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僕は、天の川銀河の星になりました。

               絵のない絵本
         僕は、天の川銀河の星になりました。
     
     僕は、ダウン症と言う遺伝子の病気持って生まれました。
    その影響で、心臓の部屋の壁がはっきりと分かれてませんでした。
     だから、血液が上手に流れなかったので、生れた時には、3時間もの間、生死の境をさまよいました。

     3人のお医者さんが、一生懸命治療してくれたお陰で、何とか持ち直したのですが、人工呼吸器と人工栄養器を鼻とのどに付けて、その上、心臓の動きを見る機械も付けられて、長く持っても、5年の寿命と言われました。

     ママは、看護師さんだったので、朝起きるとオムツの交換に始まって、顔や、体を拭いて、呼吸器の掃除をしてくれました。
       そして、朝のおはようから、夜のお休みまで、名前を呼んだり、気持ちは悪くないかとか、よく寝るんだよとか、しょっちゅう声をかけてくれました。       
     時々、歌も歌ってくれました。「あんなこといいな、できたらいいな、・・・・・ふしぎなポッケでかなえてくれる・・・・・」

     僕は、この歌が1番好きです。
     
     夜中でも、心臓の機会の異常音で、飛び起きて看病してくれました。
     
     僕には、2歳上のお姉ちゃんと、4歳上のお兄ちゃんがいます。
    優しくて、面倒見の良いお兄ちゃんと、かけっこが早くて、活発なおねえちゃんも、よく僕と遊んでくれます。
     名前を呼んでくれたり、手足をさすってくれたりします。
     お兄ちゃんは、絵本を読んでくれます。
     僕は、「となりのトトロ」のお話が1番好きです。
     お姉ちゃんは、オルガンを弾いてくれます。
       ♪サイタサイタ チュウリップの花が♬

     
     ときどきは、ちょっと離れたところに住んでいる、じいじや、ばあばも遊びに来てくれます。 
     やっぱり、名前を呼んで、手足をさすってくれるので。そんな時は、ちょっとだけ首を振って答えます。
     
       僕の誕生日の日は、もう大変です、いつもは忙しくて、夜中にしか返らないパパをはじめ、じいじやばあば、おおじいじやおおばあば、ママの妹のおばさんと、おじさん、それにいとこの家族、みんな集まってチキンを食べて、手巻き寿司を食べて、最後にママの手作りのイチゴのケーキに、ろうそくを立てて、火をつけて、みんなで、ハッピバースデイツユーって歌ってくれます。
     僕の代わりに、お兄ちゃんとお姉ちゃん、そして、いとこの3人で、思い切りフ~ッって、火を消してくれます。

     僕も、チキンや、手巻き寿司も食べたかったけど、ママ手作りのイチゴのケーキが絶対に食べたかった。
     
     こんな風に、いつもの様に、朝起きてオムツを変えてもらって、体を拭いてもらって、名前を呼んでもらって、お兄ちゃん、お姉ちゃんに足や手をさすってもらう生活が、もっともっと続くだろうと思っていました。
     来年の誕生日にも、再来年の誕生日にも、みんな集まって、イチゴのケーキのろうそくを、フ~ッって消してくれるだろうと思ってました。 

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     でも3年目の、冬の初めのとっても寒い日の朝、心臓の状態を伝える機械が、異常を教える警報音を鳴らしました。
     僕の心臓は、僕の心臓は悲鳴を上げました。
     ドキドキ、ドッキ、ドキ、―、ドッキって。
     
     急いで、ママが救急車を呼んで、僕は、病気の子供たちがたくさん入院している病院に運ばれました。
     僕の心臓はもう止まるかもしれない。
     僕は、ママやパパや、お兄ちゃんやおねえちゃんと、もう、二度と会えないかもしれない。
     
     病院の先生が、一生懸命治療をしてくれました。僕も頑張ったので、何とか持ち直しました。
     でも、その時から、2度とお家に帰る事が出来ませんでした。
     
     ママは、毎日、保育園にお兄ちゃんを送った後、お姉ちゃんをつれて、病院に来てくれました。
     お家にいた時と同じように、名前を呼んでくれて、体を拭いたり、オムツの交換をしてくれました。
     お姉ちゃんも、手や足をさすってくれました。
     だから、時々、首を振ったり、目を見開いたりしました。
     ママが「きっと、お姉ちゃんにさすられて、喜んでいるんだね。」と言いました。
     ときどきは、じいじと、ばあばも会いに来てくれます。じいじは、来ると必ず、足の裏と手のひらを、さすってくれます。じいじは6人の孫全員の足と手をさすった、と言ってました。「元気だった?」ばあばは声が大きくて、来たことが、すぐにわかります。
     だから、なるべく、ちょっとだけ笑うようにしています。
     
     1人でさみしくなると、具合が悪くなります。
     その時は、ママや、パパやお兄ちゃん,お姉ちゃんが駆けつけてくれるので、ときどき、具合が悪くなるふりをして、みんなを呼ぶんです。
    だから、みんなが駆けつけてくれると、ちょっとだけ元気になります。
     
     でも、4歳を過ぎた、1年で一番寒いころです。僕は、本当に具合が悪くなりました。心臓が僕の言う事を聞いてくれません。

     ドキドキ、ドッキ、―、ドキ、―、ドキドキ
     
     病院の看護師さんがママに電話をしてくれました。「具合が悪くなったの、すぐに病院にきてください。」
     ママと、ばあばは、お兄ちゃんとおねえちゃんを連れて、すぐに病院に駆けつけてくれました。
     心臓の具合を見る機械の、異常を伝える警告音が鳴りっぱなしでした。
     僕は、ヒュウーヒュウー、ゼイゼイと、とても苦しい呼吸をしていたので、ママも、ばあばも、お兄ちゃんお姉ちゃんも、とても心配そうに、「がんばれ、がんばれ」と言ってくれました。ママはずっと手を握っていてくれました。
     
     でも、一生懸命、治療をしてくれたお医者さんは「今夜が山でしょう。」と言いました。
     
        夕方になって、少しは楽になって、呼吸も元通りになりました。
     だから、ママだけ残って、ばあばが、お兄ちゃんお姉ちゃんを連れて1度お家に帰りました。
     ばあばと、お兄ちゃんお姉ちゃんが家について、夕飯を食べて、お風呂に入って、もう寝ようと言ってた頃、僕の心臓が、また、ドキドキ、ドキ、―、―、ドキドキ、―、―、・・・・・、ドキ、ドッ・・・・・・・・・。   
      
      とうとう、僕の心臓が止まりました。
     
     遠くで、ママが僕の名前を呼んでいます。
     僕の事を呼んでいます。
     遠くで、ママの泣く声が聞こえます。
     
     しばらくしたら、お兄ちゃんと、お姉ちゃんと、ばあばが、僕の名前を呼んでいます。
     遠くで、お兄ちゃんと、お姉ちゃんと、ばあばの泣く声が聞がこえます。
     
     むかし、パパが言ってたんです。もし病気に勝てなかったら、遠い、遠い、天の川銀河の、星の1つになるんだよって。 
     だから、今日、僕は、天の川銀河の星の1つになります。

     

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     僕の入院中に、新しいお家が出来ました。
     僕のお部屋もあります。
     お姉ちゃんが「初めてのお部屋だから、できるだけ長く一緒に居ようよ。」と言ったので、3日間、みんなで一緒に居ました。
     4日目の朝に、僕のお別れの式がありました。
     
     みんなに、かわるがわる、抱っこされました。
     パパに抱っこされてお別れをしました。パパは、何も言わずに、そっと涙をぬぐっていました。
     お兄ちゃんに抱っこされました。お兄ちゃんは、やさしくギュウしてくれました。
     お姉ちゃんに抱っこされました。お姉ちゃんは「私と、お兄ちゃんがママを守るからね。」といいました。
     ばあばと、じいじにも抱っこされて、お別れをしました。2人とも涙を流しながら、抱っこしてくれました。
     ママの妹は、長い時間 ギュウしてくれました。そして、耳元で「さよなら」といいました。
     いとこたちも、かわるがわる抱っこしてくれました。
     
     最後に、ママが抱っこしてくれました。
     3日間、いっぱい泣いた後だから、今日は、もう、ママは泣きません。
     そして、お花がいっぱいの小さな棺に、寝かしてくれました。
     1人1人が、1輪1輪、お花を入れてくれました。
     最後にママが大好きな、桔梗の花をいれてくれました。
     
           みんな、さようなら!
                             さようなら、ママ!

     

    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

     
     
    1951年生まれ 72歳 特技無く、取柄もなく、趣味も取り立てて無い、ただの年寄り。強いてあげれば、料理をする事です。まだ、フルタイムアルバイターとして、生活費を稼いでいます。孫は8人。せめて、孫に残したい事、を書くことにしました。

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