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カラーノイズ

ノイズには、色がある。

そう言うと、たいてい変な顔をされる。

ノイズなんて、ただの雑音じゃないの、と。

でも本当にある。

白、ピンク、ブラウン、ブルー、バイオレット、
グレー、ブラック、オレンジ。

まるで絵の具みたいに、名前がついている。

不思議なのは、ここからだ。

誰が最初に、こう呼び始めたのか。

調べてみても、はっきりした発案者は出てこない。

普通、名前には誰かがいる。

商品名には、名付けた人がいる。

戦隊ヒーローには、企画した人がいる。

なのにこの名前たちは、誰のものでもない。

あちこちの研究者が、それぞれ別の場所で、

同じ比喩(光の色)にたどり着いて、

気づいたら、そう呼ばれるようになっていた。

発明したのは、誰でもない。

それなのに、名前だけが、ちゃんとそこにある。

白いノイズは、すべての音を平等に持っている。

ざーっという、あの音。

テレビの砂嵐と同じ音だと言えば、伝わるだろうか。

ピンクのノイズは、低い音が少し多い。

雨の音、波の音。

なぜか、心が静かになる音。

ブラウンのノイズは、もっと低い。

滝の音、地の底から響くような、重たい音。

別名は、レッド。

同じものなのに、二つの名前を持っている。

ブルーとバイオレットは、高い音の仲間だ。

バイオレットのほうが、もっと尖っている。

兄弟のようで、少しだけ違う。

グレーのノイズは、
人の耳に合わせて作られている。

オレンジのノイズは、変わり者だ。

特定の音だけを、狙って強くする。

なぜそんな存在が必要だったのか、
誰も教えてくれない。

そして、ブラック。

一番うるさいのは、白だと思っていた。

すべての音を、平等に持っている。

声が大きいわけじゃない。
ただ、何一つ拒まないだけだ。

でも本当は、黒だったのかもしれない。

黒いノイズは、ほとんど何も語らない。

静寂の中に、たまに小さな音が紛れ込むだけ。

弱いから、静かなわけじゃない。

何ものにも、染められないのだ。

白は全部を受け入れて、白のままでいる。

黒は全部を跳ね返して、黒のままでいる。

どちらも、結局は自分を保っている。

染まらないというのは、

何もないことじゃない。

ただ、明け渡さないということだ。

イエローと、グリーンは、いない。

戦隊ヒーローなら、
五人そろって当たり前の色なのに。

ノイズの世界では、呼ばれなかった。

名付けられる理由が、なかったからだ。

必要とされなかったものは、名前をもらえない。

それだけのことなのに、なんだかさびしい。

そういえば、と思う。

私たちの中にも、名前をもらえない感情や記憶が、たくさんあるんじゃないか。

うまく言葉にできなくて、
そのまま置き去りにしてきたものが。

イエローとグリーンは、今日もどこかで、
静かに鳴っている。

ただ、誰にも聞こえないだけかもしれない。

染まらないものと、名付けられなかったもの。

その両方が、この世界にはちゃんと在る。

そして、誰のものでもないまま、

生まれてしまったものも、ある。

ノイズに色をつけたのか謎だけを残して……



8色、ノイズ


白 拒まない

ピンク 雨の記憶

ブラウン 地の底のから

ブルー 尖る、尖る

バイオレット 鋭く、鋭く

グレー 耳に寄り添う嘘

オレンジ 呼ばれなかったレア

ブラック 染まらない沈黙

オマケ


【エイトノイズ】


干渉しあう 周波数のせいで

歪んで見える きみとのキョリで

相性なんて 最初からナゾで

ただ鳴っている 声だけがココで

白は拒まず 全部のみこんで

ピンクは低く 嘘みたいに澄んで

出会いたかった わけじゃないけれど

気づけば同じ 帯域にいたんだ

干渉して、消えて

干渉して、鳴って

干渉して、変わって

それでも黒だけ 染まらないで

干渉して、揺れて

干渉して、削れて

干渉して、続いて

それでも黒だけ そこにいて

やっつのうち ひとつだけが

名前も持たず 交わりもせず

相性がいい音だけ 残るわけじゃなくて

ぶつかって削れて それでも鳴っていて

干渉して、消えて

干渉して、鳴って

干渉して、出会って

それでも黒だけ 染まらないで

干渉して、揺れて

干渉して、変わって

干渉して、続いて

黒は染まらない 染まらない


 本当にありがとうございます🐕





#水豊 #エッセイ #カラーノイズ #ノイズ #考察 #名付け #不在 #豆太郎


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水豊 ありがとうございます🐕