【 気にさせる検証】〜あれこれ思うこと〜
◯はじまり
「その道は、うまく行かない」
誰かが、そう言う。
自分の道でもないのに。
歩いたこともないのに。
まるで、地図を持っているかのように。
◯
「前世で約束してきた」のだと言う。
覚えていない。
確かめようもない。
外れた時に、
誰も責任を取らなくていい話。
当たった時だけ答え合わせになる話。
◯
規約に同意する。
読んではいない。
読ませる気もないのだろう。
長さで、検討そのものを放棄させる。
同意という、実績だけを取りに来る。
◯
繋がらない。
工事の音が、外から聞こえてくる。
それでも、
料金は、発生している。
「やむを得ない事情」と、
書いてあるらしい。
使えなかった時間は、
検証できるのに。
補償は、対象外。
規約に、そう書いてあるから。
同意した、はずだから。
◯
「才能がない」と言われる。
「タイミングが悪かった」と言われる。
「向いていない」と言われる。
どれも、後から来る。
結果が出たあとに、理由の顔をして。
うまく行けば、才能のおかげ。
うまく行かなければ、才能がなかった。
どちらに転んでも成立する話。
外れる形を、最初から持っていない。
◯
これは「反証可能性がない」という。
外れる可能性を、
あらかじめ潰されている。
だから検証という、
土俵にそもそも上がっていない。
◯
説明を求めると、うやむやにされる。
「まあ、そういうものだから」
「感覚的にね」
問い返した側が、
空気の読めない人間になる。
うやむやは、
失敗ではなく着地点だ。
検証されれば、
言った側に責任が生まれる。
うやむやのまま終われば、
誰も、間違ったことにならない。
区切りという名の、
検証からの離脱。
◯
では、検証すればいいのか?
そう思って、
「検証」を「検証」してみる。
再現性。反証可能性。
これらもまたなぜそれが、
正しさの基準なのか?
遡っていくと、
どこかで、
「これ以上は、問わない」
という、検証抜きの決断に行き着く。
検証もまた、
穴のない審判ではない。
自分もまた、同じ土俵に立っている。
◯
気にさせる検証。
硬い顔をして、
やっていることは、やわらかい。
◯
たどり着くのはこういうことだ。
彼らは、
検証を回避していたのではない。
検証など、
最初から目指していなかった。
目指していたのは「納得」
検証には、時間がかかる。
検証には、外れるリスクがある。
納得は、話し方ひとつで作れる。
しかも、受け取った側は、
自分で「腑に落ちた」と思い込む。
外から押し付けられた結論より、
むしろ、始末が悪い。
◯
「納得」
字を、分けてみる。
納める。
得る。
得は、なんだろう……
量ってみようとして気づく。
比べる相手も、単位もない。
「得した」と言う時、
先に動いているのは、気分の方だ。
数字は、あとから、
その気分を「正当化する」ために、
連れてこられる。
得とは、
得るものではなく、
「得た感じ」でしかない。
◯
感じでしかないものに、
「名詞」という確定した形を与える。
そうして……
あたかも、
持ち運べる物であるかのように、
振る舞わせる。
◯
気は流れている。
輪郭を持たない。
それを、
「これが正解の形だ」と決めて、
容器に押し込める。
「納める」とは、その動作の名前だ。
◯
前世の約束も、
規約も、
才能も、
タイミングも、
うやむやも、
検証も、
納得も、
流れている気を、
誰かが都合よく形にして、
固定しようとする話だった。
◯
なんで、
無理やり自分の思う道に、
行かせようとするのか?
その問いに戻ってくる。
答えは変わらない。
流れているものを、
自分の形で止めたいだけなのだ。

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