
優しく雨音を照らして
ライトグレーの空の色
今日はなんだか一日中薄暗い
しとしとと地上に降り注ぐ
やさしい雨音を聞きながら
オレンジ色の丸い電気で
散らかった机を照らしてみる
乱雑に置かれた本や雑貨達を少し払いのけ
やっと作ったわずかな隙間に
温かなミルクティーをひとつ
フーフーと息を吹きかけ
冷ましてはみるものの
なんだか
足りないものがある
なんだっけ?
台所の棚の上に
紅くてまあるいフォルムがひとつ
ひとりぼっちで寂しそうな姿に
ふと、目が留まった
私はこの子を手に取り
しばらくじっと見つめる
少し痛んではいるけれど
「まだまだ私は美味しいよ。」って
言われた気がしたから
優しくスライスして
温かなミルクティーに浮かべてみた
まったりとした甘い香りの中に
少しだけ甘酸っぱい
幼くて可愛らしい香りが広がっていく
なんだか切なくて、愛おしい
『ミルクティーに、林檎を添えて』