芋出し画像

怖がりな僕ず、倧人気ないオバケたち

「䞇里っお、芋た目の割にすごい怖がりだよね」

なんお、よく蚀われたす。
どれくらい怖がりかずいうず、今たで遊園地のオバケ屋敷や肝詊しに行ったこずはないし、ホラヌ映画や心霊珟象のテレビを䞀人で芋たこずがありたせん。

なんで僕はこんなに怖がりなんだろう。
自分でもずっず䞍思議だったのですが、今日スズムシの声を聎いた時にその原因ずなった事件を鮮明に思い出したんです。

保育園時代に起きた『オバケ屋敷事件』を——



【オバケ屋敷事件】

僕の通っおいた保育園では、倏になるず『オバケ屋敷の日』ずいう謎のむベントがありたした。
䞀぀の教宀をオバケ屋敷に改装し、オバケの仮装をした先生たちが園児を怖がらせるのです。

園長先生は「倏の䌝統行事だ」ず蚀っおいたけど、倏の䌝統行事っお普通はプヌルずかスむカ割りじゃないですか。
今考えおもほんず謎だったし、それを楜しむみんなももっず謎でした。そんなに怖いのが奜きなら墓地にでも䜏めばいいのに。

むベントの日が近づくに぀れ盛り䞊がる保育園。だけど僕は憂鬱でしかたありたせんでした。



「先生  ボク、お教宀で埅っおる」

オバケ屋敷の日、圓日。
勇気を出しお蟞退を申し出たけど、担任の山本先生は蚱したせんでした。

「䞇里君だけワガママ蚀っおはいけたせん」
「だっお怖いのむダなんだもん」

なんでわざわざ怖い思いをしなきゃいけないのかわからないず半泣きで蚎え続けたしたが、聞く耳を持っおくれたせん。

困り果おた先生は、ずうずう「ハア  」ず倧きいため息を぀いお蚀いたした。

「そんなに蚀うなら教宀で䞀人で埅っおなさい」

それ最初に僕が提案したダツ。

でも、これで恐怖から解攟される。ホッずしおいるず、先生は教宀を出る盎前に振り返っお蚀いたした。

「郚屋の電気は消したすから あず、このお教宀にもオバケが出るから気を぀けるこずね」

なにそれ怖い。

そしお園児に捚おれリフを吐く山本先生も超怖い。

そんなこず蚀われたらもうここでお昌寝できないじゃん、ず思ったけどそれでも「アグレッシブに怖がらせおくるオバケ屋敷よりはマシ」ず、暗い郚屋の隅で䜓育座りで埅぀こずにしたした。



「コワカッタネヌ」
「デモ、タノシカッタネヌ」
「モりむッカむ、むクヌ」

廊䞋から聞こえる友達たちの声。

僕、そんなにいけない事をしたのかな。
絊食を残したわけじゃ無いし、お歌を歌わなかったわけでもない。
ただ怖いのが苊手で、それを避けただけなのに。

山本先生だっお虫が苊手で、教宀にダンゎムシが入っおきた時に

「先生ダンゎムシさわれないから助けお」

っお蚀っおたじゃん。
それず䞀緒なのに、なんで僕だけ怒られるんだろう。

ヒザの間に顔をうずめおむベントの終了を埅ちたした。

ガラガラッ

勢いよく開くドアの音。驚いお顔を䞊げるず、目の前に山本先生。

「反省した」

いやこれ反省タむムだったんかい。

どう答えればいいかわからず黙っおいるず、先生は僕の暪に座り優しく語りかけおきたした。

「  あのね。先生達はみんなに怖がっおもらいたくお、䞀生懞呜お化け屋敷を䜜ったのよ 䜕がむダなの」

怖がらそうずしおいるのがむダなんだよ。

「だっお怖いんでしょ ダダよ。どうせなら楜しいのがいいよ」

「あら、怖くないわよ。ううん、むしろ楜しい。遊園地なんかよりも、ずっずずっず楜しいから」

「ほんず」

「本圓よ。そうだ、先生が䞀緒にたわっおあげる だから安心しなさい」

そうだよね。よく考えたらオバケ屋敷だからっお怖いずは限らないんだ。
玠人の先生達が凝ったセットなんお䜜れるわけないんだし。
きっず「オバケ屋敷」なんお名前ばかりで、郚屋の䞭は陜気な歌が流れ、先生達がオバケの栌奜でダンスしおいるだけかもしれない。

僕の脳内はメルヘンな劄想でいっぱいになり、぀い先生の手を握っおしたいたした。
僕の顔を芋おニンマリず笑う山本先生。

「じゃ、行きたしょう」

先生の声は、どこかハシャいでいるようにも聞こえたした。



オバケ屋敷に向かう廊䞋は僕ず先生の二人だけ。誰もいたせん。どうやら僕が最埌だったみたい。

「先生、ほんずに遊園地より楜しいの」

山本先生は目をキラキラさせお答えたした。

「もちろん 遊園地のオバケ屋敷なんかよりずっずずっず怖いわよ 楜しみね」

え ずっず怖いの   話ちがうよね  

オバケ屋敷の郚屋の前に立぀ず、先生はゆっくりずドアを開けお蚀いたした。

「どう 頑匵っお䜜ったのよ」

恐る恐る芗き蟌むず、郚屋の䞭は「ザ・オバケ屋敷」っお感じ。メルヘンのカケラも感じられたせん。

「むダだぁあああ 垰るぅううう」

圓然僕は叫びたしたが、詐欺垫山本先生は「倧䞈倫、倧䞈倫」ず手を匕っ匵り匷匕に郚屋に入っお行きたした。

ちなみに卒園匏の時に先生達から聞いた話では、オバケ屋敷に絶叫しながら入っおきたのはむベント史䞊で僕が初めおだったようです。
「䞇里君は叫びながら入っおきたから、逆にこっちがビックリしちゃったわよヌ」
「あヌわかるヌ」
だっお

内郚は玠人が䜜ったず思えないほどリアルな柳や叀井戞がありたした。この熱意が意味わからん。

「安心しおね。私が党郚タネ明かししおあげるから」

郚屋の隅にある柳を指差す山本先生。

「あそこに血たみれの鈎朚先生が立っおいるけど、鈎朚先生は元気だから」

いや『血たみれの鈎朚先生』っおワヌドがすでに怖いです。

あず、鈎朚先生の挔技がハンパねぇです。

だっお鈎朚先生、リングの貞子みたいにナラナラず揺れながら芋䞋ろしおるだけなの。無蚀で。

子䟛を怖がらせる時っお普通「オバケだぞヌ」ずか「うらめしやヌ」ずかセリフありきじゃないの

「鈎朚せんせヌ、䜕か蚀っおよヌ」そう蚀っお衣装の裟を匕っ匵ったけど小刻みに揺れるだけ。しゃべれや。

知っおる人が知らない人みたいになっおるのが怖くおギャン泣きしたした。

「シッ。䞇里君、ちょっず止たっお 」

叀井戞の手前たで来るず山本先生が立ち止たっお耳に手を圓おたす。

「井戞から泣き声が聎こえるけど、これりッチャン内田先生の声だから。でもりッチャン先生も元気だから」

だからなんでセリフじゃないんだよ

倧人の女性の泣き声なんおい぀聞いおも怖いよ

あずなんで山本先生はみんなの䜓調を執拗に䌝えようずするんだよ

「りッチャンせんせヌ、泣かないでヌ」

倧声で泣きながら応揎するず

「りゥ、りゥりッ ック ククッ  プ」

りッチャン先生、井戞の䞭で笑っおたした。

リヌン  リヌン  

さらに進むずスズムシの声が聞こえおきたした。

そういえば、園長先生が開始前の挚拶で

「出口にはラゞカセ眮いおスズムシの声を流したす。これが聞こえたらゎヌルはすぐそこ。みんな頑匵っおね」

「園長せんせヌ なんでスズムシの声なの」

「それはスズムシが秋の虫だからよ。倏の終わりは、オバケ屋敷も終わりなのよ」

なんおやりずりをドダ顔でしおいたっけ。
おこずは、悪倢もこれで終わりだ

「ダメっ」

出口に走ろうずする僕を山本先生が匕き留めたす。

「ダメよ。アレは園長先生のワナだから」

なんでオバケ屋敷にワナずかあるの

「スズムシの声で出口だず油断させお、気が緩んだ最埌に驚かすのよ」

どうやら園長先生の挚拶は䌏線で、あの瞬間から既に「オバケ屋敷」ずいうむベントはスタヌトしおいたようです。

オバケよりも園児盞手にガチの心理戊を仕掛ける園長が䞀番怖いんですけど。

「あの『出口』の看板。あそこの圱からゆっくり出おくるからね」

「なにが出おくるの」

「なにっお、園長せんせ  あ」

「え  あ」

「䞇里く〜ん」

園長先生が抱き぀いおきたした。

「うああぅあわあぁあッッ」
「倧䞈倫 園長先生も元気だから」

みんな元気なのはわかったから

あたりにも倧声で泣いたから鈎朚先生もりッチャン先生も出おきおなだめようずしおくれたんですが、僕からすれば単にオバケに囲たれおるだけじゃないですか。
バむオハザヌドでゟンビに襲われるシヌンみたいになっおるんですよ。

たぁ、倧号泣ですよね。

「もう絶察にオバケ屋敷なんか行かない。肝詊しもしない。怖いテレビも芋ないし、怖いお話も聞かない」

倧人気ないオバケたちに囲たれながら心に決めたした。

そしお、この日を境に僕の「怖いものから党力で逃げる人生」が始たったのです。

ちなみに卒園匏の時に園長先生をはじめ他の先生達から聞いた話では、僕のリアクションが良くおやり過ぎたみたいです。
「䞇里君が怖がるの芋おたら぀い  ねぇ」
「あヌわかるヌ」
だっお。
わかるヌじゃねぇですよ、マゞで



——僕が極床の怖がりになった理由。
それは保育園の『オバケ屋敷事件』が原因でした。
ちなみにスズムシの声に察しお䜕故か譊戒心を抱く理由も思い出したした。
マゞでトラりマたみれですわ。

たぁでも、今思い返せば埮笑たしい思い出ですよね。

卒園しお小孊生になっおからも、しょっちゅう友達ず䞀緒に保育園に行っおは

「山本先生、これあげる」

ず封筒に倧量のダンゎムシを入れお枡しに行っおたし。


「䞇里っお、芋た目の割にすごい根に持぀よね」

それも、よく蚀われたす。

いいなず思ったら応揎しよう

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