
半透明ハイキング
近未来。
山の景観を守るため、
登山者は半透明になるポンチョを着ることになった。
木々がよく見える。
岩もはっきりしている。
記念写真にも、山がよく映えた。
「ずいぶん自然になりましたね」
山頂で弁当を広げながら、男が言った。
隣では、
ほとんど透明な老人が弁当を食べていた。
「そのポンチョ、最新型ですか?」
老人は首を振った。
頭上を、調査用のドローンが通過した。
男の端末に通知が届く。
「登山道A 混雑率80%」
「登山道B 混雑率30%」
「山小屋 待ち時間30分」
「景観保全率 99.8%」
「すごいですね」
老人も画面を覗いた。
食べ終えると、老人は静かに立ち上がった。
足元には、
踏み固められた土と、
むき出しになった大きな木の根があった。
老人は山道へ消えていった。
その背中は、さっきより少し透けていた。
『3つのお題に空想のひらめきを』×『毎週ショートショートnote』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(※現場の違和感を、YouTubeショートでも発信しています。)
(※MBAの授業内容をまとめています。)
#3つのお題に空想のひらめきを
#毎週ショートショートnote
#半透明ハイキング
#ショートショートnote
#現場と経営のあいだ