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幼馴染はじめました (毎週ショートショートnote)

     目が合った。
     飲み屋街の喧騒のなか、じっと僕を見つめてくる同年代の男。
    (どっかで会ったことがあるやつか……?)
     男の背後の電飾看板が明滅し、パッと強く光ったとき、僕の頭に昔の記憶が蘇った。
     思わず駆けよった。
    「……大輔、大輔じゃないか! 久しぶりだなあ、僕だよ、翔だよ!」
    「やっぱり! 翔だったのか!」
     懐かしい! 隣に住んでた大輔だ。小6で引っ越して行ってそれ以来だ。
     大輔と僕は居酒屋に直行し、会わなかった時を埋めるように語り合った。閉店で店を追い出されると、公園のベンチで缶ビールを開けた。
    「俺たちもよく公園で遊んだよな」
    と思い出に浸ろうとしたとき、信じられないことが起きた。突如、夜空にUFOが出現したのだ!
     驚愕する僕に、大輔は落ちつき払った声で言った。
    「そろそろ思い出せよ、翔。俺たちの星のこと。帰星するから、お前を迎えに来たんだよ」
     大輔の背後でUFOが眩しく明滅すると、それを合図に僕は全てを思い出した。
     そうだ僕は地球人じゃなかった、故郷の星で幼い頃から大輔と……
     
    ***
     
     強い光に目がくらみ意識をぼうっとさせる奴を見ながら、俺はほくそ笑んだ。手にした懐中電灯に似た、記憶改ざん装置をそっとポケットに戻す。
    「星に着くまでは、まあ仲良くやろうや、地球人のサンプル君。なにしろ俺たちついさっきから、幼馴染はじめたんだから」


    (了) 

     
     
     
    第2回角野栄子もっとあたらしい童話大賞にて「カゲとかけっこ」が最終選考作品となりました。 日本児童文学者協会会員 2022年より創作沼へ。読み手の心と共鳴するモノが書けたら嬉しいです(^^)  童話、ショートショート等々書いてます。他サイトにも作品を投稿、活動詳細はXにて発信中。

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