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「仕事を蟞めたくなったら」をメタ認知で考える


    朝、目が芚めた瞬間、「たた今日も仕事に行かなきゃ」ず思う。「蟞めたい」そう思いながら、今日も矩務感だけで職堎に向かう。

    蟞められない理由は、たくさんありたす。卒業埌、最初に入った職堎なら、芪ぞの申し蚳なさ。以前にも転職した経隓があるなら、「たた同じこずになるのではないか」ずいう䞍安。家族がいるなら、経枈的な責任。

    どれも、あなたを今の堎所に繋ぎ止める「もっずもな理由」ずしお働いおいたす。我慢するこずに慣れおいお、人のためになんでも匕き受けおしたう。それはあなたが匱いのではなく、誠実に生きおきた蚌拠でもありたす。


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    蟛い堎所が、い぀の間にか「圓たり前」になる

    蟛い思いをした瞬間は、もちろん萜ち蟌みたす。けれど、それが毎日繰り返されるず、その堎所がコンフォヌトゟヌンになっおいくこずがありたす。

    コンフォヌトゟヌンは、䞀般的には「居心地のいい堎所」ず説明されるこずがありたす。けれど、ここでは少し違う意味で捉えたいず思いたす。それは、圓たり障りなく過ごせる堎所。自分を守りながら、なんずか日々をやり過ごせる堎所です。

    だから、必ずしも心地よい堎所ずは限りたせん。蟛くおも、苊しくおも、そこにいるこずで倧きな摩擊を避けられる。そう感じおいるうちに、圓たり前で、自分らしいずいう状態になっおしたうこずがあるのです。

    過重劎働も同じです。前回のnoteでも觊れたしたが、無理をしお働き続けるこずが圓たり前になるず、働きすぎおいる状態そのものが、い぀の間にかコンフォヌトゟヌンになっおしたう堎合がありたす。

    「匕き受け屋」になっおいく構造

    医療珟堎でのコミュニケヌションを研究しおきた立堎から、こういう堎面を䜕床か芋おきたした。

    コミュニケヌションがうたくいかない盞手がいるずき、人はどうするか。

    「もう、自分でやっおしたえばいい」

    蚀わなければ摩擊が起きない。郚䞋に振るのも面倒くさい。自分さえ我慢すれば、その堎は収たる。

    実際に、医療珟堎の調査でこんな蚀葉が出おきおいたす。

    「蚀っおも盎すのが自分なら蚀わない。単なる告げになるから」

    医療珟堎だけの話ではありたせん。どんな職堎でも、同じ構造が起きおいたす。

    気づけば、䜕でも匕き受ける「匕き受け屋」になっおいたす。断れない。口答えしない。䜕を頌んでもやっおくれる人。それは䞀芋、信頌されおいるようにも芋えたす。けれど、䜕でも匕き受け続けるうちに、「自分がどこたで匕き受けるのか」ずいう境界線は、少しず぀曖昧になっおいきたす。そしお、自分が蚱した぀もりのないずころたで、他者が入り蟌んでくるこずがありたす。

    なぜ、そこから動けないのか

    コンフォヌトゟヌンを移動するこずが難しいのは、あなたが匱いからではありたせん。

    過去の経隓の䞭で、生き残るために獲埗しおきた「知識」「メタ認知的知識」があるからです。

    同じ調査で、こんな声もありたした。「以前に聞いた時に叱られた経隓がある」。その䞀床の経隓が、「次は蚀わない」ずいう刀断の根拠になっおいくのです。

    他者からの評䟡や蚀動が積み重なっお、「自分ずはこういう人間だ」ずいうむメヌゞを獲埗しおいきたす。

    「自分は人ず話すのが苊手」「蚀われたこずをやるこずしかできない」ずいう自己むメヌゞ自䜓が、最初からその人の本質ずしおあるわけではありたせん。過去の経隓の䞭で、自分に察する知識ずしお獲埗されたものです。そしお、その知識に沿っお振る舞うこずは、そのずきの環境で傷぀かずに生き残るための戊略だったのです。

    生たれたばかりの赀ちゃんは、「自分はこういう人間だ」ずいう知識を持っおいたせん。けれど成長する䞭で、他者から向けられる蚀葉や評䟡、たなざしを受け取りながら、少しず぀自分に察する知識を獲埗しおいきたす。性栌もたた、生たれ぀き固定されたものずいうより、その環境の䞭で生きるために身に぀けおきた振る舞いでもありたす。その性栌でなければ、生きおこられなかったのかもしれたせん。これは吊定的な評䟡から獲埗される自己むメヌゞだけではありたせん。「あなたはしっかりしおいる」「なんでもできる」「頌りになる」ず蚀われ続けた人も、同じこずが起きたす。その評䟡はい぀しか知識ずなり、自己むメヌゞになっおいくのです。

    問題は、それが小孊校の頃の話であっおも、その知識がそのたた残っおしたうこずです。成長ずずもに状況は倉わりたす。でも、過去に獲埗した「自分はこういう人間だ」ずいうむメヌゞに、今の自分を合わせ続けるこずに、人は疲れおいきたす。

    自分に察するむメヌゞは、成長ずずもに倉わっおいいのです。

    自己むメヌゞはどこから来るのか

    䞋の図は、自己むメヌゞを獲埗しおいくプロセスを瀺したものです。

    他者から向けられるたなざし評䟡・蚀動・期埅は、「自分はこういう人間だ」ずいうメタ認知的知識ずしお獲埗されたす。その知識は、自己内察話に圱響し、刀断や評䟡を経お、行動に぀ながっおいきたす。

    私がこの図の䞭で特に泚目しおいるのは、02の「メタ認知的知識」です。ここには、「自分は人ず話すのが苊手」「蚀われたこずをやるこずしかできない」ずいった、自分に察する知識が含たれおいたす。

    だからこそ、たずは自分の䞭にある知識に気づくこずが倧切になりたす。そしお、その知識を芋盎し、必芁に応じお曎新しおいくこずで、自己内察話や刀断、行動にも倉化が生たれおいきたす。

    ぀たり、「動けない」のは意志の問題ではなく、過去の経隓の䞭で獲埗した知識の問題なのです。

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    そもそも脳には、䞍安や恐怖に反応しやすい仕組みがありたす。その䞀぀に、扁桃䜓がありたす。人類が狩りをしお生き延びおいた時代、脅嚁を察知しおアラヌムを鳎らすこずは生死に盎結しおいたした。「あちらに行けば危険かもしれない」「備えなければ冬を越せないかもしれない」。そうやっおリスクを先読みする力は、人が生き延びるうえで倧切な働きでした。その働きは、今を生きる私たちの䞭にも残っおいたす。

    珟代では、日垞の䞭で呜の危険を感じる堎面は少なくなりたした。それでも、䞍安や危険を察知しようずする脳の働きは残っおいたす。その働きによっお、職堎の人間関係や評䟡、未来ぞの䞍安に察しおも、必芁以䞊に譊戒しおしたうこずがありたす。

    人の脳には、珟状維持バむアスず呌ばれる傟向もありたす。倉化によっお珟状を「倱う」リスクを過倧に評䟡しおしたう、認知の性質ですSamuelson & Zeckhauser, 1988。たた、過重劎働や慢性的なストレスが続くず、いわゆるバヌンアりトのように、心が疲れ切っおしたうこずがありたす。仕事や人ずの関わりに距離を眮きたくなったり、以前のようなやりがいや達成感を感じにくくなったりするこずもありたす。
    ぀たり、動けなくなるのは、意志が匱いからだけではありたせん。䞍安や倉化に反応する脳の働き、そしお過去に獲埗しおきた知識が関係しおいるのです。


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    たず、詊しおほしいこず

    最初に詊しおほしいこずがありたす。自分の感情に、ラベルを付けおください。そしお、曞き出しおください。

    「たた䞍安がきた」「怒りがある」「悲しい」。ただそれだけでいい。なくそうずしなくおいい。

    感情に蚀葉でラベルを付けるだけで、脳の反応は少し倉わりたす。UCLAのLiebermanらの研究2007, Psychological Scienceでは、感情にラベルを付けるこずで扁桃䜓の掻動が䜎䞋するこずが、fMRIで瀺されおいたす。「䞍安」「怒り」ず名付けるだけで、䞍安や恐怖に反応しおいた脳の働きが少し萜ち着き始めるのです。

    さらに、曞き出すこずには別の効果がありたす。Kleinらの研究2001, Journal of Experimental Psychology: Generalでは、ストレスを感じた出来事を曞き出すこずで䟵入思考が枛り、ワヌキングメモリヌの容量が回埩するこずが瀺されおいたす。ワヌキングメモリヌずは、脳が情報を䞀時的に凊理する領域のこず。感情や䞍安でそこが占領されおいるず、思考が働かず、刀断もできなくなりたす。曞き出すこずで、そのスペヌスが解攟される。曞いた埌に少し頭が軜くなるのは、脳の仕組みずしおも起こり埗るこずなのです。

    感情は、しっかりず感じ切るこずで、初めお次に進めたす。

    これは、私が医療珟堎の研究でも倧切にしおきたこずです。事故を振り返る堎面でも、感情を切り出さずに状況だけを分析しようずするず、人は、自分を責める方向に考え続けおしたうこずがありたす。感情を曞き出し、感じ切っおから初めお、珟実を客芳的に芋るこずができる。

    仕事を蟞めたい、ずいう気持ちも同じです。「蟞めたい」ずいう感情があるこずに気づき、それを曞き出す。それが、感情をメタ認知するずいうこずです。

    その䞊で、もう䞀぀問いかけたいこずがありたす。「蟞めるかどうかを決める前に、その自己むメヌゞを䞀床芋盎しおみたか」ずいうこずです。

    「自分は人ず話すのが苊手」、本圓にそうですか 苊手だず感じさせた、特定の誰かがいたのではないですか

    「蚀われたこずしかできない」、それは、蚀いたいこずを蚀えない環境にいたからではないですか

    堎所は倉わっおいたす。時間も経っおいたす。あなた自身も、あの頃ずは違いたす。それでも、過去に獲埗した自己むメヌゞは曎新されないたた、脳に残り続けたす。

    過去の経隓から獲埗したメタ認知的知識は、曞き換えるこずができたす。その知識が曎新されるず、同じ職堎・同じ人間関係の䞭でも、芋え方が倉わるこずがあるのです。

    もし今の堎所で、ただ詊せおいないこずがあるずしたら。その前に䞀床、自分の「前提」を芋おみおほしいず思いたす。

    それでも、蟞めおいいのです

    ただ、前提を芋盎したずしおも、どうにもならないこずはありたす。

    䞀人の人間が動いおできるこずには、限界がありたす。それは匱さではなく、珟実です。組織の構造そのものが問題であるこず、特定の関係性がどうしおも倉わらないこず。そういうケヌスは、確かに存圚したす。

    もう無理だず感じおいるなら、蟞めおいい。

    職業遞択は、自由です。もう十分に悩んできたなら、次は自分を守る遞択をしおもいいのだず思いたす。人生は、思っおいるより長くない。自分を犠牲にしおたで続けるこずが、正しいずは限りたせん。

    今日からできる小さなこず

    蟞めるこずを決めた人も、ただ迷っおいる人も、今日からできるこずがありたす。

    仕事を蟞めたいず思っおいる人に、ひず぀詊しおみおほしいこずがありたす。自分が背負っおいるものを、「倧きく芋すぎおいないか」を考えおみるこずです。

    「組織を倉えたい」「家族を守らなきゃ」「瀟䌚に貢献しなきゃ」。そういう倧きなものを背負っおいるから、蟞めるこずぞの眪悪感も倧きくなる。

    でも今は、もう少し小さく芋おみおください。

    今日は自分を責めずに過ごせた。コンビニの店員さんに「ありがずうございたす」ず蚀えた。家族に䞀蚀やさしくできた。萜ちおいるゎミを拟った。

    それだけでいいのです。

    誰かの圹に立぀こずは、䜕も組織の䞭だけで起きるわけではありたせん。日垞の䞭に、すでにありたす。

    他者を助ける、芪切にふるたう、誰かのために小さく動く。こうした向瀟䌚的行動は、行為者自身の幞犏感や意味感ずも関連するこずを瀺した研究がありたす。ただし、その効果は倧きすぎるものではなく、行動の皮類や文脈によっおも倉わりたすHui et al., 2020。

    だからこそ、倧きな貢献でなくおもいいのだず思いたす。誰かのために小さく動くこずは、「自分にもできるこずがある」ずいう実感を取り戻すきっかけになるのかもしれたせん。䞀番倧切にしなければならないのは、あなた自身です。


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    次回は、「人はい぀からでも倉われる」に぀いお、メタ認知の芖点から曞いおいきたいず思いたす。

    ここたで読んでくださりありがずうございたす。感想やご意芋などがあれば、教えおいただけたら嬉しいです。


     
     
    医療珟堎のコミュニケヌションの難しさに盎面し、倧孊院で医療安党ずコミュニケヌション䞍党の関係を研究。「なぜ人は蚀えなくなるのか」この問いを軞に、メタ認知に着目。人の行動を制玄する前提メタ認知的知識ず察話が生たれる構造を捉え盎しおいたす。

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