おなかと心に、やさしいスパイス
とある休日のこと。
ポシェットにスマホと
お財布に千円札だけ入れて
お散歩をしていた。
しばらく歩くと、
心地よい風と一緒に
カレーライスのいいにおいがしてきた。
どうやら近くにカフェがあるみたい。
立ち止まってGoogleでメニューを調べると
『ランチ1000円』
「お腹もすいたし、丁度1000円あるし、食べちゃおう♪」
カランカラン…♪
「いらっしゃいませ〜♪」
ご年配の男性が
挨拶してくれた。
奥にはご年配の女性もいて、
老夫婦でお店をしてるそう。
店内もウッド調で
落ち着く空間。
『初めてだけど
いい感じのお店で
よかった〜』と
安心して席に座る。
ところが
メニュー表を見ると
『ランチ1200円』
「えっ……。!?」
どうやら値上げしているそう。
お財布の小銭を確かめると、、、
全部で200円にはならない…
パニックになり
一気に顔が熱くなった。
『そうだ!クレジット使えるかも?!』
そうしてるうちに
マスターさんが近づいてきて
「メニューはお決まりですかぁ〜?」
「あの…すみません、、
お財布に1000円ちょっとしか入ってないの今気づきまして…、、
クレジットカード使えますか?」
ドキドキしながら答えた。
すると
「すみませんねぇ、うちは
現金だけなんですよぉ、
ちなみに、千円といくらありますかぁ?」
「1080円くらい…です。
でも、、!まだ注文前ですし、またの機会にランチしに来ます…!」
「そしたら、その値段で大丈夫だから、ウチで食べていってくださいな、ねぇ?古い店だから
クレジットカード使えなくて、すみませんねぇ〜」
「とんでもないです!!あの、
デザートとかサラダとか抜いて頂いて結構なので、、、!
本当にすみません……。」
「大丈夫、大丈夫。では
お待ちくださいねぇ〜」
『わぁ…申し訳ないことになっちゃったし、恥ずかしい…』
和らかい笑顔と声に、ドキドキした心臓が
落ち着いてくる。
季節は冬なのに
出されたお冷が心地よくて
一気に飲んでしまった。
しばらくすると
「お待たせしましたぁ〜ポークカレーでーす。」
お散歩中に嗅いだカレーライスが運ばれてきた。
煮込まれた玉ねぎがベースの甘めのカレーで
美味しい。
しかも、つけなくて大丈夫と言ったのに
セットのサラダも、プチデザートもつけてくれた…
優しすぎて涙が出そう。
『おいしかったぁ…でも、この美味しさって
マスターさんの優しさを感じてるからこそ
美味しく感じるのかも…』
食べ終わり、お会計へ。
「あの…結局サラダも、デザートもつけて頂いちゃって、すみません…!ありがとうございました…!」
「いえいえ、よかったです〜。ところでカレーは美味しかった?大丈夫だった?」
「はい…!とっても美味しくて…
心も身体もあったまりました…!
あの、私、家に帰って足りなかったお金を持ってきます…!」
「ええぇぇ。いいですよぉ、もうそろそろ
雨も降ってくるみたいですしぃ、
大変ですからぁ、またの機会に来てくだされば嬉しぃです~、気をつけて帰ってねぇ。」
「あ...、、すみせん、ありがとうございます...。」
お店を出て
帰りながら考えた。
あの時、
「そうですか、ざんねんですが
またの機会にどうぞ。」
こんなふうになるはずなのに、
お金が足りない私が悪いのに、
顔色一つ変えずに
親切に接客してくださった。
おなかよりも
心の中がありがとうでいっぱいになった。
あのご夫婦も
生活していく為に頑張って
お店のやりくりをしている。
足りないお金を返さずにいるなんて
できない…!
私は自宅に帰り、自転車でもう一度
カフェへ戻った。
カランカラン...♪
「いらっしゃいませ~。」
「あの...! すみません...!」

やさしいスパイスでした。
みなさんも、Googleのメニュー表写真には
ご注意を…☆