
「文の京」区民まんなかシンクタンク⑭「精神的に向上心のないものは…」

「文の京」の区民ならファンも多いと思いますが、夏目漱石の「後期三部作」の第三作となる「こころ」の出だしです。
「私はその人を常に先生と呼んでいた」と書いていますが、「私」は出会っていきなり「その人」のことを「先生」と呼びますから、誰に対し、何を以て「先生」と呼ぶべきか、この本を読めば腹落ちすることかと思います。
逆に言えば、「その人」のような人でない人を「先生」とは決して呼べない…ということも、最後まで読めば深く心に突き刺さることでしょう。
しかし、この本を読んだ中学生時代に筆者の心に残ったのは、この「先生」の学生時代の友人「K」が言った言葉で、「先生」も別の機を捉え、ブーメランのように「K」に言い放った次の言葉でした。
「精神的に向上心のないものは、馬鹿だ」--
それ以来、「こころ」の主題や趣旨とは別に、この言葉だけが筆者の心の中に深く〝根〟を張り、居座り続けました。

友人知人に「馬鹿だ」と言われないように、慕う〝先生〟たちを「馬鹿だ」と落胆させないように…
いま考えると、これはある意味、民主主義における有権者の責任としても重要な要素であるように思えてなりません。
リテラシー向上のためにはひとりひとりが「精神的に向上心」を持たねばならず、「精神的に向上心」のないところに、〝陰謀論〟や〝オルタナファクト〟〝ポストトゥルース〟が入り込むと言ってもいいのではないでしょうか。

今のよのなかは「政治に目覚める」ことばかりに目が行きがちで、目覚めた後のことをあまり気にしないようですが、目覚めた後、「精神的に向上心」のあるなしがリテラシーの向上に直結することを忘れてはなりません。
区民リテラシー(政治リテラシー、有権者リテラシーとほぼ同義)向上は、区民ひとりひとりの「精神的」な「向上心」の有無にもかかっていると言えます。

そのための啓発活動もまた必要であり、このシンクタンクの〝レゾンデートル〟もそこにあります。
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