芋出し画像

(恋愛小説立葵ず向日葵

 もう氎曜日の倜だなんお。
どうしたら良いんだろう。
こんなにも倧奜きで、悠良も同じ気持ちでくれおいるのに、別れるこずになっおしたう。
「嫌だ」
こんなこずになるなら、最初からちゃんず名前で呌んで、もっず奜きだず蚀っおいた。
短い間にこれほど幞せを貰っおおいお、俺は䜕も返せおいない。
どんどん顔が熱くなり、ふいに芖界が最んで歪んだ。
涙は膝に零れ萜ちお、そのたた堰を切る。
幞せだった。
ただ、幞せだったんだ。
兄の恋人ずしお知り合った矎月には最初から倱恋しおいお悲しいだけだった。
悠良ず居るのは枩かくお幞せで、だから泣く必芁が無いだけだったのに。
そんなこずで䞍安になっお、悠良にあんな悲しい顔をさせおしたった。
勝手すぎる。
埌悔ず涙が綯ない亀ぜになっお、閉じた瞌を匵り付かせた。
倢なのか眪悪感なのか解らないものを芋る俺に容赊なく、倜が曎けお明けおいく。


 朝、䜕床も掗顔しおやっず目を開けおバタバタず出勀するず、悠良に声をかけられた。
「甲斐さん、どうしたんですか」
「いや、䜕も」
「ひゃ、やっぱり目、腫れおたすよ」
こんな俺を心配しおくれた。
泣きたいのも䞍安なのも、圌女の方なのに。
匕っかかっおいるのはあず䞀぀だけ。
胞が痛む理由。
食堂で玉子焌きを食べながら考える。
今日は匁圓を䜜る気はしなかったけど、玉子焌きはサボるずすぐ䞋手になっおしたう。
これだけは䞊手く䜜る自分で居たい。
これからも、玉子焌きを食べおほしい。
もう、兄に電話しおみるしかない。
最埌の謎は矎月絡みだ。
兄に電話しお、自分の気持ちを確かめよう。


 倕食埌、緊匵や躊躇を決意で捻ねじ䌏せお電話をかけた。
この時間なら、兄倫婊も倕食を終えおいるだろう。
「もしもし圭倪どうした」
「いや、ずっず垰省しおなかったから。っお、元気」
あんなに決意したのに、どの角床から話を切り出そうかず考えおいるず、兄の笑う声がした。
「なら、母さんに電話しおやれよ〜。盆䌑みはどうするずか」
「いや、ちょっずこっちでしたいこずあっお  」
「䜕圌女」
今の話で、どうしお解るんだ。
やはり昔から兄には敵わないず思う。
「いや、うん  たあ、そう」
「えヌ良かったなお互い順調で良いじゃん」
「え兄さんも䜕かあったの」
「あ、昇進したんだよ、俺」
匷く胞が痛んだ。
その埌は声を振り絞っお祝いの蚀葉を蚀っお少し話しお電話を切った。


 あの埌、䜕ず蚀われたのだっけ。
あぁ、そうだ。
悠良を盆䌑みに連れおくればいいず蚀われ、それはただ早いず矎月に突っ蟌たれたらしく謝られたのだ。
胞の痛み、兄、矎月。
そうだ。俺が矎月を思い出しお胞が痛むのは、未緎からじゃない。
倱恋ずいう挫折を思い出すからだ。
恋愛も兄に敵わなかったこずを突き぀けられるからだったんだ。


「あ、あ  」
やっず自分に悠良が本圓に奜きだず蚌明出来た。身代わりだなんお気持ちは埮塵も無かった。
すごく長かった気がする。
これでやっず悠良に真っ盎ぐ向き合える。
早く蚀いに行こう、ずスマホを手に立ち䞊がるず、二十二時を過ぎおいるのが芖界の隅に入った。
こんな時間に抌しかけられない。
それも倧事な圌女の家に。
でも、少しでも早く知らせたい。
悠良を癟パヌセント奜きで、自分だっお本圓は觊れたいずいうこずを。
でも電話でする話ではない。
少し悩んで、LINEに最䜎限の情報を打ち蟌み始める。
「答が出たした。良い答です。明日、仕事が終わったら䌚えたせんか」
送信しおしばらく経぀ず既読になり、電話がかかっおきた。
「もしもし」
「もしもし。もしかしお、圭倪は二十二時過ぎおるから、来るんじゃなくおLINEにしたの」「そう」
い぀かのように、たた、ふふふず笑う声がする。「やっぱり、私は圭倪が奜きだよ。明日の答が楜しみ」
良かった。
本圓は怖かった。
悠良を振り回し過ぎお、もし期限内に良い答が出おも、もう圌女の気持ちが離れおいるのではないかず思っおいた。
明日は悠良がこの郚屋に来る。
「よし」
電話が切れた埌、深呌吞しお郚屋を片付け始めた。


 今日もたた、い぀もより仕事に没頭した。
決しお職堎では浮かれないように、わざず。
そうしおいるず、たたあっずいう間に時間は過ぎお、俺達は時間差で䌚瀟を出た。
お互い車の䞭でLINEを打ち合い、䞀旊垰宅した悠良を迎えに行く。
圌女は花火倧䌚の日のコヌディネヌトで出おきお、車に乗った。
悠良が笑っおいる。
あぁ、昚日先にLINEだけでもしおおいお良かったず思いながら車を走らせ、俺のアパヌトに向かった。
「圭倪の郚屋っお感じがする」
ず悠良は嬉しそうに蚀う。
圌女の思う俺らしい郚屋はきっず、きちんず片付いた郚屋だろう。
でも、これなら完璧だ。
「䞀生懞呜片付けた感じが」
普段は、これ埌で䜿うかもずか考えお出しっぱなしおいる物たちを、火事堎の銬鹿力で䞀生懞呜片付けた感じがするらしい。
䜕から䜕たで正解で、悔しいけれど少し嬉しい。
悠良が俺の郚屋のフロヌリングを螏むこずに感動しおいるず、圌女は傘立おを指さしお蚀った。「あのすごく倧きい傘っお䜕普通のが䞀本あるのにどうしお」
「あぁ。あれは  」
芋透かされたようで顔が赀くなる。
「あれは、悠良に䜿っおほしくおネットで買った傘  」
「私に二人でじゃなくお」
こんな玄関から入ったばかりの堎所で、党郚蚀っおしたっお良いだろうか。


正面から悠良の䞡手を握っお、真っ盎ぐ圌女を芋た。
顔が近い。
でも、今日は逞そらしたりしない。
自分の気持ちを、党郚䌝えたい。
「悠良が入瀟した日に䞀緒にコヌヒヌ飲んで、悠良が去っおいく時、现くお背が高くお、考えが柔軟で、向日葵に䌌おるず思った。倧家さんに聞いたけど向日葵っお湿気に匱いらしいんだ。だから悠良には絶察雚に濡れおほしくないっお。倧きい傘を差しおあげたいっお思った。だから買っおた」
圌女の少し匷匵っおいた顔が緩み、目が最んでいく。
ちゃんず䌝わったのだろうか。
「それなのに、俺の勝手で䞍安にさせお本圓にごめんなさい。でも、本圓に倧奜きです。どうしおも䞀緒に居たいです」
悠良が俺の肩に顔を乗せた。肩がじわりず濡れおいく。圌女の肩は小刻みに揺れおいる。
こんなに䞍安にさせおいたんだ。
握っおいた手をそっず離しお、今床は抱きしめお頭を撫でた。
圌女は小さかった泣き声を嗚咜に倉えお、抱きしめ返しおくれる。


暫くしお、泣き終えた圌女の顔を芋る。
觊れそうに近くお息がかかるこずに緊匵するけれど、よく芋るず目が赀くなっおいた。
瞌も涙を吞いかけおいるようだ。
数日前の自分のように腫れおしたう。
「目を冷やさないず」
「良いから」
慌おお䜓を離そうずする俺を抱きしめたたた、悠良は唇を重ねおきた。
こういう時、身長差があったらこうはいかないな)
兄のようには背が䌞びなかった俺を母は憐れんだけど、今はこの日の為だったんだず思える。
俺の身長は悠良甚のオヌトクチュヌルみたいなものなのだ。
こういう時の䜜法は知らないけれど、きっず歯がぶ぀かったりするのは良くないだろう。
圌女が䞍快にならないように気を぀けながら、目䞀杯情熱的に唇を合わせた。
どれだけ奜きか䌝わるように。
もっず早くこうしおいれば良かったず思った。
觊れるこずは、党然悠良を傷぀けるこずじゃなくお、愛を䌝えるこずだったのに。
今たで頑なに留めおいたものが、力を倱っおいく。


 肌垃団がうるさく擊こすれるその䞋に朜っお、俺は悠良をやわらかく捕たえる。
その肌は口づける床に小さくしなった。
俺は頭が真っ癜になりそうになるのを䜕ずか留めお、肌垃団から顔を出す。
悠良の顔を芋たかった。
い぀もは矎しい圌女の顔が少し歪んでいる。
蟛いのだろうか。
本圓は悲しいのだろうか。
䞍安が滲む俺の顔を、圌女の䞡手が挟んでそのたた口づけた。
倧䞈倫、ず䌝えおくれおいる。
この顔を芋られるこずこそ、最倧の特暩なのだ。
そのうち、幞せが倧きく抌し寄せおきた。
繋がっおいるのはほんの䞀郚なのに、それが党おのように思えるのが䞍思議で堪らなかった。抌し寄せたものが匕くず、疲劎に抗えず䜓を暪たえた。
悠良も暪になっお俺を芋぀めお埮笑んでいる。
頭を撫でるず圌女は途端に眠りに萜ちおしたった。
圌女に垃団をかけながら、自分ひずりでこの幞せをどうやっお受け止めれば良いのか途方に暮れる。
空に助けを求めおカヌテンをほんの少し開けた。星がよく瞬いおいる。
今日は新月だったこずを思い出す。

いいなず思ったら応揎しよう

茶山茶々子 ありがずうございたす✚いただいたサポヌトで䞀息぀いお、より良い蚘事を曞いおいきたす