
【第2回】警戒心という「頑丈なシェルター」が作られる理由
前回は、「傷つかないための警戒心が、実は自分を不自由な檻に閉じ込めているのではないか」という問いかけをしました。
では、私たちはなぜ、これほどまでに強固な心の壁を築き上げてしまうのでしょうか。今回はその心理的な構造を、少しロジカルに解剖してみたいと思います。
人が警戒心を強めてしまう最大の理由、それは極めてシンプルです。
それは、あなたの心が「二度とあんなに傷つきたくない」と、必死に自分を守ろうとしているからです。
バリアの正体は、過去の「防衛本能」
私たちは誰しも、過去に痛い思いをしています。
信じていた人に裏切られた、良かれと思ってやったことで非難された、あるいは深く傷ついた……。そうした記憶は、心の中に「痛みのトラウマ」として蓄積されます。
すると脳の防衛システムは、次のように学習します。
「もう二度と、あの絶望を味わってはならない」
「そのためには、最初から誰も信じない方がいい」
「新しいこと、未知のものは、すべて危険とみなそう」
つまり、今あなたが持っている強い警戒心や思い込みは、決してあなたが冷酷だからでも、臆病だからでもありません。過去のあなたを命がけで守り抜くために、あなたの心が必死で作ってくれた「頑丈なシェルター」なのです。
あなたが悪いわけではありません。むしろ、今日まで自分を無事に守ってきた、必要不可欠な本能だったのです。
あらかじめお伝えしておきますが……
昨今、多くの人が「スピリチュアル」や「目に見えない話」に対して強い警戒心や嫌悪感を抱くのも、これと全く同じ構造です。実体のないフワフワした教えに傾倒して現実を破綻させてしまった人を見れば、「足元をすくわれるな」と防衛アラートが鳴るのは当然です。
だからこそ、ここで一つ、あらかじめ明確にお伝えしておきます。
私はこの連載を通して、あなたを怪しいスピリチュアルに誘導したり、
目に見えない何かを勧めたりするつもりは一切ありません。
特定の思想を信じ込ませたり、フワフワした世界へ逃避させたりすることが目的ではないのです。むしろその真逆で、あなたの「現実の人生」をより強固に、より豊かに豊穫していくための話をしています。
シェルターが引き起こす、最大のパラドックス
話を戻しましょう。 過去のあなたを守るために作ったそのシェルターは、確かにあなたを外敵から守ってくれました。しかし同時に、大きなパラドックス(矛盾)を生み出しています。
それは、
「過去の危険」を防ぐのには役立っても、
「未来の幸せ」を受け取るためには、あまりにも密閉されすぎている
ということです。
外敵が入ってこない家は、同時に、心地よい風も、あたたかい太陽の光も通しません。 「誰も信じない、何も受け入れない」という思い込みが強すぎると、目の前に現れた本当に素晴らしいチャンスや、あなたの人生を応援してくれる人、あるいは「こっちに進めばいいよ」というあなた自身の内なる「直感」の声さえも、「怪しいノイズ」として一律でシャットアウトしてしまいます。
守ろうとすればするほど、本来受け取れるはずの豊かな世界から孤立していく。 これが、警戒心が引き起こす最大の損失です。
では、このガチガチに固まったシェルターの壁を、私たちはどうやって緩めていけばいいのでしょうか。
次回は、世間でフワフワと語られがちな「直感」というものを、魔法でもスピリチュアルでもない、誰もが納得できる「現実の構造」として、徹底的に言語化してみたいと思います。
(第3回へ続く)