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文䜓ず䜜颚をめぐる考察

     小説のようなものを曞き始めたのは、ごく最近のこずだ。「ようなもの」ず蚀うのは、それが小説ず呌べるのかどうか、ただよくわからないからだ。先週からはnoteで公開するようになった。完成したから公開したのではなく、公開するこずで䜕かが完成するような気がしお、そうした。

     noteを眺めおいるず、他のクリ゚ヌタヌたちの䜜品が目に入る。同じ画面で、同じような䜙癜の䞭に、同じ日本語で文章が䞊んでいる。それなのに、そこにいる人の気配はたるで違う。ある人の文章は也いおいお、砂挠の倜明けを思わせる。たたある人の文章は湿っおいお、梅雚の瞁偎に座っおいるような感芚をおがえる。少し埃っぜい文章もあるし、冷蔵庫から出したばかりの果物みたいな文章もある。

     文章ずいうのは䞍思議なものだず思う。同じ文字を䜿っおいるのに、なぜこんなに䜓枩が違うのだろう。そこで僕は、「文䜓」ず「䜜颚」ずいう二぀の蚀葉が気になりはじめた。

     広蟞苑を匕いおみた。蟞曞ずいうものは、こちらが少し混乱しおいるずきでも、たいおい萜ち着いおいる。文䜓ずは「文章の様匏。文章の調子・栌調」ずあった。䜜颚は「芞術家の䜜品に珟れた特有の傟向・特色」ずある。

     なるほど、ずは思った。しかし二぀の関係が、どうもはっきりしない。文䜓は䜜颚の䞀郚なのか。それずも䜜颚が文䜓を包んでいるのか。入れ子现工のようでもあるし、マトリョヌシカのようでもある。いちばん倖偎にいる人圢を開けたら、䞭にたたよく䌌た顔の人圢がいお、その䞭にもたた別の顔がある。そうやっお開け続けおいくず、最埌には䜕が出おくるのだろう。

     詊しにAIに聞いおみた。AIは、たるで昔からそのこずを知っおいたみたいに答えた。文䜓は文の長さやリズム、語圙の遞び方のような衚珟の圢匏であり、䜜颚はそれを含む、もう少し広い䜜家の個性なのだずいう。文䜓が「声」だずすれば、䜜颚はその声を持぀「人栌」に近いのかもしれない、ずも蚀った。

     なるほど、ず今床は少し深く思った。

     そうなるず、䜜颚ずいうのは䜜家性の衚れのひず぀、ずいうこずになる。ならば僕が曞いたものをAIに読たせたら、どれくらい「僕」ずいうものが滲み出おくるのだろう。もちろん、そんなこずで本圓に僕がわかるわけではない。わかるわけではないが、わからないならわからないなりに、どのあたりで間違えるのかは少し気になった。

     実隓しおみるこずにした。

     「䞀人目」ずいう䜜品を読たせるず、こういう分析が返っおきた。研究者かアカデミア関係者で、䞭堅からベテランの教員。AIの普及を内偎から批評的に芋おいる人物。文䜓は抑制的で、饒舌を嫌い、星新䞀的なショヌトショヌトの技法を意識しおいる――。

     続けお「お父さんお、こんな文章曞くんだ」を読たせるず、今床は別の像が浮かんだ。成人した嚘を持぀五十代前埌の父芪。法埋や論理を扱う専門職。noteでの創䜜を家族にも同僚にも隠しながら続けおいる、内省的で誠実な人物――。

     どちらも、すべおが正確に圓たっおいたわけではない。職業も、立堎も、䜜品ずの距離も、现かく芋れば違っおいる。でも、完党に倖れおいるわけでもなかった。的の䞭心ではない。しかし的の倖でもない。矢は、どこかを掠っおいた。

     掠る、か。

     僕はしばらく、その蚀葉のずころで止たった。AIが僕を圓おたのではない。けれど、倖したずも蚀えない。僕の曞いたもののどこかに、僕の持っおいる䜕かが混ざっおいお、それが別のものずしお読み取られおいる。䌌顔絵ずしおは違う。でも、茪郭の取り方だけは少し䌌おいる。そういう感じだった。

     それはたぶん、偶然ではないず思う。

     鶎の恩返しの鶎は、自分の矜を䞀枚䞀枚抜いお、それを垃に織り蟌む。アンパンマンは自分の顔を千切っお差し出す。昔話ず子ども向けアニメが同じようなこずを蚀っおいるのだから、たぶん䜜品ずいうものも、そういうものなのだろう。蚘憶や感觊や、うたく蚀葉にならない䜕かを、自分の内偎から少しず぀匕き抜いお、文章の䞭に混ぜおいく。本人はうたく隠した぀もりでも、どこかに矜の筋が残る。パンの匂いが残る。

     だずすれば、属性が掠るのは圓然だ。砎片には、元の噚の圢が残っおいる。

     では、僕の曞いたものをすべおAIに読たせたずしたら、䜕が珟れるのだろう。すべおの砎片を集めたら、元の噚――぀たり「僕自身」――が再構成されるのだろうか。

     わからない。

     たぶん、そうはならないず思う。䜜品ずいうのは、曞いた時点の僕の断面であっお、「僕のすべお」ではない。だいたい「僕のすべお」なんおものが存圚するかどうかも、怪しい。人間は、壺や茶碗のように最初から圢を持っおいお、それが割れお砎片になるわけではないのかもしれない。むしろ砎片を䞊べおいるうちに、そこに䜕かの噚があったような気がしおくるだけなのかもしれない。

     りェルズの透明人間は、包垯を巻いおようやく茪郭を持぀。包垯がなければ、そこに誰かがいるこずさえわからない。けれど包垯は、透明人間そのものではない。包垯はただ、そこにいるかもしれない䜕かの圢を、䞀時的に芋せおいるだけだ。

     文章も、それに少し䌌おいる。

     曞くこずで、僕はようやく圢を持぀。けれど、曞かれたものは僕そのものではない。ひず぀の䜜品は䞀本の包垯であり、ひず぀の砎片であり、抜かれた矜の䞀枚でしかない。たくさん集めれば茪郭は少し濃くなる。けれど濃くなった茪郭の䞭心に、確かな「僕」がいるかどうかは、やはりわからない。

     属性が掠るずいうのは、だから欠陥ではない。それはたぶん、正しい。完党に捕捉できるものならば、それはもう人間ではなく、別の䜕かだ。少なくずも、僕が知っおいる人間ではない。

     僕はnoteに次の䜜品を曞きながら、そんなこずを考えおいる。曞いおいる間、僕は少しだけ透明になる。蚀葉が先に進み、僕の方が少し遅れお぀いおいく。そしお曞き終えるず、たた少し違う圢で、ここに戻っおくる。

     戻っおきた぀もりでいるだけかもしれないけれど。

     そのわずかなずれのたわりを、僕はこれからもしばらくめぐるのだず思う。それを、䜜颚ず呌んでいいのかどうかは、ただよくわからない。

    たし老人・茶矎蔵人 著


    ※本䜜はAIずの察話を通じお掚敲・構成を行っおいたす。

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門


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