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癖【掌編小説〜エッセイ】

    Blue hand




    眠い。
    パソコンの画面の向こうから一定のトーンで話す部長の顔が定まらない。
    毎月一回のzoom会議。
    日が高くなりつつある窓の外の景色を眺めながら、欠伸を我慢する。
    全く頭に入ってこない会社の業績のグラフに目を向けながら、昨日の妻の優しさを思い出す。


    たぶん妻は浮気をしている。
    その勘は間違っていない。
    学生時代からの付き合いだから、お互いの癖みたいなものは知り尽くしている。
    自分の一つの癖は、聞きたくない話があるとすぐに眠気が襲ってくることだ。
    たまのケンカの時も、さっさと終わらせたいのに妻は自分の気持ちや考え方を、何日にも分けて小出しに投げかけてくる。
    もう少し寄り添って聞いて欲しいのだろう。
    決して知らん顔しているわけじゃない。
    (次から言われる前に動けばいい)
    ただそう思うだけだ。
    「聞いてるの?」
    眠いのを我慢して黙って聞いている俺の背中に今日も問いかけてきた。

    妻に対しては、よく自分についてきてくれてると思っている。
    「俺はこれからも遊ぶと思うよ」
    そう言って結婚した。
    「そう言っただろ」とは直接は言わないが、何度か遊びや本気を繰り返したことはある。妻は何も言ってはこなかったが、微妙な日常の変化くらいわかっていただろう。

    「ありがとう、最近家の片付け、よくやってくれてるから」
    昨日の妻からの言葉。
    「おう」と俺は頷く。
    ありがとうの言葉を先に持ってくる時は、何かある時の癖だということに、妻は自分では気づいていないだろう。
    このところ、携帯に費やす時間が増え、ボディーソープやヘアオイルとかの香りに気を使うようになった。鏡を見る時も微かな笑みを浮かべたり仕草も女らしくなっている。
    いい気はしないが、浮気をしていたとしても自分もしてきたことだから特に何も思わない。
    それが長年の連れ合いってやつじゃないか。

    「ありがとう、ほんと助かるぅ」
    いや、本当は気付いてるのか?

    ああ‥
    また眠くなってきた。





    了

    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




    こんばんは。
    Blue handです。


    口で負けるからなのか、
    喧嘩が面倒くさいからなのか、
    結婚した後の男性って何か感じても
    黙ってることが多い気がします。
    それに妻をとっても信じてる。
    すごく素敵なこと。


    優しいなぁ。
    でも、
    女は強かしたたかな面も
    持ち合わせている生き物です。



    おんなとおとこシリーズ
    いろんな角度から書いてみたい。
    なかなか時間がないけれど。







    って、話。








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