
【閑話】白髪染めを顔面に塗る
「誕生日、どこ行きたい?」と娘に下心アリアリで聞いてみたところ、少し悩んだあと、「おばあちゃんのところ!」と答えた。
おばあちゃん家か〜。
遊んでくれる人が増えるし、公園は近いし、美味しいものは出てくるし、叱られる回数は減るし、そりゃ楽しかろう。だがまぁ、それはどこかの次回ということで。明日はサプライズでハーモニーランドだ。待ちに待ったキティちゃんだ。まだ教えないけど。
お風呂上がりでほかほかになった娘の身支度を済ませ、夫にバトンタッチして風呂場に戻る。明日の段取りをぼんやり考えながら、いつものビオレの炭クレンジングを手に取り、両頬へ塗り込んでいく。やっぱり6時には出発した方がいいか……などと考え始めたあたりで、なんか臭い。染料くさい。
さて、ここで説明しておきたい。
白髪が気になり始めた私は、3日前から「トリートメント感覚で白髪が染まる!」みたいな黒染めを購入していた。チューブタイプのやつ。そして洗顔も、チューブタイプである。
もう、おわかりだろうか。
ザッと血の気が引く音とともに、シャワーコックを捻った。顔面にシャワーを浴びせながら、まず手を洗う。そして顔を洗う。洗うというか、もう、削ぐ。頼む、勘違いであってくれという一縷の望みを込めながら削ぐ。そして水気を払って、おそるおそる鏡を見れば────閣下がいた。
どうしよう。
キティちゃんたちに合わせる顔が、聖飢魔II。
そこからはもう全力だった。
義母から貰ったシャワーヘッドから生み出される、ウルトラだかマイクロだかのシャワーを滝行レベルで顔面に浴びせる。あれだけCMで自信満々なんだ。今こそ力を見せてくれ。ゲホッゴホッと咽せたところで一旦顔を拭き、今度こそビオレのクレンジングを手に取る。頑張れ花王。“王”を名乗っているんだ、期待しているぞ。
拝啓 30分前の私へ
パッケージをよく見てから、顔に塗ってください。
閣下が私の顔からグッバイするまで、シャワーとクレンジングのシャトルランを繰り返すことになった鏡の前の私より
ハーモニーランド当日の話