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交通戦略で意識すべき視点

    case|事例

    (the Transport Innovation AllianceのRikesh Shah氏の論考)
    5月にバルセロナでthe Transport Innovation Alliance主催のリーダーシップフォーラムを開催した。そこでヨーロッパ20都市と世界の先進都市の交通の専門家たちとオープンに議論できたことはとても光栄なことだった。中でも特に印象的なのは、バルセロナでの議論の内容と先月のデトロイトでの議論の内容が重なり合っていた点だ。それぞれ背景こそ異なるが、どの都市でも私たちが解くべき課題は共通なのだと実感した。

    話題は、自転車レーンネットワークから交通手段転換、車両の脱炭素化、自動運転技術の導入、マイクロモビリティの統合、バスの運行効率化と多岐にわたったが、ネットゼロ、ビジョンゼロ、目標達成のためのデータの重要性の3つのテーマについては繰り返し議論になった。これは、各課題は個別に解決できるわけでなく、相互の関連を理解する必要があることを示しているように思う。

    ネットゼロについては、戦略の中で目標を設定するだけでは単なる理想論でしかない。都市や地域で起きていることを適切に理解し、その実態と目標設定を接続させる必要がある。当面の間、自動車と他の交通手段は共存していくであろうが、他の交通手段に投資が拡大されたら自動車の環境負荷は低減される必要がある。また、EVインフラは適切な場所に配置されるべきだが、現状はデータがないままに大規模に導入されている。ネットゼロの実現においては、交通事業者やステークホルダー、産業界のコミュニケーションを埋める必要がある。そのためには、多様な視点を受け入れる寛容さが求められる。

    ビジョンゼロについては、安全は実際の都市環境から切り離して設計できないことを理解すべきだ。自動運転技術は人命を救う可能性を秘めているが、それは技術のリスクが正しく認識され、その緩和策が厳密に管理された場合に限る。技術がガバナンスを先行することは許されない。例えば、バスを自動運転化する際、それは運行コストの議論から切り離すことはできない。その自動運転技術の導入は運行面だけでなく、財政面でも持続可能であるべきで、都市はその評価フレームを準備しなければならない。

    データは都市の目標の達成に貢献するためのものであるべきで、それが目的化してはならない。手段転換を持続的にモニタリングしている都市は着実に成果を上げている。また物語が伴わないデータは単なる数字でしかないことを理解するべきだ。

    insight|知見

    • 戦略を理想論とせず実態と紐づく目標設定が必要であること、データ分析や数量化を目的化しないことなど、まさにその通りだと思いますが、なかなか実践が難しい点でもあるように思います。

    • ビジョン-戦略-アクションは本来一貫するものですが、ビジョン達成に向けた戦略に位置付けられたアクションが実行できないことは往々にあります。また仮説なきデータ分析をしてしまい木を見て森を見ずに陥ってしまうことも良くあります。「計画」の専門家だけでく、実際の担い手などを含む多様なチームでビジョンや戦略を策定することが必要ではないかと思います。

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