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Photo byia19200102

もみの木のてっぺんの星【クリスマス百景】


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    ADVENT CALENDAR みわからすさん


    (本文918文字)

     我が家にもついにクリスマスツリーがやってくる年がきた。
    母がどこからかは知らないがツリーをもらってきたのだ。

     最初に箱を見せてもらった時には「え~、チっさ(小さい)!」と思ったのだが、箱をあけてみるとツリーは三つくらいに分かれていて、それぞれを継ぎ足す(プラスチック製の木なので)とそこそこの高さになった。

     木を安定させるために植木鉢のような台座にそれを差し込み、枝を曲げて広げる。多分、中に針金のようなものが入っていたのだろう。母が「お母ちゃん、ちょっと生け花習ってたから」と聞きもしないのに自慢しながら枝をくねくねと曲げていく。なんか松の木みたいな気がするが、小さい私にはそれを言語化する能力はなかった。

     そして飾りをつけていく。
    母と二人で好きなところへキラキラ光る玉や靴下や、なんかわからん花とか人形とかをぶら下げていく。
    「一番上にその星をつけるんやで」
     母の言葉に私は金色の星をてっぺんに差した。それから雪の代わりの綿をところどころに乗せ、そして「あれ」。ちかちか光る電球が付いたコードを掛けていく。

     完成だ。すぐにちかちかさせてほしい。私はコードの先につながったプラグを早くコンセントに差したい一心でそれを持って壁のコンセントへ走る。

     しかしそれは微妙に短かった。勢い私が引っ張ったためにせっかく飾り付けたツリーは見事に横転した。

    「あー……なにしとんの!!無理に引っ張ったらあかんやろ……せっかく飾ったのにやり直しやんか」母は落ちた飾りを拾いながら、ツリーを元に戻そうとする。私の背丈の半分くらいの大きさのツリーは見事に半分が枝をあらぬ方向へ曲げ、ブサイクな形になっていた。
    慌てた私は母を手伝うつもりで駆け寄る。その時「ペキッ」と音が鳴る。

     足元には金の星がぺしゃんこになっていた。

    「あっ……」
    「あっ……」

     号泣する準備はできていた。(どっかで聞いたことあるが許せ)
     次の母の怒号で涙はだせる。完璧な準備ができていた。しかし母は黙ってぺしゃんこの星を拾い上げ、怒りもせずになんとかツリーのてっぺんに差し込んだ。

    「ごめん」
    「ええよ。しゃあないわ」

     母の優しい一言に、流す必要がなかったはずの涙と鼻水を母の割烹着になすりつけていた。

     
     続く


    みわからすさん、歩行者bさんの共同企画#いつきちゃんのアドベントカレンダーへの参加作品です。連作形式でお届けしています。


     
     
     
    兵庫県神戸市在住の60代の非正規雇用労働者。オス。これぞという作品を書き上げてから死にたい派。SS、ナンセンス系とか書いてますけどほんとは純文学派。親愛コメントを放つ場合あり。現在一部狂信的読者に支えられ『ケケケのトシロー』シリーズを連載中。ハンドルネームのPTAは学校関係なし。

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