
男子ばっかでほぼ男子校 in 横浜国立大学経済学部
我が母校横浜国立大学経済学部はほとんどの学生が男子で構成されていた。
「いや、うちの学部まじ男子ばっかでほぼ男子校」
と言う人は、そのことを誇りに感じているはずだ。あるいは、そうした状況にある自分のことを何か高尚なものだと感じている。「私の生活に女子は二の次、三の次ですよ」「あいつ、女子とばっかり喋っててキモいなー」「男子だけの方が楽しいわ」と言わんばかりの顔はむしろ性欲でパンパンに膨れ上がっていた。
かく言う僕の大学生活には、異性の影どころか同性の影すらなかったことはここでは不問にしたい。クラスのないうちの大学でサークルにすら入らなかった僕は、歩く陸の孤島と化した。それは、本来仲間から過去問を入手することができれば余裕にクリアできる定期テストを、ノー過去問ガチ勉強でかなりの程度乗り切ったほどだった。僕の見事なキャンパスライフは、学生の模範も模範で模範すぎてもはや反面教師ですらあった。
しかし、必修の英語だけは毎回同じ教室で同じところに座り、同じやつが隣にいた。はーい、こっからここまではA班ね〜。さすがは英語だ、大学生になってもグループワーク、班活動だ!!
あいうえお順の妙で僕の班は7人全員が男子となった。男子が集まりすぎた。経済を学びたい男子が集まりすぎた。他の班には2人ぐらいずつ女子がいたが、奇跡とも言えよう僕の班は全員が男子だった。真剣にグループワークに勤しむうちにだんだん仲が良くなっていく。他の班が女子の顔色を窺っている間に、僕らの班はどんどん仲が良くなっていく。なんならこの月曜2限及び火曜4限が楽しみですらあった。そんな過程を経てグループワークの時間はおしゃべりの時間と成り果てた。
「あれ?電車遅延してるの?」
と問う宮田先生に班の誰かが言う。
「あ、なんか東北新幹線が遅延してるみたいですよ」
いや、関係ないだろ!ギャハハハハ!!107講義室中が我々の笑い声で満ちる。いや、我々の班しか笑っていない。ここ横浜だぞ!誰が通学に東北新幹線使ってるんだよ!口々に茶々を入れる。
そこへ他の班の女子がやってきた。
「課題どんな感じー?」
「………。」
「表とかどんな感じで入れてんのー?」
「………。」
「あれーめっちゃ進んでんじゃん、すげー」
「………。」
あんなに盛り上がってたのが嘘みたいだ。全員黙って前だけを見つめ出した。まさに地獄絵図。この地獄が1番きついのではないかとすら思えてくる。次に現れたのは忌み嫌うべき救世主だった。たまたま横国に入れただけのチャラっぽいイケイケ男子。
「うわ〜すげ〜めっちゃ進んでんじゃん。てかさ、この前のさ、〜」
そう言ってその男子はその女子を連れて別のグループのとこに行った。まるで僕たちが陰キャみたいだ。だけれども、ああいう人嫌だよねーと陰口を叩いていた、まさにそいつに救われた。
そして、この一部始終がなかったかのように
ギャハハハ!!!!
ねぇ、みんな、誰か触れようよ。誰も女子と喋れないんかい!とか、言おうよ、せめて僕らの時間には。もう、東北新幹線とアイドルの話はいいから。じゃないと、僕らはずっとこのままだよ!