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バブアーは重い。買った理由は、かなり軽かった。|Barbour Classic Bewick

寒くなってくると、クローゼットから黒いバブアーを出します。

袖を通す。

重い。

生地も、最初は少し冷たい。寒いから上着を着たのに、まずはこちらが服を温めるところから始まります。

私が着ているのは、BarbourのClassic Bewick。色は黒です。もう10年以上の付き合いになります。不満を言うには詳しくなりましたが、手放す方向には、あまり進んでいません。

これだけ長く着ていると、「一生モノだから買ったんですか?」みたいな、いい話にしたくなります。

違います。

流行りそうだったからです。そして、みんなと同じは嫌だったからです。

買った理由は、今着ている服の重さに比べると、かなり軽いものでした。


1.流行には乗りたい。でも、同じ服は着たくない。

当時の私は、バブアーがこれからもっと流行りそうだと思っていました。欲しい。ただし、街でみんなが着ているのと同じものは嫌。

面倒くさい。

マッチングアプリで「人とは違う出会いを求めています」と書きながら、人気のある人ばかり見ているようなものです。流行には乗りたい。でも、同じ車両には乗りたくない。

だから定番のBedaleやBeaufortではなく、Bewickを選びました。色も、セージではなく黒。

ただ、何でも珍しければよかったわけではありません。ここが、さらに面倒です。

私がバブアーに惹かれた理由には、ブランドの背景そのものもありました。当時のBarbourは、エディンバラ公、エリザベス2世女王、当時のプリンス・オブ・ウェールズから、三つのロイヤルワラントを授与されていたブランドでした。1974年、1982年、1987年と、三つが揃っていました。

これにも、かなり惹かれました。英国王室御用達だから品質が絶対だ、という話ではありません。こういう背景のある服が好きなんです。長く使われてきた理由がある。歴史がある。そのうえで、自分が買うなら、バブアーの原点を感じるワックスドコットンがよかった。

つまり私は、

正統派が欲しい。 ただし、王道ど真ん中は嫌。

という、ずいぶん注文の多い買い方をしていました。

素材は王道。ブランドも王道。でもモデルと色で、少し外す。

商品を選んでいるだけなのに、買ったあとの他人の感想まで指定しようとしていました。

「バブアーだ。でも、それ何のモデル?」

できれば、そのくらいがよかったんです。

2.獲物は持ち帰らない。肩の形は気にしている。

Bewickには、背中に大きなゲームポケットがあります。本来なら、狩猟で使うようなディテールです。

少なくとも、駅から職場までの間に、獲物を持ち帰る予定はありません。服のほうが、私より野外での用事を想定しています。

このちぐはぐさが、気に入っています。

さらにBewickは、肩がセットインスリーブになっています。ここも好きです。ニットの上から羽織ったとき、肩の形がちゃんと出る。ラフな格好ではいたい。でも、だらしなく見えるのは嫌。

また条件が増えました。

コーデュロイの襟。黒いワックスドコットン。少しずつ入ったシワ。泥臭いディテールなのに、肩だけは妙に整っている。

この服を買った頃は、「人と違うモデルだから」というところを、ずいぶん気にしていました。今は、珍しいかどうかを確認することはほとんどありません。

肩の形は、着るたびに見ています。

3.外では守ってくれる。車では、こちらが守る。

ワックスドコットンは、便利な服ではありません。電車では、隣の明るい色のコートに触れないよう少し気を遣います。車に乗るときは、レザーシートへのオイル移りが気になって、脱ぐこともあります。

外では、この服が私を守る。

車の中では、私がこの服からシートを守る。

誰が誰の保護者なのか、場所によって変わります。

当然、手入れも必要です。オイルが抜けてきたら、リプルーフする。保管するときは、カビも気になる。

昔の私は、こういう作業を「服と向き合う時間」とか「手入れの儀式」とか書いていたかもしれません。名前を立派にすると作業が終わるなら、私は家事にももっと積極的に名前をつけます。

手間は、ちゃんと手間です。正直、面倒です。

それでも、生地が少しずつ変わっていくのは好きです。黒の中に鈍い光沢が出る。シワが入る。新品の均一な生地から、自分が着てきた服になっていく。

「手入れが好きなのか」と聞かれると、少し違います。

この服のためなら、まあやるか。

そのくらいです。

4.10年後の電卓は、買い物に優しい。

買った当時は、約6万円でした。少なくとも10年着ているので、購入代だけなら月500円以下です。もちろん、ワックスなどの手入れ代は別。それでも、10年以上着ている服として考えれば、十分元は取っています。

流行りそうだから買った服が、10年後に割り算を通ると、長期計画の顔をする。自分の買い物を説明するときだけ、電卓はよく働きます。

でも私は、10年後のクローゼットを下見してから買ったわけではありません。

欲しかったんです。

自分でも少し面白いのは、選ぶときには「人と違うところ」をずいぶん探していたのに、今「なんでまだ着てるの?」と聞かれたら、答えがずいぶん普通になることです。

ニットに合わせたときの形が好き。 黒い生地の感じが好き。 襟を立てたときの感じが好き。

だからといって、昔の動機を恥ずかしいものとして消す必要もないと思っています。

気に入って着ているうちに、買ったときには知らなかった好きなところが増えた。重さも、冷たさも、面倒さも、一緒に分かりました。珍しい服を選んだつもりだったものが、今では私にはすっかり見慣れた一着になっています。

5.今年も、襟を立てる。

11月の朝。駅から職場へ歩いていると、冷たい風が吹くことがあります。

そんな日は、信号待ちの間に、コーデュロイの襟を立てます。

首元を留める。

肩に、いつもの重さが乗る。

ゲームポケットは、今年も獲物を運んでいません。おそらく来年も運ばないでしょう。

それでも、私はこの服を着ます。

信号が変わる。

黒いバブアーの襟を立てたまま、職場の方へ歩き出しました。


1.Barbour / Bedale

私が着ているClassic Bewickは、現在は廃盤です。
現行のバブアーを見てみたい方には、まず定番のBedaleがあります。Bewickとはディテールもシルエットも違いますが、ワックスドコットンやコーデュロイ襟など、この記事で触れた「バブアーらしさ」を感じやすい一着です。

3. Barbour / Re-Proofing Wax

ワックスドコットンのメンテナンスに使う純正ワックスです。
本文では「リプルーフ」と書いた作業に使います。
面倒です。
でも、この服のためなら、まあやります。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます

このnoteには、仕事、家族、愛用品、AIなど、その時々で私が引っかかったことを残しています。

だいたい、自分で面倒くさいことをして、あとから気づいた話です。

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