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Photo bynekonosara

寂しさと期待の狭間で【掌編小説〜エッセイ】



    いつからだろう。
    このままでいいのだろうかと感じるようになったのは。



    結婚をし、自分は恵まれていると思っている。子供もすぐに授かったし、何より幸せを感じさせてくれる愛しい妻、美月がいてくれる。
    美月は四つ下で、一目惚れをした女だ。
    高校を卒業後、学校からの推薦で入社出来た自動車の整備工場で働いていた頃、たまたま入った定食屋に居合わせたのがキッカケだった。

    (綺麗な子だな)

    初めて見てから頭から離れなくなった。
    顔が見たくて定食屋に通い、何回か目が合うようになった頃、自分から声を掛けると、たちまち仲良くなっていった。
    美月の癖でペロっと少し舌を出す笑い方に心を奪われていった自分をたまに思い出したりする。
    これまでにも、数人の女性と付き合った事はあったが、全て相手主体の恋愛だった。
    面倒くさがりの性分なのか、好きと言われるから付き合うという投げやりなもので、自分というものが無かったように思える。
    美月は、そんな自分を変えてくれた女で、付き合っていた頃も、そして今でも自分にとって愛しく思う気持ちは変わっていない。
    まわりの男友達や同僚たちは皆、口を揃えて同じことを言う。
    「女ってやつはよ、子供が出来ると変わるんだって。女じゃなくなるんだって」
    そう言いながら構って欲しい気持ちを持ちつつ、寂しさを他の女で埋める奴も少なくない。
    「優は、恵まれてるよ。可愛い子供と美人の嫁がいるからなぁ」
    そう言われるたびに、気持ちとは裏腹に心の奥底の何かがチクリと痛くなる事に、気づかないようにしている自分がいた。


    このところ、美月の様子に変化を感じるようになった。
    今までなら、優が出かける時も何も言わなかったのが、帰る時間を聞くようになったり、飲みに行く場所を聞いてきたりする。最初は自分に気持ちがあるからだと思っていたが、何か違うような気がする。
    そう感じたのは、寝る前に歯を磨こうと洗面所へ行ったとき、美月がお風呂から上がったタイミングと鉢合わせた時だった。久しぶりに見る裸体にドキリとし、見惚れながら美月の顔に目をやると、露骨に嫌な顔を見せ、「なに?」と体をバスタオルに包ませた。
    一瞬、見間違いかと思ったが、その何とも言えない空気感に居ても立ってもいられなくなり歯磨きすることも忘れ寝室に戻った。

    (今の顔は見間違いだよな)

    体が硬直しているのが自分でもわかる。
    喧嘩もしていないのに、一体あの顔はなんだったのか。
    優は急に不安になり、おもむろに美月のクローゼットにある下着が入った引き出しを開けていた。なぜそうしたのかは、自分でもわからなかった。
    そこには優が知らない美月の一面が隠されていた。優には見せたことのない嫁の女の部分。
    「何してるの?」
    何分その場で動かずにいたのか、美月の声で我に返る。
    「美月、この下着、俺、見たことないよ」
    声が震えている。
    「そう?ママ友に教えてもらった通販で一緒に買ったの。見えないところのオシャレってやつ?」
    そう言ってペロっと少し舌を出し満面の笑みでこちらを見ている。

    (俺に見せるためだよな、美月)

    寂しさと期待の狭間で俺は今どんな顔をしているのだろう。



    了




    −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



    こんばんは。
    Blue handです。



    男の人って、あまり自分のパートナーを
    疑わないなって思うんです。
    その逆で女の人は勘が働くのか、
    何かしら疑って見てしまうことが、たまにあったりなかったり。
    人によるのかな。

    見えないふりをすることが円満なのかなと、
    ふと、感じた時にできたのがこれ。
    知らなくてもいいことってあるけれど‥
    なかなか私には出来ないことかも。
    んー、昔に比べたら、見ざる・言わざる・聞かざるが出来るようになったかな。



    今日はいい夫婦の日ですね。
    目の前に居てくれる人をまずは大切に。





    って、話。

     
     
     
    考えるより、感じることを大切に生きる おとなこどもでもいいじゃんね

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