
あの日
あの日、なぜ振り返らなかったんだろう。
高校1年の9月、「今日はいいか」と
見送ってくれている母を振り返らずに、
自転車で角を曲がりました。
入学してからその日まで、必ず振り返って
いたのに。
その日の夜、半分眠りこけながらヴァイオリンの練習をしていたら、物音が。練習を切り上げ、珍しく早くかえ帰ってきた父と話をしていたら、また物音が。そういえばお母さんのお風呂、やけに長い!くも膜下出血でした。
救急車で運ばれた病院のソファで、朝がくれば母は意識が戻ってくるとのだと思っていました。夜中、ついたてが看護婦さんにも天使にも見えたことを今でも覚えています。
朝になれば。
でも、テレビのようなことは起きなかった。
2週間後、現役の公立中学校教師だった母は、お経をあげていたお坊さんが振り返るほど、たくさんの方に見送られて旅立ちました。
「第九を歌う会」に参加していた母。あと数年、生きていてくれたら、親子で同じ舞台に立てていたかもしれない、と思ったこともあるけれど、いや、厳しかった母に反発してやらなかったかも。
今となっては母よりずいぶん年上になってしまいました。厳しく不器用な母と、穏やかで器用な父の元に生まれて良かったと、ありがとうと伝えたいです。
そして、あの日振り返らなくてごめんね、と。
最後までお読みくださり
ありがとうございました。
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本日の耳ビジのお題、島茂代さんご提案の
「もう一度会いたい人」に沿って書かせていただきました。
#耳ビジ #末吉宏臣さん#下間都代子さん
#島茂代さん #宮村麻未さん