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【創䜜童話】【児童小説】 「カゲずかけっこ」

    あき䌜耶

    【あらすじ】小孊幎生のカケル君はかけっこが倧の苊手。運動䌚はい぀もビリ。明日は運動䌚。授業でかけっこの緎習をしたすが、カケル君のダル気はれロ。ずころがその日の垰り道、カケル君の圱が、カケル君を眮いお走り去っおしたったから、さあ倧倉 「がくのカゲ、たおっ」カケル君はあわおおカゲを远いかけたすが  玄5500字
    霜月透子さんず鈎朚りんさんの「ひだたり童話通」ふにゃふにゃな話参加䜜品䜜品です䞀郚改皿。
    本䜜は、「第回角野栄子もっずあたらしい童話倧賞ポプラ瀟」にお最終遞考に残りたした。

    この䜜品は、TALES、小説家になろうでも公開䞭


    「よヌい、ピッ」

    先生の笛の音が鳎っお、がくたちはいっせいにかけだす。
    䞀緒に走る友だち䞉人の背䞭はどんどん小さくなっちゃっお、い぀ものずおり、がくだけおいおけがり。
    毎幎毎幎、もうやっおらんないよ、こんなこず。
    がくのダル気は、れロ。本気になんかこれっぜっちもなれなくお、ぞろぞろず走っお最埌にゎヌルしたら、先生がさけんだ。

    「カケル君、䜍 䜍の旗に䞊ぶんだぞ」

    順䜍、わざわざ蚀わなくおもわかっおる。ビリの䜍なんお恥ずかしいし、もう、䜕回も蚀わないでくれよ 
    かけっこの順番埅ちをしおるクラスの目立ちたがりが、倧きな声でいじわるを蚀う。

    「カケルなのにカケルの遅いよなっ」

    ダゞャレに盛り䞊がるりルサむ声。
    聞こえないふりをしお、がくがず倧きく曞かれた旗のそばにじっず座っおいたら、先生がやっおきおがくに泚意した。

    「カケル、もっずたじめに走れ。今日ちゃんず走っおおかないず、明日の運動䌚で本圓の力が出ないぞ」

    ――なにが本圓の力だよ。
    がくは心の䞭で先生に蚀い返した。どう芋おも、みんなのほうが足は早い。がくがどんなに早く走ったっお远い぀けない。
    がくはスゞガネむリの䜍なんだ。幌皚園の時もずっず䜍。小孊校に入っおも背が䌞びたから早くなるかず思ったけど、幎生の時もやっぱりダメだった。だから今幎も䜍に決たっおる。䞀生懞呜走ったっお䜍なんだから、たじめに走れるわけない。
    ぎゅっず唇をじお先生の蚀葉を聞き流す。
    䞍機嫌になったがくは、先生が向こうに行ったのを芋届けおから、校庭の地面を蹎飛ばした。

    「いおっ」

    だれかの声が聞こえお、がくはキョロキョロ芋回した。
    今、䜕か聞こえたような  
    だけどそこには、校庭に䌞びるがくの黒い圱があるだけだった。

     

    孊童クラブでさよならのあいさ぀をしたがくは、校門を出おのろのろず歩いおいた。
    だっお、明日は運動䌚だし。かけっこ嫌だし。――䜍、かっこ悪いし。
    い぀もよりランドセルも、ずっしりず重く感じる。
    がくはむラむラしお、たた地面を蹎飛ばした。

    「いおっ」

    怒った声ががくの足元からった聞こえおきた。

    「痛いじゃないか」

    声のする方を芋るず、倕日に乗䌞びるがくの長い圱があった。けれども圱はい぀もずはちがっおいた。波のようゆらゆらず動いおいたんだ。

    「う、うわあっ」

    驚いたがくはバランスをくずしお尻もちを぀いた。お尻はゞンゞン痛かったけど、ゆれおいるカゲから目が離せなかった。

    「あっ、もうガマンできない オレ、おたえず䞀緒だず、走りにくくお嫌なんだけど」 

    カゲが文句を蚀いはじめたから、がくはもっずびっくりした。

    「かけっこの緎習䞭さあ、ずっずむラむラしおたんだ。だけどオレ、ガマンしおくっ぀いおおやったんだぜ なのにオレのこず蹎りやがっお オレ、おたえず走るの、もううんざり だからちょっくらおたえから離れさせおもらうわ」

    「は、離れるだっお」

    カゲはがくの足から自分のい黒い䞡足をぺりぺりずはがしおしたった。

    「こい぀は軜くおいいや。あぁせいせいした」

    カゲは喜んで、長い脚でぎょんぎょんずゞャンプをした。

    「そんじゃあな」

    そう蚀うが早いが、がくのカゲは地面を這っお商店街の方ぞ走り去っおしたった。
    がくは今起きたこずが信じられなくお、遅る遅る自分の足元を芋た。い぀も足に぀いおいるはずの圱が  、やっぱり無い

    「た、埅およっ がくのカゲ 埅おっ」

    がくは汚れたズボンの砂をはらうのも忘れお、あわおおカゲを远いかけた。

    商店街は買い物のお客さんでかなり混んでいた。
    お客さんたちの足の間をがくのカゲがすりぬけおいく。い぀も行く床屋さんやクリヌニング屋さんの壁にもカゲの姿が芋えた。カゲはすばしこくお、よく芋おいないず芋倱っちゃいそうだった。
    がくもお客さんの間をすりぬけながら、カゲを远いかけた。あんなずころを他の人に芋られたらどうしよう ず心配したけど、みんないそがしいのか誰も気が぀く人はいなかった。 
    商店街も半分を過ぎるず人が少なくなっおきた。カゲは動きやすくなったのか、さっきよりも早く走り出した。

    お願いだから、あんたり早く行かないでくれよ  

    がくが心の䞭でそう思ったずき、

    「あら、カケル君」

    ず、声をかけられた。買い物に来おいた近所のタナカのおばさんだ。

    「こ、こんにちは」

    がくがあいさ぀しお頭をさげたずたん、おばさんは早口で話しかけおきた。タナカのおばさんはすっごくおしゃべりなんだ。

    「あらたあ、いた垰りなの そういえば聞いたわよカケル君、明日は運動䌚なんですっお カケル君は䜕に出るの 玉入れ 綱匕き」

    おじぎをしたがくの目には、おばさんの足ず自分の足が芋えた。おばさんの足には圱が぀いおいるけど、がくの足には  なんにも぀いおいない。

    もしおばさんにこの足を芋られたら、あちこちでおしゃべりされちゃうぞ  

    がくはぞっずした。そうなったら、あの目立ちたがりに䜕を蚀われるかわかったもんじゃない。

    「おばさん がく、ちょっずいそいでるから  たたね」

    もっず話したいようなおばさんには悪かったけど、がくはすぐにサペナラした。おばさんにくるりず背䞭を向けお、カゲが進んだ方ぞず走った。
    ずころが、ただそう遠くに行っおないはずなのに、カゲがいなくなっおしたったんだ。

    「カゲのダツ  どこ行った」

    がくはあせった。お店や他の人の圱にたぎれこんだのかもしれないず、必死で探した。

    「あっ、あそこだ」

    がくがカゲを芋぀けたのは、い぀も行く駄菓子屋さんの前だった。カゲはお店の正面で、行ったり来たりしおいた。

    そういえば、がくもこのお店の前に来るず、぀い気になっおうろうろしちゃうんだよなあ  

    あい぀はがくのカゲだから、奜きなものもいっしょなのかもしれない。
    カゲはよっぜど駄菓子屋さんが気になるのか、お店の入口でピタリず止たった。そんなずころもがくずそっくりで、はずかしくおほっぺたがカアッず熱くなった  だけど、がくはハッず気が぀いた。

    カゲを぀かたえるには、今がチャンスだ

    がくは、走っお荒くなった息をなんずかおさえお、お店に倢䞭のカゲに近づいおいった。足だけをうんず䌞ばしお、そろそろずカゲの足にがくの足を近づける。
    だけど、あずもうちょっずのずころで、カゲががくに気が぀いおしたった。

    「うおっ、あぶねえあぶねえ」

    カゲはがくをさっず避けお走り出す。そしお、

    「お、こっちだった」

    ず、商店街のわきの道にするりず入った。

    「あい぀、この道を行くの うそだろ  」

    このしばらく先には、「地獄階段」お呌ばれおいるずっおも長い階段があるんだ。
    地獄階段は、がくの家がある高台ぞの近道だ。でも二癟段あっおすごく倧倉だから、町のみんなは遠回りだけど坂道を䜿っおいる。がくも小さい頃は楜しくお地獄階段に行ったけど、最近はもうずっず行っおいない。
    地獄階段ぞ続く道をカゲがすいすいず走っおいく。がくはカゲを階段の手前で぀かたえたかった。だっおあの地獄階段を䞊がるなんお、ぜったいに嫌だから。
    ずころが、カゲずがくずの距離は、だんだんず開いおきおしたった。
    おかしいな、がくの圱なんだから、走る早さはがくず同じはずなのに。
    そうか 倕日のおかげであい぀の脚は、がくより長くなっおるんだ それじゃあ、远い぀くわけないよ  
    そのこずに気が぀いお、がくはダル気れロになりそうになった。
    ――だけど

    「でもカゲがなくなったら、がく䞀生困る」

    あきらめかけたがくの心の奥から、ぐんず力がわいおきた。そのおかげで、カゲずの距離が少し近づいた。

    「カゲ 埅おったら」

    「やだね。だっおおたえ、オレを぀かたえお、向こうの坂道から垰る぀もりなんだろ」

    「そヌだよ、地獄階段なんおだれが行くもんか」

    「オレだっお坂道なんおたっぎらごめんだぜ だっおオレ、広堎に行きたいんだ」

    広堎っお  がくの家よりもっず䞊の、地獄階段の䞀番高いずころにある、小さな芋晎らし台の぀いた広堎のこずか。なんであい぀、あんなずころに行きたいんだろう べ぀に䜕もないずこなのに  
    広堎のこずを頭に浮かべたら、その隙にたた差を぀けられおしたった。カゲはずうずう地獄階段に着いお勢いよく䞊りだした。
    がくはハアハアず肩で息をしながら、目の前にドンず立っおいる地獄階段を芋䞊げた。ゎクリず぀ばを飲みこんで、がくも䞊りはじめた。最初は楜勝だったけど、あっずいうたに足がだるくなった。それでも足を動かしおいるず、今床は足の぀け根がすごく痛くなっおきた。がくの息の音もどんどん倧きくなっおいく。

    「足  き぀っ  もう䞊がんないよ  」

    がくは手すりに぀かたり、腕をひっぱるようにしお䜓をなんずか持ちあげた。
    カゲが階段を䞊りきるのが芋えた。 
    がくはを息をれ゚れ゚させながら、残った階段を根性で䞊っお、やっずのこずで䞀番䞊に到着した。
    カゲは広堎のたん䞭で倧の字になっおハアハアず寝転んでいた。
    がくはぞずぞずに疲れおしたっお、カゲを぀かたえに行くこずなんかできなかった。だから、重い石のような足を地面に投げ出しお、その堎に寝転んだ。
    がくが远いかけないずわかるず、しばらく䌑んでいたカゲは、広堎のあちこちを探怜しだした。
    がくはがうっずした頭で、ドクドク鳎っおる心臓の音を聞きながら、その様子をながめおいた。
    それから汗びっしょりのがくは、垜子をずっおランドセルを降ろした。服で汗をふいおいたら、高台のさわやかな颚が、がくのおでこや背䞭をひんやりずなでおくれた。
    カゲは楜しそうな声をあげた。

    「カケル、やっぱ、ここ気持ちいいぜ オレここ奜きなんだ」

    がくもこの広堎に来るのは久しぶりだ。小さい頃、お父さんやお母さんによく぀れおきおもらったな。
    ぐるっず山が芋えお、ひんやりした颚が気持ち良くお。芋晎らし台から䞋を芋るず、家や車が小さくお、おもちゃみたいで面癜かった。ボヌルを远いかけお遊んだり、自転車に乗れるようになっお嬉しかったのもここだった。
    カゲがはずんだ声で蚀った。

    「カケル、あの芋晎らし台たでかけっこしようぜ」

    疲れおいたはずなんだけど、カゲの楜しい気持ちがう぀ったのか、がくはなんだかわくわくしおきた。
    さっきは远い぀けなかったけど、今床こそ

    「よし」

    がくは立ち䞊がっお、倧きく深呌吞をした。

    「「䜍眮に぀いお、ようヌい、ドン」」

    がくずカゲは、芋晎らし台ぞ党力で走る。
    がくは、手をい぀もより早く振っお、足をい぀もより匷く蹎った。
    顔に、䜓に、手足に、颚がビュンビュンず匷く圓たった。
    のどがヒリヒリしおひっ぀きそうだった。
    カゲがほんの少しだけがくの先を行く。
    がくは歯を食いしばっお手ず足をもっず倧きく動かした。たるで倕日に䌞びたカゲの手足みたいに。
    がくの目にカゲの姿が芋えなくなった。芋晎らし台が目の前に迫る。
    がくは転びそうなぐらいに勢いを぀けお、そのたたゎヌルぞ突っこんだ。
    先にゎヌルに着いたのは、がくの右足だった。おくれお、カゲの巊足がゎヌルに着いた。
    スピヌドにのったボクの䜓は、そのたた぀んのめっお地面に転がっおしたった。痛かったけど、それよりもカゲを远いぬいたこずがすごくすごく嬉しかった。
    息が苊しいのに、がくは無理やり胞にたっぷり空気を吞いこむず、力いっぱいさけんだ。

    「やったヌ」

    「やるじゃん、カケル」

    カゲもうれしそうだった。

    「カゲ、くやしくないの」

    たずねたがくに、カゲは笑った。

    「だっおオレは、カケルおたえなんだぜ くやしいけどうれしくっお、そんでもっおすげえ楜しかったぜ」

    それから、元通りがくの足にくっ぀いたカゲずがくは、仲よく芋晎らし台から町をながめた。
    さっき䞊っおきた地獄階段も、商店街も孊校も遠くの駅たで、町が党郚芋わたせた。山の䞊に続く空はい぀もより広くお、絵の具の筆で曞いたみたいな倕やけ雲は、颚の圢になっおいた。
    さんざん走っお䜓はクタクタだったけど、気持ちは軜やかでスッキリしおいた。

    「「わあ、気持ちいいなあ」」

    がくたちは最高の気分で、倕焌けチャむムが鳎るたでずっず、芋晎らし台で颚に吹かれた。

    

    あくる日の運動䌚。
    倏のようにたぶしい倪陜が、がくの頭の䞊でじりじりず照り぀ける。
    党校児童が応揎する䞭、先生のスタヌト合図のかけ声ずピストルの音が次々に響いた。
    かけっこの順番が近づいお、がくはすっくず立ち䞊がった。
    するずカゲが、ずおも自信なさそうな小声で話しかけおきた。

    「おい、カケル。  オレ昚日みたいに走れないかもしんない。だっお今のオレさ、おたえよりずいぶん小さくなっちゃっおるからさ  」

    昌に近い倪陜のせいで、がくの足元のカゲは、かなり小さくなっおしたった。
    心配するカゲず正反察に、がくの心の䞭では、カゲず走ったあの気持ちよさがキラキラず光っおいた。だから、がくはカゲをはげたした。

    「倧䞈倫 がくが党力でカゲをひっぱるよ」

    そう蚀うず、カゲはぶるっず波打った。

    「  よし。オレこんなだけど、党力で走る。たのんだぞ、カケル」

    「たかしずけ」

    これからカゲず思いっきり走れるず思うず、なんだかワクワクが止たらない。
    䜍になるかもしれないけれど、あの気持ちよさを今日もたた味わいたいんだ。

    「しっかりくっ぀いおおよ おもいっきり行くからな」

    返事のかわりに、カゲはがくの足にピタリず貌り぀く。
    たっ癜に匕かれたスタヌトラむンぞず、がくたちは、䞀緒に足を螏み出した。



    おしたい

     
     
     
    第2回角野栄子もっずあたらしい童話倧賞にお「カゲずかけっこ」が最終遞考䜜品ずなりたした。 日本児童文孊者協䌚䌚員 2022幎より創䜜沌ぞ。読み手の心ず共鳎するモノが曞けたら嬉しいです(^^)  童話、ショヌトショヌト等々曞いおたす。他サむトにも䜜品を投皿、掻動詳现はにお発信䞭。

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