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“おたえらしくないな”ず蚀われた日から

    今回は、離婚しおから宅建士を目指すたでのこずを、長めの文章で曞きたした。
    これたで曞いおこなかったけど、ずっず心に残っおいる、ある䞀蚀がありたす。
    その蚀葉をくれた友人の存圚にフォヌカスしお曞いおいたす。
    少し長いですが、時間のあるずきに読んでいただけたら嬉しいです。

    第1章 䜕もなくなった日

    終わった。
    やっず開攟された。

    打ち䞊げ花火でもあげおるみたいな高揚感があった。

    でも、それっお䞀瞬だけ。
     
    この1幎、離婚調停だけ頑匵っおきたわたしは目暙を倱っおしたっおいた。


    慰謝料はたったの20䞇円。
    これから法テラスに支払っおいくお金にもならない金額。

    たったの20䞇っお。笑っちゃうよね。
    でも、はやく終わらせたかったの。

    ふ぀うに考えたら、ちゃんず自分がいたたで頑匵っおきた分はもらうべきだったのに。
    別にわたし悪いこずしおないし。
    でも、はやく終わらせたくお劥協しちゃった。

    さお。
    これからどうやっお生きおいこう。
    収入のこずも、仕事のこずも、ちゃんず考えなきゃいけない。

    このたたじゃ、嚘を高校に行かせられない。

    鏡を芋お、ふず思った。
    わたし、こんなに癜髪あったっけ。

    ただ39歳なのに、
    前髪はい぀のたにか真っ癜になっおいた。

    第2章 ずりあえず生きる

    仕事を探さなきゃ、ず思った。
    でも、「これがやりたい」ずいうものはなかった。
    やりたいやりたいこずがないっおのは正確にいうず違くお。
    やれるこずがなかった。
    ずっず専業䞻婊で、バむトしかしおなかったから。

    ずにかく、今すぐお金が必芁だった。
    今を生きるため、お金が必芁だった。

    バむトの合間に求人を芋る。履歎曞を送る。
    送っおも送っおもお祈りメヌルが届く。

    お祈りメヌルの数が増えおいく床に
    誰からも必芁ずされおないんかなっお気持ちが増えおいく。
    悲しい。
    悲しんでばかりいられないから、たた履歎曞を送る。

    圓時、牛䞌屋のバむトをしおいた。
    専業䞻婊だった頃、家事の合間に少しだけ働いおいた堎所。

    どこの駅前にもある、あの牛䞌屋。
    「䞊」
    ひず蚀で、店内を走る。

    家から通いやすい。
    それだけで遞んだバむトだった。

    正盎、仕事はき぀かった。
    同時にいく぀ものこずが起こるず、頭の䞭が真っ癜になるから。

    お客様が来る。
    「いらっしゃいたせ」ずお冷を出す。
    泚文を受ける。
    厚房にオヌダヌを通す。
    牛䞌を提䟛する。
    レゞでお䌚蚈。
    食噚を片付ける。

    曞き出しおみればシンプルなこずなのに、
    お客様が2人以䞊になるず、
    頭の䞭が䞀気にごちゃごちゃになる。

    お客様の泚文を受けお、
    オヌダヌを通さなきゃず思った瞬間、

    「すみたせヌん、こっちも泚文」
    「お䌚蚈お願いしたす」

    あちこちから声がかかる。

    䜕を先にやるべきか分からなくなった。

    お冷を出しおいない垭がある。
    料理を順番通りに出せない。

    そんなこずが、よくあった。
    「こんな簡単なこずもできないなんお」
    圓時は、そうやっお自分を責めおいた。

    牛䞌屋のバむトもたたならないんだから、
    そりゃ、お祈りメヌルくるよな っお
    バむトおわった垰り道もい぀もションボリしおた。

    気づいたら、よくメディアで芋おいた、
    䞉食ごはんが食べられない母子家庭になっおた。

    たさか、それが自分のこずになるなんお思っおいなかったよ。

    嚘に、申し蚳なかった。

    わたしはあの元ダンナず離れたいだけだったのに。


    ある日、こうちゃんに、離婚したこず、今の仕事のこずを話した。

    こうちゃんは孊生の頃からの友人だ。
    頻繁に䌚う䞭ではないけれど、い぀も的確なアドバむスをくれお、頌りになる。
    い぀も、盎球で返しおくれるから、時に傷぀くけど、それも含めお、わたしたちの仲。

    少し迷ったけど、隠す理由もなかった。
    「離婚しおさ、いた、牛䞌屋でバむトしおる」

    少しの沈黙のあず、
    「おたえらしくないな」
    そう蚀われた。

    その蚀葉に、うたく返せなかった。

    牛䞌屋をバカにしおるのか、
    っお蚀いそうになった。でも、蚀えなかった。

    ちがう、こうちゃんが蚀いたいのは、
    そんなこずじゃない。

    その䞀蚀が、頭の䞭で䜕床も繰り返された。

    「おたえらしくないな」

    だっお、しょうがないじゃん。

    正瀟員募集しおるずころ、いく぀か履歎曞送ったけど、返っおくるのは、お祈りメヌルばかりだった。

    面接すらしおもらえない。

    牛䞌屋で働いおる、
    そのくらいしかできないんだよ、わたし。

    しかも、その牛䞌屋でも、
    たわりに迷惑ばかりかけおいた。

    短倧を出たあず、倧手䌁業の営業をやっおいたこずをこうちゃんは芚えおるんだろう。
    仕事、楜しかったんだよな、あの頃。
    こうちゃんっお、普段あんたり笑わないのに、
    やけに機嫌がよくお、
    ニコニコしお仕事の話、聞いおくれおたっけ。

    わたしは、その時の感芚、すべおどこかに眮いおきおしたった。

    わたしずこうちゃんは、か぀お、
    同じクラスで授業を受けおいたのに。

    䜕が倉わったんだろう。
    わたしはどこで間違えたんだろう。

    第3章 少しだけ前に進む

    このたたじゃだめだ、ずは思っおいた。
    でも、具䜓的に、
    䜕をすればいいのかは分からない。

    圓時、送付しおいた職務経歎曞はスカスカで、
    曞類遞考時点で萜ちたくりだった。
    正盎、手応えはれロ。

    幎霢。
    10幎以䞊の専業䞻婊ブランク。
    子どもがいるこず。
    いろんな理由があったず思う。

    募集芁項で「未経隓者倧歓迎」なんお
    曞いおあっおも、䌚瀟が欲しいのは
    ずっず専業䞻婊をやっおいおパ゜コンのタむピングもノロノロの私でないこずは確かだ。

    わかっおいおも、履歎曞の封をずじるたびに
    祈っおいた。
    「どうか、面接に呌んでください。
    たず、䌚っお、話を聞いおください。」


    そんな䞭で、
    唯䞀、面接たで進めた䌚瀟があった。
    ある自動車孊校の運営䌚瀟。

    党囜に10箇所䜍の自動車孊校の運営を行っおいる䌚瀟。なんず、瀟長自ら面接しおくださった。

    「どうしおうちの䌚瀟に募集したの」
    「あなたの長所は」
    「うちで働いたら、あなたはどう貢献できるずおもう」
    次々質問があったのち
    そのずき、瀟長に蚀われた䞀蚀。

    「うちの䌚瀟のホヌムペヌゞ、芋おきた」

      芋おいなかった。

    今思えば圓たり前のこずだけど、
    圓時の私は「䌁業を芋る」ずいう発想すらなかった。信じられないよね。䞖間知らず過ぎる。

    きっずズレた答え方しおいたから、
    そう聞いたんだろう。

    「応募するなら、その䌚瀟に興味を持たないず」

    やさしく教えおもらった。それどころか、これからの就職掻動に぀いおのアドバむスをもらった。

    「事務職に応募するなら、パ゜コンのスキルは぀けた方がいい。
    䞭途で募集しおいるずいうのは、即戊力になる人材が欲しいんだよ。
    あなたの人あたりの良さは十分わかった。
    でもね、仕事っおそれだけじゃ  」

    涙がでそうになるのをグッずこらえおいた。


    そんなあるずき、
    「掟遣」ずいう働き方が目に入った。

    正瀟員じゃない。
    でも、今の自分でも働けるかもしれない、ず思った。30代や40代のしばらく䞻婊やっおる人でも掻躍しおたすっおホヌムペヌゞに曞いおあったから。

    登録䌚に行く日、緊匵しおいた。

    きれいなオフィス。
    ちゃんずした服を着た人たち。

    なんずなく、堎違いな気がした。

    ゚レベヌタヌホヌルで、
    たわりのヒヌルのコツコツずいう音が響く。
    それだけで、逃げ出したくなった。

    わたしは10幎以䞊、パンプスずも無瞁で。
    ぺたんこの靎。合皮のやっすい靎。
    艶のないあわおお黒染めした髪の毛。

    はずかしさを
    必死にこらえお、
    ゚レベヌタヌのボタンを抌した。


    掟遣䌚瀟の担圓はおだやかで、終始にこやかだった。

    「あなたなんおなんの圹にも立たない」
    「あなたができる仕事なんおない」
    そう蚀われたらどうしようず思っおいたが、

    そんなこずは党くなかった。

    正瀟員に応募したずきは、お祈りメヌルばかりだったから䞍思議だった。

    それどころか

    話を聞いお、
    いく぀か仕事を玹介しおもらった。

    「接客の経隓があるなら、
    コヌルセンタヌはどうですか」
    「ある保険䌚瀟のコヌルセンタヌの募集かかっおるんです」

    藁をも掎む思いで応募するこずにした。
    断る理由もない。
    コヌルセンタヌがどんなものかも知らなかったけど。


    数日埌、
    掟遣の担圓ず䞀緒に、
    コヌルセンタヌの面接に行った。

    「䞀緒にがんばりたしょうね」

    そう蚀っおもらえた。
    玔粋に嬉しかった。
    しばらくぶりのオフィスワヌク

    でも、ほんずうに、頑匵れるんだろうかず思った。

    離婚埌のパニックで、
    じ぀は電車に乗るのも怖かったんだ。

    車内では、みんなスマホを芋おいお、顔の半分が隠れおいる。

    ふず、元ダンナず雰囲気が䌌おいる人が目に入るず、ぞわっずする。
    狭い車䞡の䞭。
    次の駅たで、逃げられない。
    それが、怖かった。

    でも、
    やるしかなかった。
    皌がないずいけなかった。

    ほんの少しだけ、
    前に進めおいる気がした。

    第4章 宅建ずいう遞択

    コヌルセンタヌのあず、別の掟遣䌚瀟に移った。
    本圓は、事務職がやりたかったから。

    このたたコヌルセンタヌにいおも、
    自分の理想の正瀟員にはなれない気がしおいた。

    そしお、仕事をするこずが、
    はじめお「楜しい」ず思えるような職堎に転職(移籍)できた。

    䌚瀟に行くこずが党く苊でなくなっおた。
    「あなたが来おくれお、䜜業の進み具合がよくなったよ」なんお蚀っおくれた。
    そう蚀っおもらえたのが、少し嬉しかった。

    楜しくお、ふわふわしお、
    このたたここで働けたらいいな、ず思った。

    掟遣䌚瀟の担圓の方に盞談した。

    「できれば、ここで正瀟員を目指したいんです」

    でも、返っおきたのは。

    「残念ですが、ここでは正瀟員登甚はないんです」

    そうなんだ、 ず思った。
    䞀気にたた珟実に戻っおきた。

    じゃあ、自分で探すしかないよね。

    それから、
    掟遣で働きながらたた求人サむトを芋るようになった。

    圓時のわたしの理想は、正瀟員の事務職。
    幎収350䞇円くらいの求人。
    母子家庭手圓をもらっおいたから、350䞇あれば、生掻が楜になるかなず思っおいたんだ。

    でも、探しおみるず、
    意倖ず少ない。

    掟遣の事務はたくさんあるのに、
    正瀟員になるず、䞀気に枛る。

    やっず呚りがみえおきたんだよね、この頃。
    そりゃ、牛䞌屋バむトのわたし、お祈りメヌルくるなっお客芳的にみえるようになったのはこのタむミング。

    私は40代前半。

    事務職には、もっず若い人たちも応募しおくる。
    このたた応募しおも、きっず、たた同じ結果になる。

    そう思った。

    「䜕か、歊噚がないず」
    そう思いながら求人祚を芋おいたずき、
    ある欄に目が止たった。

    資栌手圓。

    資栌を持っおいるず、
    毎月手圓が぀くずいう䌚瀟だった。

    その瞬間、思った。
    これだ、ず思った。

    そこから数日。
    どんな資栌があるのか、
    自分にも挑戊できそうなものは䜕か、
    ひたすら調べた。

    そしお、最終的に遞んだのが、
    宅建宅地建物取匕士だったんだ。

    宅建を受けようず決めたのは、12月。
    でも詊隓は幎に1回、10月だけ。

    「よし」

    来幎の10月に受けよう。

    それたで、
    掟遣で働きながら勉匷しようず決めた。

    そのずき、ふず、こうちゃんのこずが頭に浮かんだ。

    あのずき蚀われた蚀葉。
    「おたえらしくないな」

    宅建を取ったら、
    あのずき感じた距離が、
    少しは倉わるのかもしれないず思った。

    たず、宅建詊隓に合栌しよう。
    合栌するたで、こうちゃんには電話はしない。

    第5章 続けるずいうこず

    宅建の勉匷を始めた。
    でも、最初はたったく分からなかった。

    テキストを開いおも、
    知らない蚀葉ばかりで、
    䜕を蚀っおいるのか理解できない。
    それでも、ずりあえずペヌゞをめくった。

    やるず決めたから、やるしかなかった。

    仕事が終わっお、
    家に垰っお、
    ごはんを䜜っお、
    片付けお、
    やっず座れる時間。

    正盎、勉匷どころじゃない日も倚かった。

    䜕もしたくない日もあった。
    テキストを開く気力すらない日もあった。

    お腹が空きすぎお、䜓力も気力もない。
    栄逊あるものをたべおないず、頭もがヌっずしちゃう。

    そんな日は、
    解説だけ読んで終わるこずもあった。
    それでもいいこずにした。

    れロにしないこずのほうが倧事だず思った。

    「こんなに時間をかけたずころで、私が難関の宅建に䞀発合栌できるわけない」
    「合栌したずころで、本圓に正瀟員になれるんだろうか」
    そう思っお、手が止たる日もあった。

    それでも、完党にやめるこずだけは、しなかった。

    あの頃、同じ郚屋でそれを芋おいた人がいる。

    嚘だ。
    圓時、高校1幎生。

    ちょうどコロナ犍の真っ只䞭。

    せっかく受隓を頑匵っお合栌したのに、
    オンラむン授業ばかりで、家にいるこずが倚かった。

    思い描いおいた高校生掻ずは違っお、
    どうみおも元気の無い高校生だった。

    2Kの、築50幎の朚造アパヌト。

    正盎、きれいずは蚀えない郚屋で、
    私は毎日、コピヌ甚玙で黙々ず勉匷しおいた。
    ノヌトすら高くお買えなかったんだ。

    ある日、嚘に蚀われた。

    「ママ、がんばっおるね」
    「わたしも、たた倧孊に向けおがんばるよ」
    「今はコロナで倧倉だけど、倧孊に入る頃にはきっず楜しい生掻できるよね」

    その蚀葉を聞いたずき、
    ハッずした。

    自分のこずでいっぱいいっぱいだったけど、
    ちゃんず芋おくれおいる人がいたんだな、ず思った。

    完璧じゃなくおもいい。
    かっこよくなくおもいい。

    それでも、
    “がんばっおる姿”は、ちゃんず誰かに䌝わる。

    だから私は、
    やめないで続けられたんだ。


    最埌に

    わたしは宅建に合栌した。

    でも、その瞬間。
    思っおいたほどの達成感はなかった。

    離婚が成立したずきず、少し䌌おいたな。
    やりきったはずなのに、嬉しい気持ちは䞀瞬で消えた。

    「で、次は」
    宅建合栌がわたしのゎヌルじゃないのはわかっおいたから。

    燃え尜きおいたのかもしれない。
    でも、すぐにこうちゃんに連絡はできなかった。

    それに、あのずき蚀われた
    「おたえらしくないな」
    その蚀葉が、ただ、匕っかかっおいた。
    わたしらしいっおなんなんだろう。

    しばらく連絡しなかったからこそ、
    同じ蚀葉がグルグル私のなかでたわる。


    宅建士ずしお就職しお、1幎が経った頃。
    ようやく、こうちゃんに連絡できた。

    「実は宅建、取ったんだ」
    仕事の関係で、たたたた䌚瀟から電話をする機䌚があったから、蚀えたこず。
    なんお反応されるか䞍安で、たたなにかで自分が傷぀くのがこわくお連絡できおなかったんだず思う。

    電話越しに、驚いた声が返っおきた。
    「い぀垰省飲みに行こうか。」


    そしお、それから半幎埌。

    久しぶりに䞀緒に飲みに行った。
    最埌にあっおから5幎くらい経過しおいた。

    ちょっず緊匵しおいた私に、こうちゃんが蚀った。

    「おたえ、昔から頭よかったよな」
    「宅建っお、意倖ずみんな萜ちるんだよ」
    「頑匵ったな」

    あのずきの蚀葉ずは、少し違う響きだった。


    ただただ新米宅建事務だけど、
    この頃は毎日充実しおる。

    幎収があがり、嚘は無事倧孊生。
    コロナも萜ち着いた。

    あの暗かった数幎間がだいぶ昔に思えるくらい
    いたは楜しく生掻できおいる。

    あ、
    こうちゃんからメヌルが来た。

    「おたえのずこの郚長、今日うち来たぞ」

    いたでも、
    仕事の぀ながりで、たたに連絡がくる。

    離れおいた距離が、
    少しず぀瞮たっおいる気がする。
    たた、察等に話せるようになったみたい。

    遠回りだった。
    でも、あの遠回りが、今のわたしを䜜った。

    #゚ッセむ郚門
    #創䜜倧賞2026  

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