
西海市崎戸町百話#014〜港!?の土地
第十四話 浅浦ー港の土地
蛎浦から崎戸島に向かう途中、浅浦付近で海を見下ろすと、小さな入り江がある。
今は周囲を緑に覆われ、静かな海が広がっている。港の跡には、海へ向かって延びる二本の軌道のようなものが残っている。
かつて、この上には崎戸炭鉱の第二坑があった。
炭鉱は1968年に閉山した。半世紀以上が過ぎ、建物の多くは姿を消した。
人の手が入らなくなった場所には木々や草が生い茂り、少しずつ山へ戻っているようにも見える。
つい最近までは建物も建っていたが、撤去されている。
この土地には現在も所有者がいる。
不動産関係者から聞いた話では、この写真に写る港と周囲の山林の所有者は三菱関連企業で、土地代は「〇千万円ほど」という話だった。
もちろん、正式な売却価格を私が確認したわけではない。
それでも、この話を聞いて不思議な気持ちになった。
目の前にあるのは、山と海と、使われなくなった港である。
しかし、そこには今も値段があり、所有者がいる。
炭鉱の建物がなくなっても、土地そのものが消えるわけではない。
崎戸から炭鉱がなくなって半世紀以上。
森に戻りつつある入り江にも、炭鉱の時代は別の形でまだ残っている。
園崎咲人