
マッチョ華道誕生秘話
待つ時間。
百年眠る姫を起こすには、
枕元に花を生ければいい。
そう言い伝えられていた。
そこで一人が、
姫の枕元に小さな花を一輪、生けた。
姫の眉が、少し動いた。
それを見て、誰かが言った。
「これはつまりさ、小さくって可愛いってことなんだよ」
「もっと大きくて、壮大なものにしよう」
ところが、
城の大きな花器は重かった。
そこで生まれた。
「マッチョ華道」
翌年。
もっと迫力を出そうと、
鍛えた男たちが巨大な花器を運んだ。
そこに大木を生け、
大きな石を添えた。
大型扇風機で、自然の風まで演出した。
「迫力がある」
「王家にふさわしい」
評判になった。
その翌年は、もっと大きな花器。
さらに翌年は、もっと大木を。
花を生ける者たちは、
毎年、鍛え続けた。
十年後。
史上最大の作品が、
姫の枕元にドンと置かれた。
それでも、
姫は目を覚まさなかった。
侍女が、
鉢割れを起こした花器の隙間から覗き込んだ。
花がなかった。
『シロクマ文芸部』×『せりふ三題噺』×『3つのお題に空想のひらめきを』×『毎週ショートショートnote』
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(※現場の違和感を、YouTubeショートでも発信しています。)
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