
【絵本】こなつちゃん どこにいるの?

きょうは はるの いいてんき。
だから ママとわたしは あさから おうちで おおそうじ。
まどを あけて そうじきを かけます。
おせんたくも たくさん やります。

「いいてんきだから こなつちゃんも おそとに だしてあげようよ」
わたしは ママに たのみました。
こなつちゃんは くろしばです。かぞくに なって じゅうねんほどに なります。
「こなつちゃん きょうは いいおてんき よ」
ママが こなつちゃんを よびますが こなつちゃんは こっちをみません。おへやのなかで ひなたぼっこを しています。
わたしが こなつちゃんの ちかくに いって こなつちゃんを なでると ようやく のっそり うごきだして ママのところへ いきました。
ママは そのまま こなつちゃんを おにわに だして くれました。
こなつちゃんは あくびを ひとつ すると まるまって おにわで ひなたぼっこを はじめました。
そのあいだ ママとわたしは せんたくを ほしたり そうじきを かけたり おおいそがし。

そうじが おわったのは おひるごろ でした。 たくさん うごいたので ふたりとも おなかが すいています。
「こなつちゃんにも ごはんを あげましょう」
そういって ママが おにわにいくと、 「あっ!」 と おおきな こえを だしました。
「どうしたの?」
わたしも おにわに いくと ママが おおあわてで いいました。
「こなつちゃんが いない!」
おにわの なかは だれも いません。 よくみると げんかんから おそとにでる とびらが はんびらきに なっています。
「こなつちゃんが にげちゃった!」
ふたりは そろって おおあわて。 いそいで こなつちゃんを さがしに そとへ でました。

そとに でても こなつちゃんは みつかりません。 とおくに いって しまった みたいです。 ふあんになる わたしに ママが いいました。
「だいじょうぶよ。こなつちゃんの くびわ には こなつちゃんの なまえが はいってるし パパの でんわばんごうも かいてあるからね。どこかで みつけて もらえたら パパに でんわが あるはずよ」
ママは そういうけど わたしは いてもたっても いられません。
「わたし こなつちゃんを さがしに いきたい!」
わたしが つよく いうと ママは うなずきました。
「じゃあ ママと いっしょに さがしに いこう」

とはいえ どこを どう さがせば いいのか わたしには わかりませんでした。
ママが「こなつちゃんは ひとりで おさんぽに いったのかも しれないね」というので さんぽみちを さがす ことに しました。
ママと こなつちゃんは まず いえを ひだりに でて じんじゃが ある みちを とおります。
そのみちを とおっていくと こうじげんばの おじさんが あかいぼうを もって たっています。

「すみません くろい しばいぬを みかけませんでしたか?」
ママが おじさんに たずねます。
「みましたよ。とっても ひとなつっこくて たくさん なでさせて もらいました。いぬは このみちを まっすぐ すすんで いきましたよ」
おじさんは わらいながら こたえました。
ママは それをきいて なんだか はずかしそうです。
「たくさん やさしくして いただいて ありがとうございました。うちのこが どうも すみません」
「おじさん ありがとう」
ママとわたしは おじさんに おれいを いって さんぽみちを すすみます。
わたしは こなつちゃんは おとこのひとが きらいだと おもっていました。なぜなら パパに よく ほえるから です。
でも こうじげんばの おじさんは へいきみたいです。

ママと こなつちゃんは いつもは じんじゃをとおりすぎて おうだんほどうを わたります。
ママとわたしが おうだんほどうに いくと ちいさなおとこのこと そのおかあさんが てをつないで たっていました。
ママは おとこのこのおかあさんに たずねました。
「すみません くろい しばいぬを みかけませんでしたか?」
おとこのこのおかあさんは わらってこたえました。
「みましたよ。おとなしくって かしこい いぬちゃん。ほえもせず かみつきもしないで このこと あそんで くれました」

ママは はやくちで、
「うちのこが おせわになった みたいで どうも すみません。いつもは こどもが にがて なんですけど むすこさんの ことは とくべつだったのかしら」
といいました。
わたしも こなつちゃんは こどもが きらいだと おもっていました。
わたしが ちいさかったころ こなつちゃんと あそぼうと おもって ちかづくと こなつちゃんは そっと とおくにいったり きゅうに ねたふりを はじめたり していました。
でも そういえば わたしのことだって かんだり ほえたりは しませんでした。

わたしは ふと おとこのこを みると めがあいました。
おとこのこは ぐずりはじめて おかあさんに だっこを せがみます。
「あら、あら」
おかあさんが おとこのこを あやしはじめます。
「うちのこたちが どうも すみません。こなつちゃんを さがしに いきますね」
ママが もうしわけなさそうに たちさるので わたしも ついていきます。
「いぬちゃんは おうだんほどうを わたって ずっとまっすぐ いったみたいですよ」
おとこのこのおかあさんが おうだんほどうのさきを ゆびさして いいました。

おうだんほどうを わたって まっすぐいったと あのおかあさんは いいましたが ママとこなつちゃんは いつもは そのとちゅうの みちを まがって おうちに かえって いくのです。
まっすぐいくと ママもわたしも みちがわからなく なってしまいます。
「このさきは どうなって いるんだろう」
わたしは とおくのみちも みえるように せのびを しました。でも みちは さいごまで みえません。
ちかくに ひとがいたら こなつちゃんのことを きけたけど いまは だれもいません。
みちも おおきいどうろや ほそいろじが あって こなつちゃんが どこへ むかったのか まったく わかりません。

「いったん おうちに かえろうか」
ママは そういうけれど わたしは ぜったいに いやでした。
おうちから はなれた いぬが どうなるか わたしは どうがで せつめいされているのを みたことが あります。
くるまに はねられて けがをするかも しれません。
ほけんじょと いうところに つれていかれて とじこめられて いるかも しれません。
いじわるな ひとに いじめられて いるかも しれません。

わたしは こなつちゃんが たのしんでくれたら いいなって おもって おそとにだそうと したけれど こんなことになるなら おうちのなかで ゆっくりしてもらえば よかった。
わたしは だんだん なけてきてしまいました。
ママが わたしを だきしめて くれましたが それでも なみだが とまりません。
ママが 「だいじょうぶよ」っていってくれるけど わたしには なにが だいじょうぶなのか わかりません。
こなつちゃんが みつからないのに。

わたしが たくさん なくので ママも こまっていました。
そうして ふたりで こまっていると ママのスマホが なりました。
「はい もしもし」
ママがでんわにでると「うん」とか「あっ、そうなの?」とか へんじを するので あいては たぶん パパだろうなって おもいました。ママは ともだちに へんじするときと パパに へんじするときは こえのかんじが ちがうからです。
「うん。うん わかった。いまから かえるから。じゃあね。はい はーい」
ママが スマホを きりました。
そして、
「こなつちゃん いたって!」
と わたしに おおごえで いいました。
パパは おしごとちゅう でしたが こなつちゃんを みつけたひとの でんわを うけて くれたのでした。

「こなつちゃん どこにいるの?」
わたしが はなごえで きくと ママは きんじょの スーパーの なまえを いいました。
きんじょだけど くるまで 15ふん くらい かかる ばしょに ある スーパーです。
「こなつちゃん そんなとおくに いっちゃったの!?」
わたしは びっくりしすぎて なみだが ひっこみました。
こなつちゃんが いる スーパーへ むかうために まずは いえに もどります。
くるまに のって こなつちゃんを むかえに いくのです。

くるまを ちゅうしゃじょうに とめて スーパーへ いくと いりぐちの ところに こなつちゃんが いました。
おおきいダンボールのなかへ はいっていて てんいんさんに かかえられています。
スーパーの おきゃくさんが ふしぎそうに こなつちゃんを みています。
ママとわたしが くるまから おりて あたまをさげながら こばしりで むかうと てんいんさんは こなつちゃんの かぞくが わかった みたいで わらいながら こなつちゃんに はなしかけました。
「ほら ママとおねえちゃんが むかえに きて くれたよ」
でも こなつちゃんは こっちを みません。
ずっと ななめしたを みて います。

「うちの こなつちゃんが どうも すみませんでした」
ママが ふかぶかと あたまを さげるので わたしも あたまを さげました。
てんいんさんの はなしでは こなつちゃんは スーパーの でいりぐちから おみせのなかに はいってきた そうです。
おきゃくさんが きづいて てんいんさんに つたえて てんいんさんは すぐに こなつちゃんを つかまえました。そして くびわがあったから かいいぬだと きづいて くびわにかいてある でんわばんごうに でんわを して くれたのでした。

「こなつちゃん おみせのなかのものを だめにして しまいません でしたか? かじったり トイレしたり しません でしたか?」
ママが おさいふを とりだしながら たずねます。
「おみせの なかに はいってきた だけで なにも わるさは しませんでしたよ。つかまえたときも あばれたり かみついたり しなかったです。ダンボールのなかに はなしたら そこで じっとして いましたし とっても かしこい わんちゃんですね」
てんいんさんは わらいながら こたえました。
ほめられているのに こなつちゃんは ちっとも うれしそうじゃ ありません。やっぱり ななめしたを みて こっちをみません。
ママとわたしは なんかいも あたまを さげて おれいを いいました。てんいんさんから こなつちゃんを ひきとって いえから もってきた リードを つないで くるまへ いっしょに むかいました。

こなつちゃんが くるまに のるときは ケージのなかに はいります。
くるまに のっても こなつちゃんは しょんぼりしています。
「こなつちゃん おこられると おもってるのかな?」
ママに きいたら「ちがうと おもうよ」って いわれました。
「こなつちゃんは ひとりで とおくに いけると おもったんだよ。でも ママたちが むかえに きたから ぼうけんは おしまいって わかっちゃったんじゃないかな」
「そうなの? こなつちゃん」
こなつちゃんに きいたけど へんじを してくれませんでした。
ただ くるまの うしろに すわって ずっと こっちを みませんでした。

こなつちゃんが かえってきたと おもうと あんしんして なんだか おなかがすきました。
「そういえば そうじの あとから なにも たべてないね」
ママも おなかが すいていました。
たぶん こなつちゃんも いっしょです。
「だから スーパーに はいっていったのかなあ?」
「そうかもしれないね」
いえにかえったら みんなで おそめの おひるごはんを たべます。
よるごはんが たべれるように ちょっと ひかえめな りょうの おひるごはん です。
「こなつちゃん いえに かえって ごはんを たべようね」
わたしが はなしかけると こなつちゃんは ようやく しっぽを ふりました。