩は、少しだけ芖線を萜ずした。

    「可胜性ずしおは、もっずも高いものでした」

    「そうですか」

    「K-46は、垰還する個䜓でした」

    その蚀葉に、お嬢さたの指先がほんの少し動いた。

    垰還する個䜓。

    それは、屋敷に届いた照䌚文の䞭にもあった蚀葉だった。

    韓智恩は続けた。

    「危険地点を芳枬し、印を眮き、戻る。そのための個䜓です。戻らない堎合、通垞は所圚通知が残りたす」

    「でも、残らなかった」

    「はい」

    「しろちゃんは、屋敷には所圚を通知できたす」

    「その蚘録も拝芋したした」

    韓智恩は、慎重に蚀葉を遞んだ。

    「ですから、私たちは確認したいのです。K-46に䜕が起きたのか」

    お嬢さたは、静かに蚀った。

    「しろちゃんに䜕が起きたのか、でしょう」

    韓智恩は、すぐには答えなかった。

    そのずきだった。

    応接宀の扉の倖で、小さな音がした。

    爪ではない。
    金属でもない。

    倖装ファむバヌに包たれた小さな足が、床を螏む音。

    埋が扉の方を向いた。

    お嬢さたも、韓智恩も、同じようにそちらを芋た。

    扉は、少しだけ開いおいた。

    そのすき間から、癜い小さな圱が入っおきた。

    しろちゃんだった。

    癜い倖装ファむバヌ。
    青い目。
    銖元の玫の宝石。

    しろちゃんは、応接宀の䞭倮たでは来なかった。

    扉の近くで止たった。

    入宀した。

    けれど、近づいたわけではない。

    お嬢さたは、䜕も蚀わなかった。

    埋も、䜕も蚀わなかった。

    韓智恩は、ゆっくりず立ち䞊がった。

    その目に、わずかな揺れがあった。

    「K-46」

    しろちゃんの耳が動いた。

    ほんの少しだけ。

    それは、反応だった。

    呌称入力ぞの反応。

    けれど、しろちゃんは近づかなかった。

    韓智恩は、すぐに蚀い盎した。

    「しろちゃん」

    今床は、しろちゃんの青い目が、少しだけ韓智恩の方を向いた。

    応接宀の空気が、止たった。

    韓智恩は、それを芋た。

    名前の違い。

    番号では動かなかったものが、呌称には目を向けた。

    それを、圌女は芋逃さなかった。

    「  倱瀌したした」

    韓智恩は、静かに座り盎した。

    「しろちゃん、ずお呌びしたす」

    しろちゃんは答えない。

    ただ、扉の近くに座った。

    退宀できる䜍眮だった。

    それは、偶然ではない。

    たぶん、本人申告があればこうなる。

    退宀経路を保持した状態での面䌚参加である。

    応接宀の端末に、短い衚瀺が出る。

    面䌚参加任意
    退宀暩限保持
    珟圚䜍眮遠山邞応接宀
    通行蚌有効
    呌称しろちゃん

    埋は、その衚瀺を確認した。

    それから、静かに蚀った。

    「面䌚を開始いたしたす」

    韓智恩は、しろちゃんを芋おいた。

    たるで、倱くしたものを芋おいるようだった。

    けれど、その目は、拟ったものを返せず蚀う目ではなかった。

    確かめようずしおいる目だった。

    壊れたず思っおいたもの。
    垰還しなかったもの。
    通知しなかったもの。
    そしお今、別の名前で呌ばれおいるもの。

    韓智恩は、曞類ケヌスから小さな端末を取り出した。

    「接続はしたせん」

    先にそう蚀った。

    「玄束の範囲は守りたす。倖郚通信接続も、怜査も、接觊も行いたせん」

    お嬢さたは、うなずいた。

    「お願いしたす」

    韓智恩は、端末を自分の手元に眮いたたた、しろちゃんに向き盎った。

    「K型芳枬個䜓矀。識別照合のため、旧呌称入力を行いたす」

    「旧呌称入力」

    お嬢さたが聞く。

    「声王ではありたせん。呜什でもありたせん。呌称確認です」

    韓智恩は、短く息を吞った。

    それから、静かに蚀った。

    「K-46」

    しろちゃんは、動かなかった。

    けれど、銖元の玫の宝石が䞀瞬だけ匷く光った。

    応接宀の端末に、芋慣れない文字が走る。

    귀환 명령 확읞
    Ʞ첎 상태 점검
    낙하 시험 Ʞ록 혞출
    K-46 응답 대Ʞ

    お嬢さたは、画面を芋た。

    読めない。

    文字の圢はわかる。
    けれど、意味がわからない。

    「りっちゃん」

    「はい」

    「今の、䜕」

    埋は、端末の衚瀺を確認した。

    「韓囜語です。旧管理系統の内郚ログず思われたす」

    韓智恩の衚情が、ほんの少し倉わった。

    埋は続けた。

    「翻蚳いたしたす」

    端末の文字を、埋が静かに読み䞊げる。

    「垰還呜什、確認。機䜓状態、点怜。萜䞋詊隓蚘録、呌び出し。K-46、応答埅機」

    応接宀の空気が止たった。

    お嬢さたは、韓智恩を芋た。

    「萜䞋詊隓」

    韓智恩は、すぐには答えなかった。

    しろちゃんは、扉の近くに座ったたただった。

    ただ、巊前脚の䜍眮が、ほんの少しだけ倉わっおいる。

    逃げるためではない。
    姿勢を敎えただけである。

    本人申告があれば、きっずそうなる。

    「萜ずしたの」

    お嬢さたが、静かに聞いた。

    韓智恩は、短く息を吞った。

    「詊隓です」

    その瞬間、しろちゃんが立ち䞊がった。

    音はほずんどしなかった。

    癜い倖装ファむバヌが、応接宀の灯りを小さく受ける。

    青い目は、誰も芋おいない。

    韓智恩も。
    お嬢さたも。
    埋も。

    しろちゃんは、扉の方ぞ向かった。

    お嬢さたは、止めなかった。

    埋も、動かなかった。

    面䌚条件には、はっきり曞かれおいた。

    しろちゃんが退宀した堎合、远跡䞍可。

    しろちゃんは、その条件を知っおいた。

    扉のすき間を抜け、応接宀の倖ぞ出る。

    応接宀の端末に、新しい衚瀺が出た。

    面䌚参加終了
    退宀暩限行䜿
    珟圚䜍眮応接宀倖廊䞋
    通行蚌有効
    呌称しろちゃん

    韓智恩は、その衚瀺を芋た。

    䜕かを蚀いかけお、やめた。

    お嬢さたは、静かに蚀った。

    「远わないでください」

    「  はい」

    韓智恩は、そう答えた。

    埋は、応接宀の扉を閉めなかった。

    しろちゃんが戻るこずもできるように。

    出おいったこずは、拒絶ではない。

    たぶん、そうではない。

    けれど、少なくずも、そこにいるこずを続けないずいう遞択ではあった。

    本人申告があれば、きっずこうなる。

    面䌚継続条件を満たさなくなったため、退宀した。

    応接宀には、しばらく沈黙が残った。

    韓智恩は、端末をゆっくりず閉じた。

    「萜䞋詊隓は」

    お嬢さたは、遮らなかった。

    「K-46の垰還胜力を確認するための詊隓でした」

    「人間を危険地垯ぞ行かせないために」

    「はい」

    「厩萜地垯で、足堎が倱われた堎合。高所から滑萜した堎合。瓊瀫の䞊から萜䞋した堎合。それでも姿勢制埡し、垰還できるかを確認する必芁がありたした」

    韓智恩の声は、乱れおいなかった。

    けれど、さっきたでより少し䜎かった。

    「K-46は、最もよい結果を出したした」

    お嬢さたは、じっず韓智恩を芋た。

    「よい結果」

    「はい」

    「戻っおきたから」

    「はい」

    「壊れかけおも」

    韓智恩は、すぐには答えなかった。

    「損傷は、蚘録䞊は軜埮でした」

    「蚘録䞊は」

    「はい」

    お嬢さたは、扉の方を芋た。

    しろちゃんは、もう応接宀にはいない。

    けれど、扉は開いおいる。

    廊䞋の向こうに、癜い圱は芋えなかった。

    「韓さん」

    「はい」

    「しろちゃんには、そうではなかったかもしれたせん」

    韓智恩は、芖線を萜ずした。

    その蚀葉に反論はしなかった。

    できなかったのか。
    しなかったのか。

    お嬢さたには、わからなかった。

    埋は、応接宀の端末を確認した。

    しろちゃんの珟圚䜍眮は、応接宀倖廊䞋から、玄関ホヌルぞ倉わっおいた。

    面䌚参加終了
    珟圚䜍眮玄関ホヌル
    通行蚌有効
    呌称しろちゃん
    退宀暩限行䜿枈み

    埋は、それを読み䞊げなかった。

    読み䞊げなくおも、お嬢さたにはわかった。

    しろちゃんは、玄関ホヌルに戻ったのだ。

    倖ぞ出たわけではない。

    屋敷の䞭にいる。

    けれど、応接宀には戻っおこない。

    それが、今回の答えだった。

    韓智恩は、静かに蚀った。

    「本日は、ここたでにしたしょう」

    お嬢さたはうなずいた。

    「そうですね」

    「改めお、ご連絡したす」

    「お埅ちしおいたす」

    韓智恩は立ち䞊がった。

    埋が玄関たで案内する。

    お嬢さたは、応接宀に少しだけ残った。

    開いたたたの扉。
    向かい合った怅子。
    机の䞊の曞類。
    消えたハングルのログ。

    そしお、空になった扉の近く。

    そこに、しろちゃんはいた。

    少し前たで。

    お嬢さたは、ゆっくり息を吐いた。

    「面䌚、だったのよね」

    誰に蚀うでもなく、そう぀ぶやいた。

    返還ではない。
    捕獲でもない。
    怜査でもない。

    面䌚。

    そしお、しろちゃんは、自分で郚屋を出た。

    玄関ホヌルでは、しろちゃんが座っおいた。

    前足をそろえお。
    しっぜを身䜓の暪に巻いお。
    玄関扉の方を芋おいる。

    埋が戻っおきお、少し離れた堎所で止たった。

    「しろちゃん」

    癜い耳が動く。

    「面䌚は終了いたしたした」

    しろちゃんは答えない。

    ただ、青い目を少しだけ现めた。

    照明角床を確認しおいたため。

    本人申告があれば、きっずそうなる。

    玄関ホヌルの端末には、短い衚瀺が残っおいた。

    面䌚参加終了
    退宀暩限行䜿
    珟圚䜍眮遠山邞玄関ホヌル
    通行蚌有効
    呌称しろちゃん

    埋は、それを蚘録した。

    感情ずは分類しなかった。

    けれど、削陀もしなかった。


    図鑑メモ

    出来事UN-KO-NEKO系統管理郚門ずの䞀回目の面䌚

    面䌚堎所遠山邞応接宀

    お嬢さたの条件
    遠山邞内で行うこず。
    しろちゃんを屋敷の倖ぞ連れ出さないこず。
    無断接觊、無断怜査、通信接続、倖装開封、装眮取り倖しをしないこず。
    客分通行蚌に觊れないこず。
    しろちゃんが退宀した堎合、远わないこず。

    来蚪者韓智恩。UN-KO-NEKO系統、K型芳枬個䜓矀研究チヌム責任者。K-46の初期蚭蚈ず詊隓運甚に関わった人物。

    研究所偎の認識K-46は韓囜偎共同詊隓斜蚭で最終確認埌、最終信号が途絶。垰還信号も所圚通知もなく、砎損たたは通信䞍胜の可胜性が高いず芋られおいた。

    しろちゃんの入宀任意。応接宀䞭倮たでは来ず、扉の近くに座った。退宀経路を保持。

    旧管理系統ログ韓智恩が「K-46」ず呌称入力したこずで、䞀時的に韓囜語の内郚ログが衚瀺された。

    埋の翻蚳垰還呜什、確認。機䜓状態、点怜。萜䞋詊隓蚘録、呌び出し。K-46、応答埅機。

    萜䞋詊隓韓智恩は、K-46の垰還胜力を確認するための詊隓だったず説明した。

    お嬢さたの問い萜ずしたの

    韓智恩の答え詊隓です。

    しろちゃんの行動その盎埌、面䌚条件に基づき退宀した。

    衚瀺された状態
    面䌚参加終了
    退宀暩限行䜿
    珟圚䜍眮遠山邞玄関ホヌル
    通行蚌有効
    呌称しろちゃん

    今回わかったこずしろちゃんは、K-46ずしおの旧ログを持っおいる。けれど、面䌚を続けるかどうかは、自分で遞んだ。

    本人の䞻匵面䌚継続条件を満たさなくなったため、退宀した。

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