
同じ光景、逆の結末
今年初めての現地観戦だった。
仕事のリズムも変わって、疲労感もない。
ただ純粋に、楽しめるはずの一日だった。
外周の屋台を堪能し、席についてスタメン発表。
9番 周東
ん?
小さなことかもしれない。
それでも、確かに引っかかった。
周東佑京
育成選手から這い上がり盗塁王4回、ベストナインとゴールデングラブを2回ずつ、侍ジャパンにまで選ばれるスーパースター
でも何よりも彼はこのチームの“始まり”だった
1番に立ち、塁に出る
出れば1歩目で流れを作る。
確かに今年は思うように打率が伸びず出遅れた感はある。仮にそうでないとしても打順の型やバリエーションを試す時期と考えれば9番に置く選択肢も悪くない。
そういう意味であの時は「やはり仕掛けてきたか」と感じた。
違和感は、開始数分で懸念に変わる。
この日の相手先発は毛利海大。
ルーキーながら開幕投手を務め、初勝利を挙げた投手。
160キロに迫るような速さはない。
それでも、伸びのある真っ直ぐと緩急のコンビネーションで、野手陣はミスショットを繰り返していた。
捉えきれない。
タイミングが合わない。
そんな空気が、少しずつ広がっていく。
応援席にもどことなく漂う淡々とした閉塞感。
均衡破れたのは7回
栗原陵矢 2ランホームラン
やはりホームランはいいもんだ。
冷えていたスタンドの空気が一気に点火する。
「気がする」ではない。
確かに熱くなった。
こちらの先発、上沢も8回まで0を並べ、そのまま試合は”淡々と”進み9回裏。
あとは彼に締めてもらうだけ——
杉山一樹
去年クローザー不在の逆境を救った連覇の立役者の1人だ。
大丈夫——
彼は1度も「失敗したことがないから」
先頭にヒットを打たれ、1アウト後にファーボール。
疑念が不安に変わるのは一瞬だった。
そのままタイムリーを打たれ1点差。
深いあたりでは無い上に2塁ランナーも特別足が速いわけではない。
それでも彼は帰ってきた。
2アウトまで漕ぎ着けるも2,3塁。
ヒットが出れば逆転サヨナラ。
その時は一瞬で訪れた。
「打球はライトへ」
嫌な記憶がよぎる。
打球は、前進守備の頭を越えていく。
逆転サヨナラ。
ふと目に入るスコアボード。
去年の記憶が蘇る。
2025年5月2日
——暗闇に光が差し込んだ「あの日」。
あの日も同じ相手、同じ展開。
最後まで粘り、勝利を手繰り寄せた。
今日は、その逆だった。
どこかで見たはずの光景が、
まるで鏡のように、反対側から返ってきた。
だがこれで終わりではない。
これは始まりに過ぎない。
酸いも甘いも糧にして、
もう一度、頂点の景色を見に行く。