
憤怒の嘆きは微笑を纏う エピローグ
秋島と野形は都内の居酒屋に来ていた。
「しかし、まぁ、義則。本当に、すまなかったな。お前が家に頻繁に来てくれていたの、嬉しかったぜ。ほぼ記憶はないけど。」
「記憶ないのかい!あぁ、俺の健気な献身、可哀想。」
秋島は、大げさに鼻を啜った。
「感謝はしている。覚えてないけど。」
ケタケタ笑いながら、野形は日本酒を煽っていると、秋島の携帯に通知の音が響いた。
「お!沢田さん、仕事終わってこっちに、向かっているみたいです!もうすぐ着くって!」
「そうか。」
「あ、そういえば、野形さん、うちの団長いたでしょ?田口さん。」
野形はその名前を聞くと眉間に皺を寄せた。
「あの人実は、会社の金を横領していたらしくて懲戒解雇になったんすよ。んで、更に、奥さんに不倫がバレて、離婚したらしいです。だから、あの人がうちの村に来ることはもう無いです。だから、安心していいっす。」
「それと、俺が思うに、村の人間は、案外野形さん自身のことは邪険にはしてないです。寧ろ俺ら、貴方とあなたの師匠に感謝しているんですよ。なんて言ったって、野形家の魔の手から遠ざけてくれているからね!うちの村の事!まぁ、皮肉だけどさ。だからさ、野形さん。堂々としていいんすよ。だぁれも気にしちゃいないです。」
そういうと彼は、俺は根っからのあんたの仏像のファンだぜと言い、仏像のストラップを見せた。
それはかつて野形が修行時代に作ったものだった。
野形はそれを見ると、笑い転げた。
おわり