
我が家に住む足長お化けの正体
中2の長男が、いよいよ成長期のど真ん中に突入した。
「最近また足だけ伸びた気がする」という息子の独り言を逃さず拾い上げ、遅刻ギリギリで家を飛び出そうとする彼を捕まえ、満を持してメジャーを突きつけた。
短パンジャージの上からデリケートゾーンへの配慮という名の忖度をしながらの測定だったため正確性は乏しいが、身長約155センチに対して股下78センチという驚異の数字が出た。
思えば、サッカースクールで兄の異常なリーチに翻弄され続けていた弟が、悔し紛れに放った一言が「足長お化け」だった。
計算し尽くしたはずのボールを、反則級のリーチでことごとく掻っ攫われる弟にとって、それはもはや畏敬の念に近い称号なのだろう。
クラスでも誰も横に並びたがらないという事実が、その異次元さを物語っている。
実際、クラス内での共有事項によれば、170センチのバスケ少年より長く、183センチのサッカー少年よりは短いらしい。この比較データに基づけば、170センチ以上は確定だ。
身長は、手足から先に伸びるというが、足しか伸びていない現実が3年も続いている。
私たちが大きくないこともあり、身長は自己責任で!と伝えてきた手前、170センチに届くことすらあり得ないと思っていた。だからこそ、この事実は期末テストの失敗を帳消しにする以上に、震えるほど嬉しい。
ADHDという特性を抱える彼にとって、この伸びゆく身長は、誰にも奪えない彼だけの「武器」になるかもしれない。単純に高いところに手が届くことで生活の幅が広がるのはもちろん、私がおばあちゃんになった時、電球一つ替えられずに右往左往する心配もなくなった。
……ただ、もしこのまま足だけが伸びきって「真の足長お化け」として完成してしまったらどうしよう。
いや、そんなことになったら、「足長お化けの作り方」などを執筆し、一儲けできるかもしれない。彼が今後生活に困ることのないくらい、話題にはなるだろう。
さあ、次は体か、はたまた足か。
睡眠を削って好き放題している今の彼が、もし規則正しくスヤスヤと眠りにつくなら、180センチオーバーも夢ではないのではないか。また、いつか検証してみよう。
……つくづく贅沢な話だ。