
水抜き
水の音。
雨上がりの朝、グラウンドではいつも、一人の用務員が水を抜いていた。
長年、雨の翌日でも普通に試合ができていた。
誰も、なぜできるのか考えなかった。
その人が定年退職した。
退職後、初めて雨が降った。
翌朝、グラウンドは水浸しで、試合は中止になった。
監督が聞いた。
「水抜き担当は?」
誰も答えられなかった。
事務職員が組織表を確認した。
そんな担当者は、最初から存在しなかった。
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