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【エッセイ】休日の掃除機、タイミングが…

休日、家族が家にいると、掃除機がかけづらい。

別に、かけてはいけないわけではない。

家は私の家でもあるし、誰かに許可を取る必要なんてない。

それなのに、かけづらい。

娘がリビングでテレビを見ている。

掃除機、かけられる。

かけられるのだけれど、

「うるさい」

と言われる未来が見える。

だから、今じゃなくていいか、と思う。

しばらくして、娘が宿題を始める。

これはもう、完全に掃除機の出番ではない。

いや、宿題をしているからといって掃除機をかけてはいけない決まりなんてない。

掃除機をかけながら勉強したっていい。

たぶん娘だって、本気で「掃除機をかけるな」と思っているわけではない。

でも私は、

「宿題してるのに掃除機をかける母親」

になりたくない。

いや、そんな母親になったところで、誰も困らないのだけれど。

そして昼ごはんになる。

食べ終わる。

お茶を飲む。

スマホを見る。

ソファに寝転ぶ。

……今度は私が掃除機をかけるタイミングを失う。

家族が家にいる休日は、こうして時間だけが過ぎていく。

平日なら、誰もいない。

私は堂々と掃除機をかける。

テレビも消えている。
宿題もない。
「うるさい」と言う人もいない。

掃除機をかけるには、あまりにも快適な環境である。

なのに休日になると、急に掃除機が「家族の時間への侵入者」みたいになる。

ウィーン、と動かした瞬間、

「今?」

と言われそうな気がする。

言われたことは、たぶんそんなにない。

たぶん私が勝手に気にしている。

家族は家族で、私が掃除機をかけても、五分後には忘れているのかもしれない。

それでも私は、今日も掃除機を壁際に置いたままにしている。

かけてもいい。

むしろ、かけたほうがいい。

床には、昨日から気になっている小さなゴミも落ちている。

かければ、すぐ終わる。

なのに。

家族がいる休日は、掃除機がかけづらい。

「掃除機かけるよ」

と宣言するほどでもない。

「かけていい?」

と聞くほどでもない。

だから私は、掃除機の横を通り過ぎながら、

今日じゃなくてもいいか。

と、また思う。


平日になれば、

家族が出かけたあと、私は掃除機をかける。

ウィーン、ウィーン。

誰も何も言わない。

静かな家に、掃除機の音だけが響く。

やっぱり掃除機って、平日にかけるものだった。

……いや。

違う。

私が勝手にそうしているだけだ。

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