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俺んちの話パート3

    あらすじ

    ある土曜日の昼下がり、飼い猫の視点から描かれる家族の騒動。
    パート先の送別会へ向かう妻に対し、夫が無神経にも「若い嫁はいいよな」と口を滑らせたことで、穏やかだった家庭の空気は一変します。妻の怒りに触れ、離婚の危機にまで発展し大慌てする夫。その様子を冷ややかに見守る飼い猫と、怯える息子の凛太朗。
    結局、夫の必死の家事奉仕によって妻の機嫌は直りますが、その様子を見た凛太朗は「結婚は怖い」と独り愚痴るのでした。平和な日常に潜む、夫婦のパワーバランスをユーモラスに描いた短編です。


    土曜日の昼下がり今日は珍しく家族3人が揃っている。
    俺はもも太郎、ここのうちの飼い猫であり、ここの家の真の主人だ。
    俺ものんびりと窓際で日向ぼっこをしている。
    外の景色を眺めていたら、魅力的なレディが、軒下でお尻をこちらに向けてくつろいでいらっしゃる。昔なら我先とアピールに出向いていたのだが、腹を切られてからは、そんな気持ちがまったくなくなった。
    ただただ、彼女の魅力的な臀部を目で追っているだけだ。あー静かな昼下がりだ。

    ママが何やらバタバタとおめかしし始めた。
    「あなた、今日私遅くなるから、夕食は冷蔵庫に入れてあるので温めて凛太朗と食べてね。」
    「あれ、今日は何だった?」
    「また、前から言ってあったでしょう。パートが終わったら、社員の三浦さんの送別会があるって。」
    「三浦さんて、この間入社したばかりじゃなかったけ?」
    「そうなのよ。まだ23歳なんだけど寿退社が決まったのよ。彼氏が急遽ロンドンに転勤が決まって、ついて来てほしいって言われたそうよ。」
    「えー三浦さんて、23歳なの?若いね。」
    「そうね。まだ早すぎる気がするけど、相手の方は、一回り上の方ですって。今、はやりのアプリで知り合ったそうよ。」
    「アプリでそんな若い子と付き合えるのか?いいよな。」
    うん、何かピリッとした空気が流れたぞ。
    「良く昔から畳と女房は若い方がいいって言うしね。その一回り上の彼氏がうらやましいよ。」
    ママが固まっている。目が怖い。パパもうやめろ!!それ以上は!!
    「俺たちの時代にもアプリがあればよかったかもな。アハハ!」
    あー!!バカ、終わったな。。。。。!!

    ママが仁王立ちになって冷たい視線でパパを見てる。
    人間てやつはどうして自ら窮地に陥るようなことをするんだ。
    凛太朗は生唾を飲んで、そっと俺を抱き寄せ、二階に避難しようとしている。
    こいつにはまだ、空気が読めているらしい。

    鬼の形相のママが言い放った。
    「パパ、よーくわかったわ‼️若い奥さんが良ければ、いつでも離婚して若いお嫁さんをもらいなさいよ。その時は凛太朗の養育費と慰謝料、この家のローンは、返済して、パパに出て行ってもらいますから。」
    「私はもう出かけます。何なら貴方、今から荷物まとめて出ていきますか?」

    あんなにのどかだった日常が、地獄に変わった。
    ドアの陰から見ていた凛太朗が半べそかいて、
    「どうしよう?パパとママが離婚しちゃったら」って震えている。
    でもきっと、大丈夫だよ。こんなの今に始まった事じゃない。ただパパが学習できてないだけだから。と俺は思う。

    パパは事の重大さにようやく気付いたようだ。
    顔色が変わった。声が上ずっている。震えるような声で、
    「あ、そんな、これは一般論で、俺はママが一番だよ。分かっているだろう?本気じゃないって。」
    「ママ,ごめん、悪かったよ。俺にママしかいないから、離婚だけは許して!」

    すがるようなパパを残して、いつもより厚めな化粧をしたママは香水をプンプンさせて、無言で出かけて行った。
    パパは反省しているのか、いつもより静かになった。と、何を思ったのか、こまめに働いて夕食を済ませ片付けをして、お風呂の用意も済ませてただひたすら、ママの帰るのを待っている。なんか、口の中でごちゃごちゃ呟いている。そんな様子を俺と凛太朗は隣の居間の隙間から覗いている。「パパ、大丈夫かな?」凛太朗は不安そうに呟く。俺は、凛太朗の顔をペロペロ舐めながら、「大丈夫だよ。まあ、見てろって。」と心の中で呟いて応えてやる。
    いつもより遅くなってママのご帰還、ママのご機嫌はほろ酔いのせいか、少し直っているようだ。
    パパはいち早く玄関にママをお迎えにいき、「夕食美味しかったよ。片付けしてあります。お風呂も沸かしてあります。」
    ママはご機嫌が良くなったようで、「あら、ありがとう。又頼めるかしら。」
    パパはすかさず「はい、いつでも。」

    やれやれ、これで凛太朗も安心して寝られるってもんだ。心配して起きていた凛太朗がぽつりと言った。
    「僕、百合ちゃんにフラれてよかった気がする。結婚て怖いよ。」
    確かにメスは、窓越しに眺めているのが一番いいのかも知れないな。

    #創作大賞2026 #ファンタジー小説部門


     
     
    ままならぬ、この世の様々を思いの程につぶやきます。賛同できる方はそれなりに、賛同できない方は無視してください。長く人間やていると、余計な知恵もつきます。些細なことでも感動したり、腹を立てたり、ボヤキ尽くしますので宜しくお願いします。

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