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Photo bylukecat101

求めていた音#毎週ショートショートnote【ギター式洗濯機】

    Love the PTA Toshi Inuzuka

     ある団地の一階に住む初老の独居男性はギタリストだった。昔は海外でも演奏したことのあるクラシックの奏者であった。第一線を離れここに移り住んだ時も、自室で奏でるその音色は漏れ聞こえる程度の音でも近隣住民は勿論空を掛ける鳥たちでさえもそれに魅かれた。

     しかし最近その音色が途絶えた。鳥たちはベランダの壊れた洗濯機の上から心配そうに覗く。
    「最近ギター弾かないな」
    「元気ないよな」
    「俺達で励まそう」
    「どうやって?」
    「おじいさんの音色を俺達がさえずるんだ」
     
     鳥たちは蓋の取れた洗濯機の中に入り歌った。洗濯槽がサウンドホールとなり彼らの歌は大きな音となり鳴り響いた。

    「なんの曲?すてきねぇ」近隣住民が集まりだす。
    「これだ!このトレモロが全て!」老人は窓を開けて洗濯機をのそき込む。

    「おじいさん!元気に!ぴぴぴぃ……」

     現役復帰した老人はギターの中に鳥たちを忍ばせ今夜も曲を奏でる。
    しかし近頃その街では鳥の姿を見なくなり、洗濯機の中には……。


    完410文字(字下げ空白除く)

    これが求めていた音だったのです。


    田原にかさんの毎週ショートショートnote今週のお題「ギター式洗濯機」に参加させていただきました。

    これは正直もう少し文字数が欲しいネタになりました。ネタの方向性がかなり他作品とかぶるので洗濯機のようなギター、ギターのような洗濯機、その合体版というのは敢えて外してホラーチックにしてみました。いやはや難しいわ、このお題は。

     
     
     
    兵庫県神戸市在住の60代の非正規雇用労働者。オス。これぞという作品を書き上げてから死にたい派。SS、ナンセンス系とか書いてますけどほんとは純文学派。親愛コメントを放つ場合あり。現在一部狂信的読者に支えられ『ケケケのトシロー』シリーズを連載中。ハンドルネームのPTAは学校関係なし。

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